父の背中を見て同じ医師の道へ、父娘で地域に寄り添う医療を実践
はじめに、お二人が医師を志したきっかけを教えてください。

【田中医師】私が医師を志した一番のきっかけは、父の存在です。小学1〜2年生の頃には、すでに「将来は医師になりたい」と考えていました。
父が病院に勤務していた頃、患者さんからとても慕われている姿を見ていましたし、父の開業後も、懸命に働く姿を身近で見てきました。特に印象に残っているのは、大雪の日でも透析患者さんのために病院へ向かっていたことです。透析は患者さんの命を支える治療ですから、天候が悪いからといって簡単に休むことはできません。そうした父の姿を見て、幼いながらに「医師とは責任のある仕事なのだ」と感じると同時に、憧れを抱くようになりました。
【吉江院長】私の場合は、叔父が医師だったことが大きいですね。子どもの頃は病気がちで、叔父に診てもらい助けてもらうことがよくありました。医師という存在を身近に感じながら育ち、「自分も人の役に立てる仕事がしたい」と考えるようになったことが原点です。
振り返ってみると、私が叔父の姿を見て医師を志し、今度は娘が私の姿を見て同じ道を選んだわけですから、不思議な縁を感じますね。
これまでのご経歴と、専門分野についてお聞かせください。
【吉江院長】浜松医科大学を卒業後、信州大学で研修を受け、当時の第二内科へ入局しました。最初の2年間は内科医として幅広い疾患を経験し、3年目から腎臓の領域を専門にするようになりました。
その後は長年にわたり、腎不全や透析患者さんの診療に携わってきました。透析管理はもちろん、透析に必要なシャントを造設する手術なども経験しています。現在も慢性腎臓病の患者さんを診療していますが、長く透析医療に携わってきたからこそ、「できる限り透析に至らないようにすること」を意識し、血圧や食事、生活習慣を丁寧に管理しながら、腎機能を守ることを大切にしています。
【田中医師】私は埼玉医科大学を卒業後、信州大学と松本市立病院で初期研修を行い、その後、信州大学の腎臓内科へ入局しました。北信総合病院での勤務などを経て、約4年前から当院で父と一緒に診療しています。
腎臓内科を選んだのは、やはり父の影響が大きかったですね。幼い頃から父が腎臓病や透析患者さんと向き合う姿を見てきたので、自分にとって自然な選択だったように思います。
現在は、生活習慣病や慢性腎臓病を中心とした内科診療に加え、訪問診療や透析回診にも携わっています。また、都内の美容クリニックでも診療経験を積み、当院では美容医療や育毛治療など、新たな分野にも取り組んでいます。父が築いてきた地域医療を大切にしながら、自分の経験を生かして診療の幅を広げていきたいと考えています。
吉江院長がこの地で開業された経緯を教えてください。
【吉江院長】開業を考えるようになった背景には、長年携わってきた透析医療での経験があります。
透析は腎機能が大きく低下した患者さんの命を支える重要な治療ですが、一度失われた腎機能を元に戻すことは容易ではありません。多くの患者さんを診療する中で、「もっと早い段階から関わることができていれば、透析に至るのを防げたかもしれない」と感じることがありました。
だからこそ、病気が進行してから治療するだけではなく、地域の中で患者さんを継続的に診療し、生活習慣病や慢性腎臓病を早い段階から管理したいと考えるようになりました。
また、当時この地域には医療機関が少なかったことも理由の一つです。外来診療だけでなく、通院が難しい方には訪問診療も行いながら、地域の皆さんを支えたいという思いで開業しました。
