将来の健康を見据えた生活習慣病管理と、専門性を生かした循環器診療に注力
現在はどのような患者さんが来院されていますか?

70歳以上の患者さんが比較的多く、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病を中心に、継続的な健康管理で通院されている方が多いですね。一方で、最近は40~50代の働き盛りの世代や、10代後半から20代くらいの若い方にも少しずつ来院いただくようになりました。
私は、年代によって診療で重視すべきことは少しずつ異なると考えています。若い方であれば、この先の人生が長いからこそ、将来大きな問題につながる病気を見落とさないことが重要です。
40~50代では、今は元気に生活できていても、高血圧や脂質異常症、糖尿病などをそのままにしていると、20年、30年後に心筋梗塞や脳梗塞などにつながる可能性があります。そのため、将来の大きな病気をできるだけ防ぐという視点から、生活習慣病を適切に管理することを心がけています。そして高齢の患者さんでは、数値だけを追いかけるのではなく、認知機能や体力の低下、足腰の痛みなど、年齢とともに生じるさまざまな変化にも目を向けます。その方がこれからどのように暮らしていきたいのかも考慮しながら、生活に合った医療を提供しています。
生活習慣病の診療では、どのようなことを重視されていますか?
一番大切なのは、検査の数値を正常にすること自体を治療のゴールにしないことです。治療の目的は、患者さんが将来にわたって健康に過ごせる時間をできるだけ長くすることだと考えています。
もちろん、食事や運動など生活習慣を見直すことも必要です。ただ、「食べる量を減らしましょう」「もっと運動しましょう」とお伝えするだけで、すべての方が実践できるわけではありません。仕事や家庭環境、長年の習慣など、一人ひとりに異なる生活があります。そのため、理想論を一方的に押し付けるのではなく、必要に応じて薬物療法も取り入れながら、無理なく続けられる方法を一緒に考えるようにしています。
例えば、お酒が好きな方に、一律に「飲まないでください」とお伝えするだけでは、その方にとって続けやすい治療にはならないかもしれません。目指すのは、将来、肝硬変などによって健康を損なうリスクをできるだけ抑えながら、好きなことを長く楽しめる状態を維持していくことです。そのために医学的な立場から必要なアドバイスを行い、患者さんが人生で大事にしていることと健康の両方を守れる方法を一緒に考えていきます。
薬物療法についても同様です。薬には効果がある一方で、副作用が生じることもあります。医学的には推奨される治療であっても、副作用によって日々の生活がつらくなってしまえば、その患者さんにとって本当に良い治療なのかを考え直す必要があります。ガイドラインや医学的根拠を基本としながらも、患者さんの価値観や生活まで含めて、その方にとって何が一番良いのかを考える。それが私の診療の基本姿勢です。
先生のご専門である循環器内科の診療についても教えてください。

勤務医時代は、狭心症や心筋梗塞、心不全などの循環器疾患に加え、不整脈の診療にも力を入れてきました。特に不整脈については専門的に学び、カテーテルアブレーションやペースメーカー治療にも携わってきた経験があります。
現在も、動悸や脈の乱れなどを訴える患者さんには、心電図を丁寧に確認することを大切にしています。診察時の短い心電図だけでは分からない不整脈もありますので、必要に応じて24時間心電図検査も積極的に行っています。
動悸などの症状は、ストレスや自律神経の問題と考えられることもありますが、まずは心臓そのものに問題がないかをきちんと確認することが重要です。
治療については、当院で対応できる場合には薬物療法などを行い、カテーテル治療をはじめとする専門的な治療が必要と判断した場合には、適切な医療機関へ速やかにご紹介します。これまで循環器診療の現場で培ってきた経験を生かし、「経過を見てもよい状態なのか」「早めに専門的な治療につなげるべきなのか」を適切に見極めることも、当院の役割だと考えています。
風邪などの一般的な症状や、「何となく調子が悪い」といった相談にも対応されていますか?
もちろんです。風邪や感染症などの一般的な内科症状で受診される方もいらっしゃいますし、「どこが悪いのか自分でもよく分からないけれど、何となく体調がおかしい」というご相談もあります。
私は、そうした原因のはっきりしない症状も重視しています。だるさや微熱など、よくある体調不良に思えても、その背景に膠原病など専門的な診療が必要な病気が隠れている可能性があるからです。だからこそ、まずはしっかりと診察し、必要に応じて専門医療機関で詳しく診てもらいます。そこで問題がないと分かれば、それも患者さんにとって一つの安心材料になりますし、病気が見つかれば早い段階から適切な治療につなげることができます。
「この症状は何科に行けばいいのだろう」と患者さん自身が判断するのは難しいこともあります。ですから、まずは相談していただける場所でありたいですね。当院で対応できるものはしっかり診て、より専門的な診療が必要であれば適切な医療機関へおつなぎする。地域の身近な医療機関として、その最初の窓口を担ってまいります。
