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受付と医療費の支払が変わる。医療情報がまとまる。マイナンバーカードを保険証として使うメリットをご紹介します

公開日: 2022-03-01
更新日: 2022-03-01
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マイナンバーカード、持っていますか?
過去にマイナンバーカードの申請に対し各種キャッシュレス決済で使えるポイントを付与する「マイナポイント事業」が行われており、それを機に作った人も多いかもしれません。
公的な身分証明書として利用できること、コンビニエンスストアなどで住民票や戸籍謄本といった公的証明書の発行が可能になることなどはマイナンバーカードのメリットとしてよく知られていると思いますが、社会基盤としての意味合いから整備が進んでおり、今後もっともっと多くの場面で活用されていく予定です。
医療の分野もその例外ではなく、その第一弾として、令和3年10月からマイナンバーカードを保険証として利用することができるようになりました。それだけに留まらず、マイナンバーカードは医療の分野でどんどん便利になっていく予定です。マイナンバーカードの医療分野での活用について、厚生労働省保険局医療介護連携政策課の大竹雄二さんにインタビューをし、そのメリットと展望を紹介します。
家の近くで使って便利さを実感いただきたいですね。また、マイナポータルも是非アクセスしてみてください

マイナンバーカードを健康保険証として利用するメリット

ここでは、マイナンバーカードを健康保険証として利用することのメリットとして、以下の3つの観点から解説します。

  • 受付が変わる
  • 医療費の支払いが変わる
  • 情報がまとまる

受付が変わる

マインバーカードを保険証として利用すると、医療機関での受付が変わります。

医療機関の受付

対人接触の機会が減少!

最近では、クリニックや診療所でも診察券を使った自動受付機の導入が進んでいます。しかし、月1回の保険証の確認には、対人による受付が必要になってしまうことがほとんどです。

マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関には、顔認証機能付きのICカードリーダーが設置されています。リーダーによって本人認証が完了すると、マイナンバーがデータベース上で照合され、最新の健康保険情報が自動的に医療機関側に伝えられます。

このような受付に変わることで、対人接触の機会が減少されます。現在のコロナ禍のみならず、インフルエンザなど感染性疾患の流行期などでは、できる限り人と接触しないようにすることが感染拡大予防にとって重要になります。

顔認証は、マスクやめがねを装着していても、帽子をかぶっていても可能です。ただし、導入しているカードリーダーによって精度が異なるため、顔認証が通らなかった場合は暗証番号・パスワードでの認証となります。

マイナンバーカードを保険証として使うと、窓口での受付がスピーディーになりますよ!

転職などで健康保険が変わっても特別な手続きは必要なし

なお、転職で保険証が変わっても特別な手続きは必要なく、引き続き健康保険証として利用が可能です。健康保険組合が変更になった場合、元の健康保険組合はその患者さんの脱退の手続きを行い、新しく加入する健康保険組合が加入の手続きを実施します。その過程でマイナンバーとつながっているデータベース上の保険証情報が書き換わるため、マイナンバーカードと健康保険証の紐づけは自動で更新されるのです。

場合によっては、手元に健康保険証が届く前にデータベースが書き換わることもあるかもしれません。ただし、脱退や加入の手続きに必要な日数は健康保険組合によって異なるため、転職などで健康保険が変わったタイミングで通院する場合には、組合に確認するようにしましょう。

支払いが変わる!

マイナンバーカードを健康保険証として使うことで、医療費の支払いや税金の還付においてもメリットがあります。

医療費イメージ

高額医療費の一時負担がなくなる

患者さんの医療費負担が極端に高くならないようにするために、「高額療養費制度」が定めています。患者さんの所得に応じて月額の医療費負担の上限が定められており、上限を超えて必要になってしまった治療費について、患者さんの自己負担を免除し、健康保険がそれを支払う制度です。これまでは、一旦全ての医療費を患者さんが立て替えて支払った上で、後日に申請して還付・返金を受ける形となっていました。

マイナンバーカードを健康保険証として使うと、所得に応じた医療費の上限額が医療機関に共有されるため、高額医療費の一時負担がなくなります
月額の給与額が30万円の患者さんが入院の上総額80万円の保険医療を受けた場合を例にとって説明します。

入院を含む医療費総額: 800,000

患者さんの自己負担額
800,000円 x 患者負担率 3割
患者負担額 = 240,000

月額給与額30万円の患者さんが高額療養費制度を利用する場合
上限額:80,100円 + (医療費 - 267,000円) x 1%
80,100円 + (800,000円 - 267,000円) x 1%
患者負担上限額 = 85,430

従来までの窓口負担額:240,000円 (健康保険への申請後、差額154,570円が後日還付される)
マイナンバーカードを保険証として利用した場合の窓口負担額:85,430

これまでは、治療費を請求する医療機関にはその患者さんの所得がわからないため、高額療養費の限度額を把握する術がありませんでした。そのため、患者さんは自己負担額全額を支払う必要がありました。

マイナンバーカードを健康保険証として利用すると、その患者さんの所得に応じた自己負担限度額の情報が病院側に共有されるため、高額療養費に当たる15万円以上の金額を一時負担する必要がなくなり、限度額である85,430円の支払いを済ませるだけで完結するようになります。

入院を要する治療を受けた場合、医療費が高額になるケースがほとんどです。一時的とはいえ、数十万円もの医療費を負担するのは患者さんにとっては大変なことです。病院や健康保険組合の観点からも、限度額の証明や還付の手続きが省略されることは大きな事務簡便化につながります。患者、医療機関、健康保険組合のそれぞれにメリットのある仕組みに変わることになります。

ただし、現状の仕組みでは、複数医療機関での合算支払額は病院側に共有されません。そのため、複数の医療機関に掛かりその総額で限度額が超えてしまうような場合には恩恵に預かれず、従来通り一時負担が必要になる点には注意が必要です。

予め健康保険が上限額の情報を入れるので、医療機関側で「この患者さんの上限額はいくらだ」と把握できるようになるんですよ

医療費控除の手続きが楽になる

支払いや費用の点では、医療費控除の手続きが簡略化されることにもなります。年間10万円以上の医療費を負担した場合には、確定申告で医療費控除を申請することで、税控除を受けることが可能になります。

経験したことがある方はご存じかもしれませんが、この医療費控除の申請は、医療費に関わる領収証をすべて保存し集計し、領収証の原本をすべて税務署に郵送する必要があるなど、非常に繁雑な作業になります。
マイナンバーと保険証とを紐つけておけば、マイナンバーに係わる情報を一元管理できる「マイナポータル」上に「医療費通知情報」という名前で保険医療を受けた記録が一括して掲載されるため、領収証の保存や計算などの作業は必要なくなります。また、「e-Tax」という電子的な確定申告システムを利用する場合には自動でデータが連動されるため、手続きも大幅に簡略化されることになります。

ただし、医療費控除の対象にはドラッグストアで購入できるセルフメディケーション対象の医薬品や健康保険が適用されない出産、自由診療の医療費なども対象になっています。マイナポータルに表示されるのは保健医療に関する部分のみとなるため、保険を使うことができない医療費負担はこれまで通り領収証を保存し、確定申告時に添付する必要があります。

このように、マイナンバーと保険証とが紐づくことで、高額療養費や医療費控除など、支払い・費用面でさまざまなメリットが生まれます。

医療費通知情報が自動で転記されるので楽ですし、領収証の保存も必要なくなりますよ

情報がまとまる

そして、マイナンバーカードの保険証利用の真骨頂ともいえるメリットが「情報がまとまる」ことです。マイナンバーと保険証が紐付くことで、「レセプト」という情報を参照することができるようになります。これは、情報の面で多大なメリットをもたらします。
※レセプトについては別の章で説明しています。興味がある方は補足をご覧ください。

レセプトイメージ

過去の薬歴が自分でも確認でき、医師にも連携される

「レセプト」には、処方されたお薬や実施した検査などの情報が詳細に記載されており、患者さん本人による同意があれば、これらのデータが医療機関に連携されることになるのです。医師の診察を受けた際、現在治療中の病気や今服用している薬などについて説明する難しさを感じたことがある方も多いでしょう。お薬の名前は覚えづらく、何種類も服用している場合は何をどう飲んでいるのか、なかなか説明しにくいものです。
カードリーダーでの受付時に、過去の治療の情報を医療機関に連携するかどうか確認を促されます。これに同意することで過去の薬歴のデータが医師に連携されるようになり、それにより患者さん本人が説明する必要がなくなると同時に、正確な情報が医師に伝わるようになります。

こうした情報連携は、旅行時や災害にあったときなど「普段とは異なる医療機関を受診する」場合にも非常に有用です。近い将来には、救急搬送時の自動情報連携なども視野に入っており、情報の流通とコントロール、正確性とを担保した大きな手立てとなることでしょう。

ただし、月単位でのタイムラグがあるため処方されたお薬がリアルタイムで共有されるわけではありません。そのため、現時点ではお薬手帳は引き続き必要になります。

特定健診のデータも連係される

また、連携されるのは過去の薬歴や検査の情報だけではありません。40歳以上の健康保険加入者に義務づけられている「特定健康診査・特定保健指導」(通称「特定健診」)の情報も、今後過去5年分のデータが閲覧できるようになります(令和3年度からデータベースに投入されるため、令和3年以前のデータが閲覧可能になるわけではありません)。

こうした医師との情報連携は、伝達される情報の正確さを担保すると同時に、医師とのコミュニケーションの円滑化に役立ちます。結果的に、医療の質の向上につながるものと期待されています。

過去の受診歴が自動で連携されるので、難しい説明の必要もなく、正しいデータに基づいて医療、診察や服薬指導ができるようになりますよ

自分のデータは自分のものとして管理できる

過去の薬歴や受けた検査、特定健診の情報など、これまでの記載したすべてのデータはマイナポータル上で患者さん自身が確認できるようになっています。そうしたデータを医療機関と連携するかは、カードリーダーでの受付時に都度確認されるため、自身の健康・医療データを自身のものとして、管理・共有することができるようになるのです。

さらには、マイナポータルに掲載された情報を、患者自身の許可に基づいて、民間の各種サービスに共有する枠組みも今後整えられていく予定です。薬歴や健診データだけではなく、ウェアラブル端末で取得した健康情報やアクティビティデータを統合し、より綿密な健康管理ができる未来も、そう遠くはないのかもしれません。

マイナンバーカードを保険証として利用しよう!そのために必要な手続き

「保険証として利用できる」というのは単なる入り口であり、今後まだまだ活用の機会が増えていくので、これを機に是非活用する環境を整えていってはいかがでしょうか。
マイナンバーカードを保険証として利用するまでの手続きについて、ご紹介します。

スマートフォンを操作する人

持っていない方は…是非マイナンバーカードを作りましょう!

マイナンバーカードを持っていない方は、まずは作るところからはじめましょう。
大きく分けて、以下の3つの申請方法があります。

スマートフォン・パソコンからの申請や証明写真機での申請では、マイナンバーの他に「申請ID」という別のIDが必要になります。申請IDは平成27年のマイナンバー通知書の台紙もしくは令和2年11月から令和3年3月まで発送されたQRコード付き交付申請書に記載されています。
申請IDがわからない方は、郵送での申請をする、もしくは市区町村に問い合わせ、交付申請書を無料で取得するとよいでしょう。

スマートフォン・パソコンからの申請

手元に「QRコード付き交付申請書」がある場合、その用紙に表示されているQRコードを読み取り、写真も同時に撮ることのできるスマートフォンから申請するのが最も簡単です。

スマートフォンでの申請はおおむね

  1. 利用規約の確認
  2. 申請書IDとメール連絡用氏名・メールアドレスの登録
  3. メール返信に記載されているURLをクリックし、そのページで顔写真を登録
  4. そのほかに申請に必要な情報(生年月日など)の登録

の4ステップで終了します。

メールアドレスはあくまで顔写真を登録するためのURLを受信するために必要になるだけなので、お子様や高齢の親御さんの代理で申請する場合、自身のメールアドレスを記載し、メール連絡用氏名のみを変更するかたちでも問題ありません。

注意したいのは、写真の撮り方です。正面を向いた無背景・無帽の写真が必要になるため、白い壁を背にするなど、写真を撮影する場所をしっかりと選ぶ必要があります。スマートフォンで撮影された写真は、アップロード時におおむね自動で収まりますが、パソコンで申請する場合は画像のサイズや縦横比などに注意が必要です。

申請完了後、写真に何かしらの問題が出た場合には、登録したメールアドレスにその旨のエラーが届きますので、修正した写真をアップロードすることになります。

証明写真機からの申請

街中にある証明写真機の中にも、マイナンバーカードの申請をできるサービスが存在します。ほとんどの場合、「QRコード付き交付申請書」のQRコードを写真機に読み取らせ、タッチパネルなどで必要な情報を入力しつつ、その流れの中で写真を撮影するかたちとなるようです。

郵送での申請

申請IDがわからない場合や、スマートフォンやパソコンでの申請が難しい場合には、郵送での申請も可能です。申請用紙にマイナンバーを含む必要事項を記入し、写真を添付して居住する市区町村に郵送することで申請が完結します。

申請完了から取得までの流れ

申請が完了すると、およそ1ヶ月程度で市区町村から「交付通知書」というはがきが届きます。マイナンバーカードとの引き換えには、この交付通知書の他、身分証明証、マイナンバー通知カードを持参の上、市区町村の窓口まで取りに行く必要があります。
受け取るために市区町村に行く必要があるのは、顔写真と本人との照合、およびICカードに暗証番号やパスワードを設定する必要があるためです。特別な事情がない限り、小学生などの子どもであっても本人を連れて行く必要がある点に注意が必要です。学校や習い事、塾などの都合は前段の「特別な事情」には含まれず、子ども本人を連れて行かなければならない>点は取得の大きなハードルになるかもしれません。都合の付きにくい児童や学生の場合、夏休みや冬休みなどの期間に合わせて申請すると、比較的受け取りやすいようです。

必要な書類を持参し本人が市区町村の窓口に行くと、役所の職員によって本人と顔写真との照合が行われ、その後専用の端末で、一人につき一つずつ、暗証番号とパスワードを設定して受け取りは完了となります。

専用端末には限りがあるため、時期や時間によっては多くの待ち時間が発生する場合があります。市区町村によっては、利便性のため呼び出し順番待ちサービスなどを提供している場合もあるようです。受け取りが煩雑に感じるかもしれませんが、誤発行や悪質な代理発行などを防ぐために、厳密に実施されているようです。セキュリティが高いことの裏返しと考えるとよいかもしれません。

受け取ったら、健康保険証としての利用登録をしよう

マイナンバーカードを健康保険証として利用するには、事前の登録が必要と案内されています。しかし実際には、医療機関に行ってカードリーダーで受付をするタイミングで、所要時間10秒程度で利用登録ができてしまうようです。とはいえ、よりスムーズに受付をするためにも、事前登録をしておくのがよいでしょう。

事前登録は、スマートフォンやパソコンで行うことができますが、パソコンではICカードリーダーが必要になります。iOS、Androidともに対応機種が幅広いため、スマートフォンで実施することをお勧めします。

対応スマートフォン一覧

対応機種のスマートフォンをお持ちでない方は、事前登録をせずに医療機関を受診し、設置してあるカードリーダーで実施するのがよいかもしれません。

Apple Appstore GooglePlay

iOSのAppstore、AndroidではGoogle Playストアを使って、「マイナポータル」アプリをインストールしましょう。

マイナポータルアプリインストール完了

インストールが完了したら、マイナポータルアプリを開き利用登録をします。利用登録およびログインには、スマートフォンのほかにマイナンバーカードも必要になりますので手元に準備しておきましょう。
過去にマイナポータルを利用したことがある方は「ログイン」を、初めてマイナポータルを利用する方は「利用登録」をタップします。

健康保険証としての利用登録画面

パスワードの入力の画面が表示されますので、マイナンバーカードを受け取り時に端末で設定した暗証番号を入力して「次へ」をタップしましょう。すると、マイナンバーカードを読み取り画面に進みます。

マイナンバーカード読み取り画面

スマートフォンの機種によりカードの読み取り位置が異なります。わからない場合は「機種ごとのカード読み取り位置はこちら」のリンクをクリックして確認しましょう。Android端末の場合、読み取り位置(背面)にFelicaのマークが記載されている場合があります。

マイナンバーカードを読み取る様子

読み取り位置にマイナンバーカードを配置し、読み取り開始ボタンをタップします。読み取りが完了すると、iOSでは「読み取り完了」のメッセージが表示され、自動的にブラウザが起動し、ログイン済みのマイナポータルの画面が表示されます。Android端末では、ログイン認証成功のメッセージとともにカードを端末から離すように促され、その後にログイン済みのポータルへと遷移します。

読み取り完了後に表示されるメッセージ (iOS)
読み取り完了後に表示されるメッセージ (Android)

ログインが完了すると、画面右上ハンバーガーメニューの隣に「ログイン中」と表示されます。画面内の「マイナンバーカードが健康保険証として利用できます」の下にある「申し込む」のリンクをタップすると、健康保険証としての利用登録が可能です。

マイナポータル・マイナンバーカード利用登録画面

利用規約に同意した次の画面で「申し込む」というボタンをタップすると、再度暗証番号とマイナンバーカードの読み取りが要求されます(この流れは基本的にマイナポータルの利用手続きと同様です)。

マイナポータル・保険証利用登録画面

登録が完了すると、「申込状況の確認」ページで、「申込状況」と「健康保険証としての登録状況」が表示され、登録完了となっていれば事前登録は完了です。

マイナポータル・健康保険証としての登録状況

実際に健康保険証として利用登録してみた

健康保険証としての利用登録を終えると、マイナポータル上で自身が加入している健康保険や保険証番号、処方されたお薬や医療費通知情報が確認することができるようになります。

健康保険証情報

保険証の情報を登録していないにもかかわらず健康保険の情報が表示されるようになっていることから、健康保険のデータベースにアクセスできていることがわかります。

マイナポータルに表示される健康保険情報

薬剤情報 (薬歴)

薬剤情報は、処方されたお薬の名称だけではなく、その用法 (服用の方法)や用量(1回に服用する錠数など)も確認することができます。

マイナポータルに表示される薬剤情報

また、ジェネリック医薬品ではないお薬を処方されていた場合には、ジェネリックに切り替えた場合にどの程度医療費が安くなるかの概算も合わせて表示されます(例では、ジェネリック医薬品を処方されていたため、0円と表示されています)。
前述の通り、現時点ではおくすり手帳の代用にならない点は、注意が必要ですね。

ジェネリックに切り替えた場合の医療費削減可能額概算

医療費通知情報

医療費通知情報は、どの程度医療費を支払ったかを表示する情報となります。医療機関ごとに、窓口負担額、医療費の総額、健康保険が負担した額のそれぞれ(「医療費通知情報」)が表示されています。

e-Taxを使い電子的に確定申告を行う場合は、この医療費通知情報をそのまま連動できるため、非常に便利に使えそうですね。

医療費通知情報

マイナポータルで見られるさまざまな情報

マイナンバーカード自体は、行政のさまざまな手続きに利用されるカードとして生まれています。健康・医療情報のみならず、税や年金、子育てや福祉介護など、関連する様座生情報をマイナポータルで確認できるようになります。非常に便利なカードなので、是非カードを作り、利用していきましょう。

マイナポータルで取り扱う情報項目
保険証として使えるだけにとどまらず、ご自身の健康・医療情報がどんどん使いやすくなっていくという基盤になる仕組みなのです!

マイナンバーカードを健康保険証として使える医療機関を探そう

マイナンバーカードの保険証利用は、2021年10月より本格運用が始まりました。

それまでは、テスト運用期間として限られた医療機関でのみ利用が可能でしたが、今後全国に拡大していく予定です。厚生労働省発表の資料によると、2022年2月時点では、13万件以上の医療機関 (全国の病院・診療所・歯科診療所・薬局の56%)がマイナンバーカードを健康保険証として利用するのに必要なカードリーダーの申請を完了しており、医療機関内の環境が整い次第順次拡大されていくでしょう。マイナンバーカードが利用可能な医療機関には、厚生労働省が作ったステッカーやポスターが掲示されていることもあります。

病院なびでは、マイナンバーカードを健康保険証として利用可能な医療機関の一覧ページを、厚生労働省が発表している資料を元に作成しました。リストは順次アップデートしていますので、お住まいのそば、勤務地のそばでマイナンバーカードを使える医療機関を探してみてください。

補足:マイナンバーカードが保険証として利用できる仕組み

どのように保険証とマイナンバーカードが連動するのでしょうか。その前提として、健康保険の仕組みについて簡単に説明します。

患者さんが実際に医療機関に支払う金額(自己負担金)は、実際にかかった治療費に対し事前に決められた料率(ほとんどの場合、成人や現役並みの所得がある高齢者は3割負担、所得の少ない高齢者は1割負担)を掛け算して算出されます。つまり、1,000円かかる治療を受けた場合、3割負担で300円、1割負担で100円が患者の自己負担金となります。残りの700円から900円は、みなさんが入っている医療保険組合が負担することになります。

診療報酬支払いの仕組み

図. 診療報酬支払の仕組み
出典)社会保険診療報酬支払基金「支払基金ってどんなところ?

医療機関は「レセプト」と呼ばれる、治療の内容を記載した請求書を作成し、保険医療費の支払を統括する組織である「社会保険診療報酬支払基金」(以後、支払基金と表記)に提出します。レセプトの記載内容に基づき治療内容が妥当であるかが審査され、妥当と判断された場合、医療費が支払基金から医療機関に支払われます。支払基金は、その患者さんが所属している健康保険組合に対して、その金額を請求することになります。

医療機関が保険請求のために作成するレセプト

図. 医療機関が作成する保険請求のための「レセプト」
出典)社会保険診療報酬支払基金「支払基金ってどんなところ?

こうした仕組みを実現する中で、健康保険組合や支払基金がアクセスするデータベースには、患者さんの名前と加入している健康保険組合、保険証番号が保存されています。こうしたデータとマイナンバーとを紐つけることによって、マイナンバーカードが保険証として利用できるようになるのです。

このように、「マイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになること」は、マイナンバーで保険請求に関わるさまざまなデータにアクセスすることが可能になることによって実現されています。マイナンバーカードは顔認証や暗証番号・パスワードによる認証によって、確実な本人確認が実施でき、その本人確認に基づき一元管理されたデータにアクセスできるようになることで、医療に関わる手続きや情報は今後大きく変化していくことになります。

インタビューにお答えいただいた方

厚生労働省
保険局医療介護連携政策課保険データ企画室
大竹雄二さん

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08277.html

インタビューにお答えいただいた、厚生労働省保険局医療介護連携政策課保険データ企画室の大竹雄二さん