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統合失調症(旧:精神分裂病)

2011年4月掲載

約100人に1人が発症。早期治療が回復の要。

統合失調症は約100人に1人の割合で発症している一般的な病気

ムンク「叫び」

かつて「精神分裂病」と呼ばれていた「統合失調症」。「精神分裂病」という呼称は「精神が破壊されて元に戻らない病気」という誤った印象を植え付ける可能性があるため、2002年に日本精神神経学会によって「統合失調症」に変更されました。英語では「schizophrenia(スキゾフレニア)」と呼ばれ、古くから存在を認められている病気です。この病気の有名人には、絵画「叫び」で著名な画家のムンク(Edvard Munch)や、ノーベル賞を受賞しており、映画「ビューティフル・マインド」でもよく知られている数学者のジョン・ナッシュ(John Forbes Nash, Jr.)がいます。

なじみの薄い印象のこの病気ですが、日本では100~145人に1人が発症している比較的一般的な病気です。平成20年の患者調査(厚生労働省大臣官房統計情報部)によると、全国では795,000人の患者さんがおられ、胃潰瘍及び十二指腸潰瘍患者の520,000人、喘息患者の888,000人と比較しても、珍しい病気でないことは明らかです。思春期から40歳代までに発症することがほとんどです。原因は、遺伝説、ストレス脆弱(ぜいじゃく)性説、脳の機能の異常説など諸説あり、これらが複合的に絡み合い発症すると考えられていますが、詳しいことはわかっていません。何らかの原因により、脳内ホルモン(神経伝達物質)の、主にドパミンのバランスが崩れることが、発症の一つの要因だといわれています(※1)。本人の自覚に乏しい病気ですので、周囲の病気への理解と気付きが何より大切といえます。

※1 最近ではセロトニンなどの関与についても研究されています。

妄想・幻覚の「陽性症状」と、感情の鈍化・ひきこもりの「陰性症状」

症状は多岐にわたっていますが、主に二つのカテゴリーに大分されます(※2)。

【健常者には無いものが出現する「陽性症状」】

妄想
「テレビで自分の秘密を暴かれている」「常に誰かに監視されている」といった明らかに間違ったことを確信します。
幻覚
実際に起こってないことを知覚します。特に「幻聴」の症状がよくみられ、その声に批判される・責められるといった現象を訴えることが多くあります。
思考障害
思考の混乱と一貫性の欠如が起こり、会話に脈絡がなくなります。また、自分の思考が周囲に漏れているように感じることもあります。
作為思考・作為体験(させられ思考・させられ体験)
周囲から思考や行動をコントロールされていると感じ、支配されていると認知します。「電車に飛び込め」などと指示されているように感じ、実際に行ってしまう危険があります。

【健常者があるべきものが低下する、または消失する「陰性症状」】

感情の鈍化・麻痺
感情表現が乏しくなり、さらに他者の感情表現にも共感ができなくなります。
思考と会話の貧困
思考の低下により、比喩などの抽象的表現が使えなくなったり、ものごとが理解できなくなったりします。
意欲の欠如
外界への関心が失われ、自発的に何かを行う意欲が低下します。
自閉
自分の世界に引きこもり、社会から遠ざかるようになります。

陽性症状または陰性症状の各カテゴリーの症状のみが出現する場合や、それぞれのカテゴリーにまたがった症状が出現する場合など、さまざまです。

※2専門家によっては3つのカテゴリーに分類している場合もあります。

慢性化しやすい「破瓜(はか)型」、極端な症状が現れる「緊張型」、 幻覚や妄想が主訴となる「妄想型」

破瓜型、緊張型、妄想型

統合失調症は、発症の時期や症状などによって主に三つのタイプ(型)に分けられます(※3)。

破瓜(はか)型(解体型)

15~25歳の若年で発病することが多く、目立った問題行動がないため人に気付かれにくく、慢性化することがあります。初期には感情の鈍化、服装や不潔であることに無頓着といった陰性の症状がみられるほか、急にニヤニヤ笑ったり、しかめ面をしたりといった行為や、他にも系統だった行動がとれないことが多くあり、妄想や幻覚に関しても一貫性を欠くことがあります。

緊張型

緊張型はさらに2つのタイプにわかれます。1)極端に落ち着きが無く、ソワソワしたり、大声で話し続けたりする興奮タイプ。2)意識はあるのに、外界の刺激に対する反応や意思の表出がみられない状態に陥るタイプ。 どちらかのタイプに踏襲する場合と、交互に現れる場合があります。また、おうむ返し、意味の無い行為や言動を繰り返し行う、働きかけに対して頑なに拒むといった行為がみられることもあります。20歳前後で発症することが多いといわれています。

妄想型

妄想が主な症状で、ストーリー性をもった幻覚や妄想を抱きます。思考は比較的良好で、奇妙な行動や発言はほとんどみられません。しかしながら、放置しておくと誇大妄想に広がり、「電波を通じて日本中の人に見張られている」などと警察に駆け込むこともあります。30歳以降に発症することが多いタイプです。

※3 専門家によっては、さらにタイプを細分している場合や、ある一定の型に当てはまらない場合もあります。

早期に治療に取り組むことが何より大切

統合失調症は自覚症状に乏しく、また個人差があることから、周囲からも見過ごされがちです。しかし早期に治療を始めれば、回復が早いともいわれていますので、周囲に気になる症状がみられる場合には、早めに医療機関で相談しましょう。
専門医の名簿は、日本精神神経学会のWebサイトで閲覧できます。

Clipboard-text日本精神神経学会 http://www.jspn.or.jp/

治療は、薬物療法・心理療法・リハビリテーションを中心に行われます。どのようなプログラムで行われるかは、症状や程度・進行具合によって一概にはいえません。個人差の大きな病気ですので、医師や専門家とよく相談して決めましょう。

薬物療法

妄想・幻覚・不安感・うつ状態などの症状や合併症に対するものや、脳内ホルモンの調整をする抗精神病薬(神経遮断薬)を投与します。手が震える・よだれが出る・首が反り返る・眼が上を向く・じっとしていられない・便秘・口が渇く・起立性低血圧・めまい・生理不順・体重の増加などの副作用が出ることがありますので、不快な症状は我慢せずに医師に相談しましょう。

心理療法

患者さんの誤った認知を修正していく認知行動療法や、患者さんが抱える気持ちを汲み取り支えていく支持的精神療法のほか、病気への理解と患者さんへの接し方等を学ぶ、家族への心理教育などを行います。

リハビリテーション

社会生活を送る上で必要な能力を向上させていく社会生活技能訓練(SST:Social Skills Training)や、生活の質の向上を図る作業療法などを行います。


このほか、電気けいれん療法が行われる場合もあります。
治療は、再発や悪化をすることがありますので、独自の判断で中断してはいけません。必ず医師や専門家が終了して良いと言うまで続けましょう。

困った時には相談窓口・サポート制度を活用

相談窓口・サポート制度

治療や社会復帰に当たっては、さまざまなサポート制度などがありますので、活用しましょう。(※4)。

精神障害に関する相談とサポート

医療費軽減など、経済的に関するサポート

  • 自立支援医療(精神通院)制度(問い合わせ:区市町村の担当窓口など)
  • 生活保護(問い合わせ:地域を管轄する福祉事務所など)
  • 障害年金
    (問い合わせ:区市町村の担当窓口、社会保険事務所、社会保険事務局の事務所、年金相談センターなど)
  • 心身障害者扶養共済制度(問い合わせ:都道府県や区市町村の担当窓口など)

このほかにも、自立支援や就労支援などのさまざまなサポート制度を設けていることがありますので、お住まいの自治体や保健所・精神保健福祉センター・地域生活支援センターなどに問い合わせてみることをお薦めいたします。

※4 問い合わせ窓口や申請場所、サポート内容等については、自治体等で異なる場合があります。

うつ病で気になる症状がある場合は、近くの病院に相談しましょう

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