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夏の胃腸障害

2011年8月掲載

暑さによるストレスで発症

残暑の季節は胃腸の障害が出やすい

胃腸障害

日本列島を襲っている連日の猛暑。神奈川県小田原市、福井県小浜市、福島県二本松市、北海道千歳地方では観測史上最高の気温を、そして滋賀県東近江市では観測史上2位の気温を記録しているほど、今年の夏の暑さは尋常ではありません。

ただでさえ外気の暑さに負担を感じているのに、冷房がよくきいた室内の気温差、節電による暑さの我慢、熱帯夜による睡眠不足などによって、夏バテを起こしている方も少なくないでしょう。夏の疲れがでるこの時期は、体のだるさに加えて、胃腸の不調を訴える方が多くみられます。

しかし、そもそも気温の変化によって、なぜ胃腸の障害が起こるのでしょうか。

消化機能をつかさどる自律神経

口腔・食道・胃・腸・肝臓・胆嚢・膵臓などを総称して「消化器」といいます。このうち口腔・食道・胃・腸は「消化管」と呼ばれ、食べたものが通るところです。主に食べたものを分解して体に取り込む消化活動を行います。消化管の働きを制御しているのが、自律神経です。

自律神経には、交感神経と副交感神経があります。さまざまな臓器を調整する役割を担っており、自分の意思では調整ができません。主に交感神経は「動・緊張」、副交感神経は「静・弛緩」の働きをしており、シーソーのようにバランスをとりながら、私たちの体の恒常性を保っています。循環、呼吸、消化、発汗・体温調節、内分泌機能、生殖機能や代謝といった機能のバランス・調整をつかさどっています。

消化管では、副交感神経が興奮すると消化活動が盛んになり、唾液や胃液の分泌量が増えて、胃腸の動きが活発になります。リラックスして食事をすると、食事がより美味しく感じられることは、誰にでも経験があることでしょう。これは、副交感神経が優位になり、消化活動が盛んになっているからです。しかし反対に、緊張しているときには食欲不振や食欲自体を全く感じなくなるといった経験もあるはずです。これは交感神経が優位になり過ぎたり、バランスを崩したりしたために起こっている現象です。このように、自律神経の乱れは胃腸の活動を大きく左右します。

では、どのようなときに自律神経が乱れるのでしょうか。自律神経が乱れるはっきりした理由はわかっていませんが、自律神経は心理的な影響を受けやすく、ストレスが大きく関わっているといわれています。

夏の猛暑が胃腸の障害を招く

食欲不振

ストレスは、物理的(暑さや寒さ、騒音など)、化学的(薬物など)、生物的(炎症、感染など)、心理的(怒り、不安など)といったさまざまなストレッサー(ストレス要因)によって引き起こされます。

夏の猛暑という物理的なストレッサーによって大きなストレスが引き起こされ、自律神経が乱れることによって、胃腸の障害を招きます。

交感神経が優位になり過ぎたとき、消化液の分泌が減り、胃腸の動きも鈍くなり、胃もたれ、食欲不振や消化不良に陥ります。

また、副交感神経が優位に働き過ぎた場合には、胃液の分泌が過剰になる(胃酸過多)ことで胃の内部(胃壁)を傷つけ、胃痛や胃潰瘍を招きます。

また最近では、さまざまなストレスによって、胃潰瘍や胃がんのような器質的な病気をもたないのに機能障害に陥る「機能性ディスペプシア」を発症している人が多いといわれています。

日本人の4人に1人が発症している機能性ディスペプシア

長期にわたって胃もたれや胃痛などの症状があるのに、内視鏡検査などをしても潰瘍やがんといった異常が見つからない場合、機能性ディスペプシア(機能性胃腸症、Functional dyspepsia :FD ())と診断されることがあります。2007年、安倍元首相が退陣前にこの病気で入院し、一躍有名になった病名です。かつては、慢性胃炎・神経性胃炎と呼ばれていました。日本人の4人に1人はこの症状を持っているという調査報告もあります。原因はわかっていないのですが、さまざまなストレスによる自律神経の乱れから機能障害が起こることが原因のひとつとして指摘されています。

主な症状は、食後の胃もたれ、少しの量ですぐにお腹が一杯になる(早期膨満感)、みぞおちの差し込むような痛み、みぞおち周囲が焼けた感じがするといった症状が、6か月以上にわたって、複合的に、たびたび起こります。

ストレスの軽減・十分な睡眠・食生活の改善・禁煙によって改善がみられることが多いようです。

病院では、胃酸の分泌を抑えるためにプロトンポンプ阻害剤やH2ブロッカー、消化器の運動機能改善にドパミンD2受容体拮抗薬・セロトニン5-HT4受容体作動薬・六君子湯(漢方薬)といったように、症状にあわせた対処療法が行われます。また、この疾患は以前からあるものですが、疾患名は新しいので、この疾患名に対する保険適応の治療薬はありません。

欧米では、non ulcer dyspepsia(NUD)いう診断名ですが、最近ではFunctional dyspepsia(FD)と呼ばれることの方が多いようです。

暑さを避けた快適な生活を心がけることが重要

では、この昨今の暑さの中、胃腸の健康を守るにはどうしたら良いのでしょうか。まずは「暑さ」という物理的なストレスをなるべく受けないようにしましょう。

  • 日中の暑い時間帯を避けて外出しましょう。
  • 暑さを我慢せず、室内ではエアコンと扇風機を上手に使って温度管理をしましょう。
  • 熱帯夜には、無理をせずに、快適な温度で熟睡するよう心がけましょう。
  • 入浴は、熱いお湯は交感神経を促進し、ぬるめのお湯は副交感神経を優位にさせます。
  • 朝は熱いシャワーで目を覚まし、夜はぬるめのお湯でリラックスしてから就寝しましょう。昼間、一日中エアコンがついた室内にいると、体が内臓まで冷えきっていることがありますので、ぬるめのお湯でじっくり温まったり、半身浴を行ったりすると良いでしょう。
  • 冷たいものを大量に摂らないよう、心がけましょう。冷たい飲み物は交感神経を刺激しますので、ぬるめのお湯や常温の水を少しずつ摂取することがオススメです。

そして、生活習慣の是正も大切です。

  • 過食、過飲、早食いを避け、胃に負担をかける油物、甘い物、香辛料の強い食物・コーヒー・アルコールなどを控えましょう。
  • 不規則な生活、喫煙を避け、ストレスが過剰にならないよう、十分な睡眠や運動をすることなども治療に良い効果をもたらします。

夏の胃腸障害よる気になる症状がある場合は、近くの病院に相談しましょう

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