骨粗鬆症予防:【医師監修】早いほど効果的!20歳前からはじめたい!

2017年3月1日 更新

目次

  1. はじめに
  2. 骨粗鬆症は寝たきりの原因?!
  3. そもそも骨強度の低下とは?
  4. 骨粗鬆症(骨強度低下)の原因は?
  5. 骨粗鬆症予防の基本は「食事・運動・日光浴」
  6. 骨粗鬆症検診を実施している市区町村があります
牛乳を飲む女の子

「骨粗鬆症」とは、骨の強度「骨強度」が低下して、骨折しやすくなる病気です。骨粗鬆症の漢字「粗」は、きめ細かくないこと、「鬆」はすきまや細かい穴があいた状態を意味します。つまり、骨の内部がヘチマのたわしや軽石のようにスカスカな状態になっていることを表しています。

正常な背骨の縦断面

正常な背骨の縦断面

骨粗鬆症の背骨の縦断面

骨粗鬆症の背骨の縦断面

資料提供:井上哲郎 浜松医科大学名誉教授

痛みなどの自覚症状がなく進行していくため、気づかないうちに骨がスカスカになってもろくなり、「少しの段差での転倒」「転んで手をつく」「くしゃみをする」などのわずかな衝撃で骨折してしまいます。

骨粗鬆症といえば高齢者がかかるイメージがあるため、予防も高齢になってからと思われることも少なくないかもしれません。

しかし、骨強度の増加や維持のもととなる骨量は、20歳前後をピークに少しずつ減少していくため、実際は、それまでにどれだけ骨量を増やせるかそれ以降にどれだけ骨量の減少を緩やかにするかが予防のポイントになります。つまり、骨粗鬆症予防のスタートは早ければ早いほど効果的ということになります。

今回は骨粗鬆症について予防なども含めて解説していきます。
知ったときがはじめどき!早ければ早いほど効果的な骨粗鬆症予防をはじめてみませんか?

○骨強度/骨量ってなに?
「骨強度」とは・・・
「骨密度」70%、「骨質」30%の要素で判断される骨の強さ

「骨密度」とは・・・
骨の内側(海綿骨)に含まれるカルシウムなどのミネラル成分のつまり具合を数値化したもの

「骨質」とは・・・
骨の素材の質や骨の構造、機能の質など、骨折への強さを表す骨の総合的な質

「骨量」とは・・・
骨全体に含まれるカルシウムなどのミネラル量
骨密度は骨量の一部を測定している数値なので、相関関係にあります。骨量を十分に増加、維持することは、骨強度、特に骨密度の増加・維持に直結します。

骨粗鬆症は寝たきりの原因?!

骨粗鬆症は骨がもろくなっているため、咳やくしゃみをする、しりもちをつくなどのわずかな衝撃で骨折してしまうことがあります。また、太ももの付け根(大腿骨近位部)の骨など、普通では折れないような太い骨も折れやすくなっています。

さらに、高齢者でよくある、背中や腰が曲がってしまう、身長が縮むという症状も、骨粗鬆症が原因であることが考えられます。体の重みに圧迫されることで、もろくなった背骨(椎体)がつぶれて、圧迫骨折を起こしている状態です。

このように、骨折をして歩けない状態が続いたり、背中や腰が曲がって動きづらくなることは、寝たきりの状態につながりやすく、結果的に健康寿命を短くしてしまいます。

厚生労働省の「2013年 国民生活基礎調査」によると、介護が必要となった主な原因で4番目に多い原因が「骨折・転倒(11.8%)」によるものです。

そもそも骨強度の低下とは?

下降グラフと人型

骨は固く、一度つくられると変化しないように見えますが、実際は骨を壊して吸収する働き(骨吸収)をする「破骨細胞」と、新しい骨をつくる働き(骨形成)をする「骨芽細胞」が絶えず骨の新陳代謝を繰り返し、古い骨を新しい骨に作り変えていきます。約10年をかけてすべての骨が入れ替わるとされていて、生涯繰り返されます。これを骨代謝(骨リモデリング)といいます。

この骨代謝(骨リモデリング)のバランスが崩れ、古い骨を壊す働き(骨吸収)に、新しい骨をつくる働き(骨形成)が追い付かなくなることで、骨がスカスカになり、骨密度 または 骨質が低下していきます。

前述のとおり、骨強度は骨密度と骨質の要素で維持されているため、どちらか一方でも低下してしまうと骨強度の低下も招きます。

骨密度

骨密度とは、骨の強度を表す尺度のひとつで、骨を構成する主要成分であるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分が骨の内側(海綿骨)にどのくらい詰まっているかを数値化したものです。

骨強度のひとつの要素である骨密度は少年期から思春期にかけて増えていき、成人期以降は徐々に低下していきます。骨密度がピーク(最大骨量)に達するのは、個人差はあるものの、20歳前後とされています。

骨質

骨の強度は長らく骨密度だけが影響しているとされてきました。しかし、骨密度が低くなくても骨折する場合があることから、現在では、骨強度は、骨密度(70%)と骨質(30%)の要素で総合的に判断されるようになりました。

骨質とは、骨折への強さを表す骨の総合的な質のことで、骨の素材としての質と、その素材をもとに作られた骨の構造の質により規定されます。

具体的には、

  • 骨の細かな構造(微細構造)
  • 骨代謝の機能の良し悪し(骨代謝回転)
  • 顕微鏡レベルでないと確認ができない細かい骨折の有無(微小骨折)
  • 硬い骨をつくるために必要な石灰化がどの程度おこなわれているか(骨組織の石灰化度)

などの複数の要素で規定されます。

さらに、骨質には骨の体積の約半分を占めている、コラーゲンの質も重要だと考えられています。
骨の構造を建物にたとえると、コラーゲンは骨組み、カルシウムなどのミネラル成分がコンクリートにあたります。どちらか一方でも劣化、減少してしまうと建物(骨)の強度は弱くなってしまいます。

このように骨質とは、骨の素材の質や骨の構造、機能の質など、骨折への強さを表す骨の総合的な質のことをいいます。

骨粗鬆症(骨強度低下)の原因は?

骨粗鬆症は、生活習慣病のひとつとして考えられており、他の生活習慣病と同様、遺伝的な要素加齢生活習慣が複合的に関係して起こるケースと、それ以外に、病気や薬など特定の原因から起こるケースがあります。

カルシウムなどの栄養摂取不足

体内のカルシウムは99%が骨と歯として、1%が血液や細胞内に存在しています。
血液や細胞内のカルシウムはごくわずかですが、神経伝達や筋肉の収縮など、生命の維持に必要な機能に関与しているため、常に一定の範囲内に保っておく必要があります。

そのため、カルシウムの摂取量が不足すると、カルシウムの貯蔵庫でもある骨から不足分を取り出して、一定量を保とうとします。

カルシウムの摂取不足が慢性的に続くと、骨から不足分を補い続けます。さらに骨を壊す働き(骨吸収)も変わらず機能し続けるため、骨のカルシウム量(骨量)の減りが加速し、骨強度が低下する原因となります。

その他にも、カルシウムの吸収を促進するビタミンDや、骨をつくるために必要なたんぱく質のもととなるビタミンKも重要な栄養素です。これらの栄養素が不足することも、骨をつくる働き(骨形成)が効率的に機能せず、骨密度や骨質の低下につながります。

運動不足

骨は、運動などで適度な負荷がかかると、骨密度が増加することが認められています。そのため運動不足の状態が続くと、骨密度の増加が促進されず骨強度が低下する原因となります。

加齢

前述のとおり、成人期以降の骨量は徐々に低下していきます。
これは、加齢にともない、骨代謝の機能のうち、新しい骨をつくりだす「骨芽細胞」の働きが低下していくことが原因となっています。

また、カルシウムの吸収効率を高めるためには、ビタミンDからつくられる活性型ビタミンDというホルモンが必要になりますが、加齢はこの活性型ビタミンDをつくりだす機能も低下させるため、カルシウムを効率よく吸収することができなくなっていきます。

このように、加齢によって新しい骨をつくる「骨形成」の働きを邪魔する要因が増え、骨を壊す「骨吸収」の働きばかりが進むため、骨強度が低下する原因となります。

閉経・女性ホルモンの減少

女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、「破骨細胞」の活動を抑えるため、骨を壊す働き(骨吸収)も抑えられます。

しかし、閉経期を迎えると女性ホルモンの減少にともない、エストロゲンの分泌も減少してしまうため、抑制されていた破骨細胞が活発になり、骨を壊す働き(骨吸収)も活性化し、新しい骨をつくる「骨形成」が追いつかなくなります。そうして閉経後の10年ほどの間に、骨量は著しく減少し、骨強度低下の原因になります。

骨粗鬆症の有病率が女性に多いのはこの閉経後の急激なホルモン変化によるものです。反対に、男性の有病率が少ないのは、成長期に形成される最大骨量が多いこと、女性のような急激なホルモン変化もないためです。

喫煙と過度の飲酒

喫煙には、骨を壊す働きを抑える「エストロゲン」の働きを邪魔する作用や、カルシウムの吸収を抑制してしまう作用があります。

過度の飲酒は、喫煙と同じく、カルシウムの吸収を抑制する作用や、カルシウムを尿として排泄を促進してしまう作用があります。骨粗鬆症性の骨折リスクはアルコールの摂取量に比例することがわかっています。

その他の原因

原因となる病気

  • 内分泌性疾患(パセドウ病など)
  • 糖尿病
  • 慢性腎臓病(CKD)
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • その他の生活習慣病
  • 関節リウマチ など

原因となる薬剤・治療

  • 長期ステロイド薬治療
  • 乳がんや前立腺がんなどに対する内分泌療法
  • 胃切除後 など

早ければ早いほど効果的!!骨粗鬆症予防

砂時計とカレンダー

骨粗鬆症予防のポイントは2つです。

  • 骨量がピークに達する20歳前後までに骨量をできるだけ増やす
  • 骨量の減少がはじまる20歳以降にできるだけ骨量を維持し、減少を緩やかにする

つまり、骨粗鬆症予防はスタートが早ければ早いほど効果的ということになります。

さらに年代別に、ライフスタイルが異なるため、強化するべき予防ポイントは変化します。

○年代別の予防ポイント

20歳前後まで:

第一に、骨量の増量期である20歳前後までに高い骨密度を得ることが重要です。この時期に高い骨量を得られると、以降に骨密度の低下があっても、骨粗鬆症の発症を遅らせることができます。バランスのとれた食事強度の高い運動で骨量を十分に増加させましょう。

中高年者:

女性においては、特に閉経後に急速に骨量が減少します。バランスのとれた食事はもちろん、飲酒、喫煙習慣の見直し、歩行運動などを中心に日常的に運動量、活動量を増やしましょう。

高齢者:

骨量が著しく低下しているため、骨折リスクが高くなっている年代です。それ以外の年代と同様、バランスのとれた食事適度な運動で骨量の維持をするとともに、骨折の原因となる転倒の防止が重量です。筋力やバランスを訓練するような運動を取り入れましょう。

次からは具体的な予防法をご紹介していきます。それぞれの年代に合った対策で、強い骨づくりを目指しましょう。

骨粗鬆症予防の基本は「食事・運動・日光浴」

海に向かってジョギングをする人

食生活のポイント! カルシウム・ビタミンD・ビタミンKを摂取する

骨粗鬆症の予防に必要な栄養素は、骨の主成分であるカルシウムが重要ですが、そのカルシウムを効率よく吸収して骨にする、ビタミンDやビタミンKなどの栄養素も必要です。

カルシウムの摂取量が十分に足りていても、ビタミンDやビタミンKが足りていない場合は、カルシウムから効率よく骨をつくりだすことができず、強い骨はつくられません。日常的に規則正しく、バランスのとれた食事をとりましょう。

カルシウム:

牛乳、乳製品、小松菜、水菜、大豆製品、ひじき、小魚、干しエビ など
牛乳や乳製品は、カルシウムの吸収率が高く1回でたくさん摂取することができるためおすすめの食品です。牛乳であれば、1日にコップ1杯(約200ml)程度とりましょう。

ビタミンD:

きくらげ、しいたけ、イワシ、イクラ、サンマ、サケ、ニシン、ウナギ など

ビタミンK:

わかめ、紅茶、緑茶、しそ、モロヘイヤ、納豆、小松菜、ホウレン草 など

運動のポイント!骨を刺激する運動

骨は負荷や刺激を加えると、骨の強さが増し、骨密度も増加すると考えられています。運動の一番の目的はこのように骨を強くすることですが、同時に筋力もきたえられ、身のこなしがよくなることで転倒の予防にもなり、骨折の防止につながります。

具体的には、球技重量挙げなどのように、踏み込みやジャンプ動作があり、骨にかかる負荷や刺激が大きいほど骨が強くなることがわかっています。

ただ、このような運動を日常的に取り入れることは難しいので、ジョギングウォーキングのように適度に重力のかかる運動でも十分効果的です。軽いダンベルを持つなど、少し負荷を増やすとより効果的です。

歩く機会を増やす階段を使う、日常の家事など、重力のかかる日常動作を増やすことでも、継続して行うことで効果が期待できます。できることからはじめてみましょう。

また、高齢者は骨量が著しく低下し、骨折リスクも高くなっているので、転倒予防のための筋力やバランス訓練も大切になってきます。

具体的には、片足立ちスクワットかかとの上げ下げなどです。支えを使っても構いません。毎日続けることが大切です。

日光浴のポイント!適度に直接紫外線を浴びる

カルシウムの吸収をよくするために、骨をつくるうえで欠かせないビタミンDは、皮膚から紫外線を浴びることで体内からもつくりだすことができます。

私たちは、食事からビタミンDをとることはもちろん、直接日光にあたることで、必要なビタミンDの一部を得ています。

地域や天候、服装などに影響されるため、一律の目安はありません。夏場の腫れた日であれば数分程度の日光にあたるだけで十分な地域もあります。

また、ビタミンDをつくるための紫外線はガラスを通さないので、屋内で日光にあたってもビタミンDはつくられません。また、曇りの日や、日陰の場合は、ビタミンDの生成効率が悪くなります。

しかし、夏場の直射日光や、長時間にわたって紫外線にあたることは、シミやしわ、発がん作用など、よくない影響もあるため、注意が必要です。

骨粗鬆症財団の推奨は以下のとおりです。

夏場・・・木陰で30分程度
冬場・・・手や顔に1時間程度

骨粗鬆症検診を実施している市区町村があります

検診結果と聴診器

骨粗鬆症検診を受けることは、現在の自分の骨の状態を知ることができ、効率的な骨粗鬆症予防や早期治療に有効です。

40歳から70歳の女性は、5年ごとに国が行っている節目検診を受けることができます。
それ以外にも、市区町村によって、骨粗鬆症検査を実施しています。対象年齢や費用は自治体ごとに異なるので、ご自身がお住いの地域の保健センターや保健所、市区役所に問い合わせてみましょう。

■ 参考サイト

骨粗鬆症で気になる症状がある場合は、近くの病院に相談しましょう

を探す。

※当コラムは東京内科医会のご協力によって作成されています。

東京内科医会は、常に最新の医学知識を学び、最良の医療を実践する魅力を持った何かを主体に、診療を行っている医師の集まりです。

コラム監修

Thumb-up大西医院
東京都大田区大森中1丁目18-6
大西 真由美 院長
筑波大学医学部卒、東京大学医学部大学院修了、医学博士 日本内科学会認定 総合内科専門医、日本血液学会認定 血液専門医、認定産業医

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