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多発性硬化症【Part1】

2012年2月掲載

この記事には【Part2】があります

症状と経過の多様さが特徴

多発性硬化症の患者さんは日本では約14,000人

多発性硬化症(Multiple Sclerosis:MS)という言葉を初めて聞かれる方も多いのではないでしょうか。日本ではまだ聞きなれないこの病気ですが、日本よりも欧米に患者さんが多く、欧米諸国では比較的よく知られています。MSは、世界中で増加傾向にあるといわれており、日本においても例外ではありません。日本では約14,000人の患者さんがこの病と闘っています(難病情報センター「特定疾患医療受給者証交付件数」より 平成22年3月31日現在)。

この病気のネックは「症状がわかりにくい」こと、そして「認知度が低い」こと。MSは、早期に治療を行うことが、悪化を食い止めるカギとなる場合が多いにもかかわらず、症状がわかりにくく認知度が低いために、放置されてしまうことも珍しくありません。

知識を深めることで、自分や周囲の人に気になる症状がみられる場合には、早めに専門医を受診するようにしましょう。専門医の探し方などについては、Part2でお伝えしますので、ご一読ください。

原因不明の自己免疫疾患

MSは中枢神経(脳・脊髄)と視神経に症状がでる原因不明の自己免疫疾患(※1)です。中枢神経と視神経の神経線維(軸索)は、髄鞘(ずいしょう)(ミエリン)というカバーで覆われています。電気を伝える電線をイメージしてください。電線を「神経線維」、電線を保護するために覆っているビニールのカバーを「髄鞘」、その中を流れる電気を「伝達する情報と反応」に見たてることができます。

電線がカバーで守られていることで、電気はスムーズに流れていきます。しかし、電線のカバーがところどころ破損してしまったらどうなるでしょうか。途中で漏電して、しかるべき場所まで電気が届かなかったり、ほかの電線に電気が伝わったりといった混乱が考えられます。 MSはこのカバーにあたる髄鞘が壊れて(脱髄(だつずい))神経線維がむき出しになることで、中枢神経に伝わるべき外部からの情報や、中枢神経から末梢神経(※2)に送られるべき反応(司令)が伝達されにくくなったり、遮断されたりすることで、さまざまな症状を引き起こす病気です。

なぜ髄鞘が壊れるかという原因は明らかではありませんが、免疫(※1)システムが誤って髄鞘を異物と判断し、攻撃してしまうことが原因だといわれています。

20~40代の女性に発症することが多いのですが、それ以外の年代や男性でも発生することもあります。有名人では、噺家の林家こん平さんがMSを闘病中です。

多発性硬化症,神経

※1免疫は本来、細菌やウイルスといった異物から、自分の体を守るための防御システムです。自己免疫疾患とよばれている病気は、このほかには、1型糖尿病・関節リウマチ・バセドウ病などがあります。

※2末梢神経は、嗅神経・視神経など12の神経を司る「脳神経」と、運動神経・知覚神経など31の神経を司る「脊髄神経」の総称です。

症状と経過には、著しい個人差が

MSは、症状がさまざまな部位(空間的)に再発を繰り返す(時間的)という意味の「多発」と、病変が古くなると硬くなること(硬化する)からこの名前がつきました。名前があらわすように、1つの病気とは思えないほどの多様な症状と再発(※3)のパターンがこの病気の特徴です。

※3これまでになかった症状がでたり、今ある症状が悪化したりといった、治療が必要になる状態をさします。

【主な症状】

■視覚障害
視野が欠ける・二重に見える・ぼやける・文字が読めない・色がわからない・何となく暗い、など。目を動かすと痛みを感じる・目の奥に痛みを伴うこともあります。
■運動障害
上手く歩けない・力が入らない・すぐに力がなくなってしまう・ガクガクする・つっぱりのためにスムーズに動けなくなる、など。
■感覚障害
感覚が鈍い・温度の感覚がわからない・熱さと冷たさの感覚が逆になる・皮膚の上に薄い紙が置かれているような感じがする、など。多くの場合、部分的に症状があらわれます。
■異常感覚
チクチクする・ピリピリする・ジンジンする・しびれる・かゆい・小さな虫が歩いているように感じる、など。首を曲げると腰から足にかけてしびれや痛みが走ることがあり、これを「レルミット徴候」と呼びます。
■痛み
焼けるように痛い・針で刺されたように痛い・感電したように痛い・体を何かで締め付けられているように痛い、など。手足を動かすと、痛みを伴ってつっぱりが起こる、いわゆる「つった」状態になることがあり、これを「有痛性強直性痙攣(ゆうつうせいきょうちょくせいけいれん)」といいます。
■疲労
急にエネルギーが切れた感じ・起きたばかりなのに疲れている、など。神経の伝導が上手くいかないため動くとすぐに疲れてしまいます。多くはこまめに休息を取ることで回復しますが、突然、原因もなくひどい疲労が起こることもあります。
■めまい(平衡障害)・ふるえ
ふらふらする・まっすぐ歩けない・酔っぱらっているよう、いつもグルグル回っている感じがする、など。そのために吐き気をもよおすこともあります。また、ふるえが起こることもあります。
嚥下(えんげ)障害、しゃっくり、吐き気
物が飲み込みづらくなることがあります。また、しゃっくりが続き、1日から数日間にも渡って止まらなくなることもあります。ひどい吐き気が起こることがあり、実際に吐いてしまうこともあります。
■排泄障害
トイレの回数が多い・急にトイレに行きたくなる・尿が出にくい・漏らしてしまう・尿を出し切った感じがしない、など。便秘の症状もよくみられます。
■認知・感情の障害
物忘れが多くなった・判断力が低下した・集中力がない、など。仕事に支障を来すほど物忘れが激しくなることもあります。また、うつ症状がよくみられます。
■体温との関連
お風呂に入ると力が入らなくなる・お風呂に入ると視力が悪くなる・運動すると体がふにゃふにゃになる、など。体温が上がると一時的に症状がひどくなったり、別の症状が出てきたりすることがあります。これは「ウートフ徴候」と呼ばれ、体温が下がれば症状は回復します。

これらが主な症状ですが、中枢神経系のどこに病変ができるか、また、病巣の大きさ、ダメージの程度によって、症状がでる部位や状態が異なってくるため、その症状の多様さは、同じ病気とは思えないほどの個人差があります。

【再発パターン】

再発を繰り返すことが多いMSですが、再発の頻度や程度は人によって異なります。また、どんな検査をしても、再発を予測することはできません。再発は主に4つのパターンに分けられますが、この分類が全てとはいえません。これらのタイプに当てはまらない場合もしばしばみられます。

多発性硬化症,再発パターン
再発寛解型(さいはつかんかいがた)MS(RRMS)
最も多くの方に見られるパターンです。再発期と症状が落ち着いている寛解期を交互に繰り返します。寛解期には、ほとんど正常にまで回復する人がいる一方で、一部の症状が残っている人もおり、さまざまです。
■二次進行型MS(SPMS)
初期には再発期と寛解期が交互に訪れますが、徐々に病気そのものが進行していくタイプのMSです。日本では少ないといわれています。
■一次進行型MS(PPMS)
再発・寛解といった時期がなく、継続的に症状が悪化していくタイプのMSです。日本では少ないといわれています。
■良性型MS
再発をほとんど起こさず、発症から数年を経ても後遺症をほとんど残さないパターンのMSです。

2012年3月下旬に公開予定のPart2では、医療機関の受診や治療などについてお伝えします。

今回の「多発性硬化症(MS)」のコラムは、特定非営利活動法人MSキャビンの資料を一部引用して作成しています。MSキャビンのサイトでは、多発性硬化症に関する詳しい情報や最新情報を掲載していますので、あわせて参考にされることをおすすめ致します。

ComputerNPO法人MSキャビン[http://www.mscabin.org/]

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多発性硬化症で気になる症状がある場合は、近くの病院に相談しましょう。

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