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睡眠時無呼吸症候群

2012年10月掲載
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生活習慣病とも深い関わりがある「睡眠時無呼吸症候群」
2013年9月更新
睡眠時無呼吸症候群

睡眠には、眠っているにもかかわらず脳波が覚醒時とほとんど同じ所見を示すレム睡眠と、睡眠脳波を示す睡眠の時期のノンレム睡眠があり、夜の睡眠にレム睡眠とノンレム睡眠が交代して出現しています。

レム睡眠は回数や持続時間も少なく(20~30分間の持続、1.5~2時間の間隔)、ノンレム睡眠が圧倒的に多くみられます。

寝ついた直後はノンレム睡眠が目立ち、レム睡眠は明け方近くに多くなります。レム睡眠時は、眼球運動が起こったり心拍や呼吸が乱れ、血圧がはげしく変動したりし、このときには夢をみているといわれています。

睡眠時無呼吸症候群とは?

では、この睡眠中に起こる睡眠時無呼吸症候群とはいったいどんな病気なのでしょうか? 睡眠中にしばしば呼吸が停止し、その結果、日中の生活に様々な悪影響を及ぼすことから、近年注目を集めている疾患です。

無呼吸とは、10秒以上の口や鼻での気流の停止と定義されています。この無呼吸が一晩の睡眠中(約7時間)に30回以上認められ、かつレム睡眠とノンレム睡眠の両方に認められる病態をいいます。1時間あたりの無呼吸の回数を無呼吸指数(AI)として、一般的にAIが5回以上を睡眠時無呼吸症候群(SAS=Sleep Apnea Syndrome)としています。

完全な呼吸停止でなくても、換気量が50%以上低下し、動脈血の酸素飽和度が4%以上低下した場合には低換気とよび、無呼吸と同じような病的意義があると考えられています。1時間あたりの無呼吸と低換気を無呼吸低換気指数(AHI)として、AHIが5以上を睡眠時無呼吸症候群とすることも広く行われています。

アメリカでは全男性成人の4%、全女性成人の2%が睡眠時無呼吸症侯群に罹患しているとされ、わが国でも同じ程度の罹患率があるとされています。

<分類>

睡眠時無呼吸症侯群は、睡眠検査(ポリソムノグラフィー)によって閉塞型と中枢型に大きく分けられます。

○閉塞型
呼吸運動があるにもかかわらず、無呼吸が起こる場合で、上気道(とくに咽頭部)が閉塞した時に起こります。睡眠時無呼吸症候群のほとんどは閉塞型で、単に睡眠時無呼吸症侯群といった場合は通常閉塞型を指します。
○中枢型
呼吸中枢の障害によって、呼吸運動(横隔膜の運動)そのものが停止することにより起こる無呼吸です。脳幹部の障害によって起きる比較的まれな睡眠時無呼吸です。

<病態生理>

仰臥位(ぎょうがい)になると舌根部が沈下し、上気道は狭くなります。睡眠状態になると全身の筋肉は弛緩しますが、上気道を構成する筋群も弛緩するため、上気道はさらに狭小化します。健康な人ならばこの程度の狭小化は呼吸にほとんど影響はありません。

上気道がもともと狭い場合(肥満症、小顎症、下顎後退症など)や、上気道筋の活動性が低下して弛緩しやすい場合には、睡眠時に上気道が狭小化します。狭くなった上気道を空気が無理に通過するときに発する振動音がいびきです。閉塞型の睡眠時無呼吸症侯群は、上気道が狭小化するだけでなく、完全に閉塞したときに出現します。

睡眠時無呼吸症侯群になるのはすべて、常にいびきをかく人ですが、反対にいびきをかく人のすべてが睡眠時無呼吸症候群になるわけではありません。無呼吸が持続すると、それに伴い血液中の酸素飽和度は著明に低下し、著しい低酸素状態を示します。1分以上の無呼吸もまれではありません。 通常、無呼吸は持続しても、どこかで必ず呼吸が再開します。このときに、脳波上に覚醒現象が現れます。覚醒すると、上気道が開いて呼吸が再開します。しばらく呼吸するうちに、再び睡眠状態になり、上気道筋が弛緩して無呼吸が始まります。

このように、無呼吸-覚醒-呼吸再開-睡眠-無呼吸を繰り返すため、深く良質な睡眠をとることができなくなります。

<症状>

異常な眠気

著明な症状はいびきです。閉塞型の無呼吸症侯群に必須の症状です。いびきは睡眠中の上気道の狭小化を表していますが、いびきを常にかく人のすべてが閉塞型の無呼吸症候群になるわけではありません。

肥満は、閉塞型無呼吸症侯群の最大の危険因子となります。仰臥位(仰向き)で上気道が狭くなりやすいためです。肥満でなくても、顎が小さい人や、後退している人では、同様に上気道が狭くなりやすくなります。

閉塞型睡眠時無呼吸症候群の患者は、頻回に中途覚醒を起こします。その結果、深い睡眠がとれず、日中に異常な眠気に襲われます。日中の異常な眠気は、最も特徴的な症状です。

異常な眠気の結果、集中カが欠如し、社会生活に大きな影響が現れてきます。 とくに交通事故の頻発は大きな問題です。無呼吸の結果、著明な低酸素状態が招来され、とくに肺高血圧、高血圧、冠動脈疾患、脳血管障害などの循環系の合併症を伴うことが多くみられます。

<検査>

一般的な検査では、異常所見はないことが多いのですが、肥満があるときは、高脂血症、脂肪肝による肝機能異常が認められることがあります。診断に最も有用な検査はPSG(ポリソムノグラフィー)です。これは脳波、眼電図、筋電図、心電図、呼吸運動、酸素飽和度などの生理学的指標を一晩中連続的にモニタリングする検査です。

<診断>

確定診断にはPSGが必要です。PSGにより、睡眠時無呼吸症侯群の型、重症度、睡眠状態など必要な情報をすべて得ることができます。 重症度はAHI(無呼吸低換気指数)をもとに、

  • 軽度:5≦AHI<15
  • 中等度:15≦AHI<30
  • 重症度:AHI≧30

に分類されます。

PSGは一般病院ではできないため、脳波を除いた簡易型の機器を用いて行う場合は自宅でも検査が可能です。睡眠状態は検査できませんが、無呼吸の程度や重症度をある程度判定することはできます。

中~壮年の肥満した男性で、顕著ないびきと日中の眠気を訴えている場合には閉塞型無呼吸症候群の可能性もあるので、検査を行う必要があります。

<治療>

経鼻的持続陽圧呼吸療法(nasa1CPAP)

最も有効な治療法は経鼻的持続陽圧呼吸療法(nasa1CPAP)です。これは就寝時に機器を装着し、空気を吸入しながら就寝します。鼻マスクを介して上気道に空気が送られ、この空気が上気道の閉塞を防止します。効果は劇的で、睡眠中の無呼吸はほぼ完全に防止されます。

その結果、中途覚醒は減少し、深い睡眠をとることができるために、日中の眠気は消失します。nasa1CPAPの装着による交通事故(追突)の減少が証明されています。

nasa1CPAPはその有効性、安全性が世界的に確立されており、閉塞型睡眠時無呼吸症候群治療の第一選択ではありますが、機器装着のわずらわしさ、鼻マスクの不快感などの問題点もあります。

また、厚生労働省の認める健康保険適用基準は、無呼吸低換気指数が20以上の中等症以上であり、軽症例では適用できません。

扁桃肥大が原因である場合は、扁桃摘出が第一選択となります。上気道が全体に狭い場合には、上気道拡大手術が行われることがありますが、有効率はnasa1CPAPより低くなります。

就寝時にマウスピースを装着して下顎を前方に移動させ、上気道を広げる口腔内装具も用いられます。簡便で、軽症~中等症には有効です。

多くの例は肥満を伴っているため、減量をしなければなりませんが、実際には減量だけでは睡眠時無呼吸症侯群を完全に消失させるのは困難です。仰臥位では舌根部が沈下して上気道が狭くなるため、上気道の狭小化を防ぐ側臥位(横向き)で寝るようにします(軽症例で有効)。アルコールや睡眠薬は上気道筋を弛緩させるため、就寝時には禁止します。

いびき・睡眠時無呼吸症候群で気になる症状がある場合は、近くの病院に相談しましょう

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このコラムの執筆者

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恒川 洋(院長)・中川 由美

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