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アルコール性肝障害

2012年12月掲載

病態に関わらずアルコールを長期間、過剰に摂取することが原因で起こる肝細胞の障害を、アルコール性肝障害と呼びます。
肝障害の進行度により、次のように分けられます。

アルコール性肝炎
◆アルコール性脂肪肝
アルコールによる肝脂肪代謝障害により、中性脂肪が肝細胞内に沈着した状態。禁酒によって比較的速やかに治癒する軽症型。
◆アルコール性肝線維症
肝細胞周囲や中心静脈に線維化が生じたもの。脂肪肝に比べて時間はかかるものの、禁酒により線維が吸収され治癒します。日本人に多いタイプ。
◆アルコール性肝炎
常習飲酒者の飲酒量がさらに増えた際に肝障害を起こすもの。肝細胞の変性、壊死と炎症反応が生じた病態。
◆アルコール性肝硬変
常習飲酒者で、肝障害が長く続くと、アルコール性肝硬変に移行します。1日に日本酒6~7合・20年で肝硬変の発生は40~50%と言われています。

原 因

アルコール(エタノール)は、肝臓でアセトアルデヒドからアセテート(酢酸)へと酸化され処理されます。このアセトアルデヒドには、肝細胞を障害する毒性のほか、コラーゲンの産生に関与している細胞を刺激して肝の線維化を促す作用があります。 アルコール性肝障害は、この肝細胞毒性と線維化という2つの直接的な作用が中心となって起こります。さらに、栄養障害や免疫異常、遺伝的素因がこれらに促進的に作用します。

症 状

初期は自覚症状に乏しいことも多いのですが、疾病の程度によって次のような症状が現われます。

  1. 腹部の膨満感、食欲不振、嘔気
  2. 下痢・上腹部痛・発熱・全身倦怠感
  3. 黄疸・消化管出血・腹水

合 併 症

アルコール性肝障害を放置したまま進行すると、肝不全や消化管出血などを引き起こし、命を落とすこともまれではありません。また、脳症や精神神経症状を発症するおそれもあります。このほか感染症の危険性が増すことにも注意が必要です。

診 断

アルコール性肝障害の診断では、飲酒歴から、日本酒を毎日平均3合(ビール大ビン3本、ウイスキーダブル3杯に相当)以上を、少なくとも5年以上続けている「常習飲酒家」であることを確認します。 また、アルコール性肝硬変と診断するには、毎日日本酒にして5合以上を、10年以上続けている「大酒家」であること。

検 査 内 容

  • 血液検査:GOT、GPTの高値(GOT>GPT)、LDH、γ-GTP、ビリルビンの高値。
  • 高脂血症、高尿酸血症を伴うことが多い。
  • 水・電解質異常。
  • 超音波・X線CT検査:脂肪肝、肝腫大などチェック。
  • 肝生検:脂肪肝、肝細胞の壊死、線維化など。

治 療

アルコール性肝炎
★基本方針
治療の基本は禁酒です。初期には禁酒と食事療法のみで症状が改善することも少なくありません。肝障害が進行した場合や、糖尿病や高脂血症を合併している場合には、病態に応じた薬物療法が必要です。肝炎や肝硬変の重症例では、入院加療が必要となります。
★食事療法
高タンパク、高ビタミン、十分なエネルギー摂取が必要です。アルコール性肝障害は、栄養障害を伴うことが多く、十分なエネルギーと栄養補給が肝障害の改善に有効であることが明らかにされています タンパク質は、1日に1.5~2.0g×標準体重kg、エネルギーは1日30~35kcal×標準体重㎏を摂取の目安とします。肥満症や糖尿病を合併している場合には、摂取エネルギーを調節し、過食を避け、体重の減少を図る必要があります。
★薬物療法
  • ビタミン剤:ビタミンB群・C・K2
  • 肝機能改善薬:プロヘパール、ウルソ、強カネオミノファーゲンC、イーピーエル
  • アルコール性肝炎重症例には、ステロイド、グルカゴン、インスリンなどが処方されます。

症状が軽快しても、飲酒習慣が続けば必ず再発します。『ついつい』が病気を作り出すかもしれません。アルコールはあくまでもほどほどに…。

このコラムの執筆者

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恒川 洋(院長)・中川 由美

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恒川洋先生
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