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アルコール飲料の適量は?【医師監修】

公開日: 2013-12-02
更新日: 2013-12-02
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私たちにとって身近な存在のアルコール飲料。飲みすぎた翌日のひどい二日酔い、酔っ払った勢いで言わなくてもいいことを言ってしまった等々、少なからず皆さんにも経験があるのではないでしょうか。 これからは忘年会やクリスマスパーティー真っ盛りの時期。お酒の適量を知って、お酒と賢く付き合いましょう。

医師紹介

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内科医師 石川 徹理事長
東京内科医会常任理事
板橋区医医師会副会長

お酒の適量ってどのくらい?

よく「適度の飲酒」ということが言われますが、皆さんはこの適度、お酒の「適量」をご存知ですか?お酒の適量とは、一体どのくらいの量をいうのでしょうか?ここで参考になるのが、血中のアルコール濃度です。

体内に入ったアルコールは、大部分が胃や小腸で吸収され、血液に溶け込んで、肝臓に運ばれ、肝臓で分解されます。しかし肝臓のアルコール処理能力は限界があり、処理しきれなかった分のアルコールは血液中に残ります。血液中にどれだけアルコールが残っているかを「血中アルコール濃度」として表わします。お酒の「適量」とはこの血中アルコール濃度が0.1%までに抑えられる分量をいいます。

お酒の単位

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では、「血中アルコール濃度0.1%」とは、どのくらいの量なのでしょうか?

血中濃度が0.1%までに抑えるといっても、どの程度飲んでいいのか解りにくいですね。
そこで、便利なのが「お酒の単位」という考え方です。アルコール摂取量の基準とされるお酒の1単位とは、純アルコールに換算して20gです。これは、体重60kgの人が30分以内に飲んだ場合、肝臓において4~5時間で分解される量に相当するといわれています。これを各種アルコール飲料に換算したものが下記の表になります。

お酒の1単位(純アルコールにして20g)

ビール 中びん1本 アルコール度数5度の場合 500ml
日本酒 1合 アルコール度数15度の場合 180ml
焼酎 0.6合 アルコール度数25度の場合 約110ml
ウイスキー ダブル1杯 アルコール度数43度の場合 60ml
ワイン 1/4本 アルコール度数14度の場合 約180ml
缶チューハイ 1.5缶 アルコール度数5度の場合 約520ml

※公益社団法人 アルコール医学協会より

アルコールの安全な摂取は「1日1単位、多くても2単位まで」というのが定説とされています。これだけのアルコールを処理するのに肝臓はかなりの時間をかけるわけで、これ以上飲酒すればするほど肝臓に負担をかけることになります。ビールなら中びん1~2本、日本酒なら1~2合が「適量」となります。なお、女性の場合には飲酒量はさらに少ないほうが安全と考えられています。

また、日本人にはアルコールを全くといっていいほど肝臓で分解できない体質の方も多く存在しています。こういった方が「イッキ飲み」のような形で飲酒する(飲酒させられる)と急性アルコール中毒になり、重篤な状態、さらに死亡にまで至ることがあります。昨年は5名、本年も4名の大学生が死亡しています。飲酒の強制や「イッキ飲み」は絶対にやめてください

飲酒を続けることで引き起こされる肝臓病

適量を超えて飲酒を続けていると、二日酔いなどだけでなく、いろいろな臓器に病気が起こってきます。なかでもアルコールによる慢性の肝機能障害は最も高頻度で、また取り返しのつかない状態になることもあります。

アルコールの過剰摂取に注意して、早期発見、早期治療のために定期健診を受けましょう。

※当コラムは東京内科医会のご協力によって作成されています。

東京内科医会は、常に最新の医学知識を学び、最良の医療を実践する魅力を持った何かを主体に、診療を行っている医師の集まりです。