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MERS(マーズ 中東呼吸器症候群) - その症状、予防法とは?

2015年6月掲載

韓国で感染者が増加

隣国である韓国では、2015年6月3日現在、死者2人、感染者数は30人を超え、隔離対象者も1300人に上っており、増え続ける数値からは終息の兆しが見えてきません。
また、感染者が自国内に留まらず中国へ移動したことや、隔離対象者が行方不明になるなど混乱を来しています。

国交の盛んな隣国で起きている問題です。猛威をふるうMERSとは、いったいどんな病気なのでしょうか?

この機会に正しい知識を得ておきましょう。

死亡率40%!!新しい感染症MERS(中東呼吸器症候群)

MERSウイルス

MERS(中東呼吸器症候群)は、2012年に初めて報告された新しい種類のコロナウイルスによる感染症です。2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因病原体であるSARSコロナウイルスとは近縁ですが、異なる種類のウイルスです。
MERS(中東呼吸器症候群)は、病原性や症状の重さから感染した場合には入院が勧告される「二類感染症」に指定されています。

中東地域に居住している人、中東地域に渡航歴のある人、またはMERS患者さんと接触した人からの発症が継続的に報告されています。
世界保健機関(WHO)が6月1日に公表したMERSの確定感染者数は、これまでに累計1,154人で、このうち関連死亡者数は少なくとも431人であると報告されていて、死亡率が40%前後と非常に高いのが特徴です。
またWHOによれば、過去半年間(6月1日現在)で感染例報告があった国は、サウジアラビア、アラブ 首長国連邦、カタール、オマーン、ヨルダン及びイランです。また、同期間中には、ドイツ、フィリピン及び韓国で、中東訪問歴のある人の発症例(輸入感染症例)が報告されています。さらに、韓国の輸入感染症例患者さんの密接接触者で中国に渡航した韓国人1名について、MERS感染が確認されています。

ラクダが感染源?!

MERSウイルスとラクダ

感染経路は、正確には分かっていませんが、ヒトコブラクダがMERSコロナウイルスの感染源動物の一つであると推定されています。
しかしながら、患者さんの中には動物との接触歴がない人も多く含まれます。家族間、または患者さんから医療従事者や他の患者さんに感染した例が報告されていて、濃厚接触による感染が存在するとされています。
ただし、季節性インフルエンザのように、次々にヒトからヒトに感染することはないと言われています。

韓国国内及び中国で発生しているMERSは変種の可能性も

昨年までのMERSは、一人当たり0.6人に感染するといわれていました。このレベルであれば確かにヒトからヒトへの感染力は強くありません。 しかし、最近サウジアラビアで出た論文によると「2-7人を感染させる」と書かれています。
実際に、今回韓国で発病した患者さんの場合、一人で20人以上を感染(スーパー拡散-Superspreading event)させており、中には患者さんとの接触が殆どなかった医師や個室に入院していた患者さんも感染するなど、過去の事例をそのまま当てはめて考える事が困難な状況になっています。
ソウル大学医学部運営ボラメ病院感染内科のバン・ジファン教授は「MERSコロナウイルスは非常によく変化するため、遺伝子変異の可能性を排除できない」と語っています。

発病した患者さんの隔離状況等によっても感染力は変わるため、一概に変種と決めつけるべきではないかもしれません。しかし、一方で「感染力が弱いから大丈夫」と油断してしまうことは、今回の韓国の例からも危険な行為といえそうです。

中東呼吸器症候群の名前の通り、肺炎による呼吸器疾患が主な症状

肺炎が主な症状です。しかし、必ず起こるわけではありません。全く症状が見られない場合や軽度の呼吸器症状から重症急性呼吸器疾患や死亡まで多岐にわたります。
典型的な症状は、発熱、せき、息切れなどです。下痢などの消化器症状を伴う場合もあります。
特に高齢の人や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患のある人が重症になりやすいようです。

治療方法はまだ確立されておらず・・・

残念ながら現在、MERSに対する確立した治療法はありません。
患者さんの症状に応じて治療を行っていく対症療法になります。

MERSに感染しないために・・・

手を洗う

●日常生活でできる予防方法

  • 休息、栄養を十分に取り、体に抵抗力をつける。
  • 手洗い、うがいを心がける。
  • マスクを着用する。
  • 咳やくしゃみの症状がある患者さんとは、可能な限り濃厚接触を避ける。

●中東地域や現在発症患者さんがいる地域を旅行する場合には

現段階では、WHOは、MERSコロナウイルス感染の影響が及んだ国への渡航や貿易に対する制限をしていませんが、感染例が報告されている地域に渡航、滞在する予定の人は、渡航前に現地の最新の情報を検疫所ホームページ、外務省 海外安全ホームページ、日本国大使館ホームページなどで確認しましょう。

また下記を参考に感染予防に努めましょう。

  • 旅行中現地では、手洗い・うがいの徹底、加熱が不十分な食品や不衛生な状況で調理された料理をさける、果物、野菜は食べる前によく洗う、といった一般的な衛生対策を心がけましょう。
  • 高齢の方や慢性疾患(糖尿病、高血圧、喘息、腎障害、心疾患、呼吸器疾患等)を持っている方は重症化するリスクが高いため注意が必要です。渡航の是非を含め事前にかかりつけ医と相談してください。
  • 感染源である可能性が高い動物(ラクダなど)との接触を避けましょう。ラクダは威嚇行動でつばを吐くことがあるため、不用意な接近は避けましょう。また、未殺菌のラクダ乳の摂取はやめてください。
  • 咳やくしゃみの症状がある患者さんとは、可能な限り濃厚接触を避けましょう。
  • 旅行後帰国時に発熱や咳などの症状がある方は、空港内等の検疫所に相談しましょう。

感染したかなと思ったら、保健所へ連絡しましょう

医師

帰国後14日以内に、発熱や咳などの症状が現れた場合には、直接医療機関には行かずに、事前に最寄りの保健所に連絡の上、中東地域や現在発症者がいる地域に滞在していたことを告げて指示を仰いでください。
医療従事者への感染が多く報告されています。感染の拡大を防ぐために、必ず電話で問い合わせてから受診しましょう
全国保健所一覧

では、どのような症状がみられた時に、保健所に相談したらよいのでしょうか。

主な症状は・・・
・38℃以上の発熱
・咳
・息切れなど

※軽症時や、上記とはやや異なった症状をみせる場合もあります。一般的な風邪の症状と重なるため、具合が悪い時には、早めに相談しましょう。

厚生労働省ではMERSに感染した疑いのある患者さんが見つかった場合、検査を迅速に実施し、感染の有無を確認できるように、全国の自治体と検疫所にMERSウイルス検査のための試薬を配布するなどして、検査体制を整備しています。

2015年6月5日更新
厚生労働省では、2015年6月5日現在、韓国で多数の患者が発生していることを踏まえ、MERSに関連する情報提供を強化しています。最新の情報はこちらから確認してください。
中東呼吸器症候群(MERS)についてー厚生労働省

現在、日本での感染の報告はありませんので、過度な心配は必要ありませんが、日常できる感染予防はどんな疾患にも有効です。日頃から手洗い・うがい、マスクの着用など心がけましょう。

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