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今話題の「多剤耐性菌」!

2010年9月掲載

アシネトバクター、NDM-1遺伝子保有の細菌…多剤耐性菌の恐怖

多剤耐性菌とは?

多剤耐性菌

最近になって、新聞やニュースを騒がせている「多剤耐性菌」。 初めて耳にした方も多いのではないでしょうか。

多剤耐性菌とは、読んで字のごとく、たくさんの薬に耐性がある細菌のこと。 普通、細菌やウイルスによる感染症には抗生物質が良く効くといわれていますが、これは抗生物質が効かなくなったため手の打ちようがない厄介なもので、「スーパー耐性菌」とも呼ばれています。

多剤耐性アシネトバクター・バウマニ(MDAB/MDRAB)

2010年9月9日までに帝京大学医学部附属病院(東京都板橋区)で53人が感染し、31名の死亡が確認されている細菌です。 帝京大学医学部附属病院以外にも、藤田保健衛生大学病院(愛知県豊明市)やその他2病院でも感染者が確認されています。

アシネトバクター・バウマニは、アシネトバクター属の細菌の19種のうちの1つです。

もともとアシネトバクターは病院だけでなく、広く自然界に存在する細菌です(常在菌)。 土壌などの暖かく湿った環境を好む一方で、健康な人の皮膚にいることもあり、乾燥した環境でも長く生存することができます。

生命力は強いものの感染力は弱く、健康な人に菌がついてもいつの間には消滅してしまう、通常はそれほど害のない菌ですが、体力の弱った人や免疫力のない人(病人や手術後の患者さん、お年寄りなど)には感染症を起こすことがあります(日和見感染)。 感染した場合、肺炎などの呼吸器疾患や敗血症、尿路感染症、髄膜炎などに陥ります。

通常のアシネトバクターの場合、抗生物質が効きますが、今回の細菌は通常のアシネトバクターが変容したもので、抗生物質が効かず、院内感染をはじめとした流行が危ぶまれています。

「NDM-1(New Delhi Metallo-β-lactamase)」遺伝子保有の細菌

日本で初めてNDM-1という遺伝子をもつ大腸菌が獨協医科大学病院(栃木県壬生町)で確認されました。

この患者はインドより帰国後、2010年5月に入院をしていましたが、現在は退院し、完治しています。院内感染はなかったとの発表でした。

このNDM-1遺伝子保有の細菌は日本では初めての報告ですが、2007年にインド・パキスタンで発生し欧米へと広がりを見せており、2010年8月にはベルギーで死亡者もでています。抗生物質を分解するNDM-1という酵素の遺伝子を取り込んだ、抗生剤の効かない新型の細菌です。

今回の感染はNDM-1遺伝子保有の大腸菌でしたが、NDM-1遺伝子は他の細菌にも取り込まれる可能性があります。「抗生物質が効かない」という点が共通している以外は、取り込まれた細菌のタイプによって特徴が異なります(乾燥、熱、感染力の強い・弱いなど)。

また非常に特殊な点は、健康な人にも感染する場合もあり、病院外での感染(市中感染)も心配されています。

多剤耐性菌は人類と細菌の種のいたちごっこの結果

いたちごっこ

そもそも、どうして多剤耐性菌が生まれたのでしょうか。

多剤耐性菌は、むやみな抗生物質の乱用や中途半端に服用することで、耐性を持った菌が生まれると考えられています。細菌は生物ですので、環境に適応しようと変化します。抗生物質が治療に使われることで、抵抗力を持つようになり、抗生物質が効かない多剤耐性菌に進化をとげます。

ただし、感染症の治療には必ずといっていいほど、抗生物質が必要です。

「抗生物質の使用」→「耐性菌の発生」→「新たな抗生物質の開発・使用」→「新たな耐性菌の発生」と、人類と細菌・ウイルスは種の存続をかけた、止めることができないいたちごっこを続けている訳です。

多剤耐性菌の予防は手洗いとアルコール除菌!

アルコール除菌

多剤耐性菌にはワクチンがありません。また、感染してしまったら、現状では効く薬がありませんので、何よりも予防が大切だといえます。

アシネトバクターも大腸菌も常に日常周辺にある菌ですので、健康な人によって体力・免疫力の弱まった人へ細菌を運んでしまう場合があります。

特にアシネトバクターは、感染力は弱いものの、乾燥にも強く皮膚などで数日間も長く生きるなど、生命力が強い細菌です。海外では医療従事者のPHSから感染が拡大したケースがありました。今回の帝京大学医学部附属病院の感染では感染源の特定ができておらず、細菌が病院外から持ち込まれた可能性も否定できません。

多剤耐性菌は「細菌」ですので、手洗いとアルコール系の消毒が有効だといわれています。

特に今回のこの細菌は、現在のところ空気感染はしないといわれていますので、手洗いとアルコール消毒を習慣づけ、特に病人などと接触する場合には念入りに気を配ることで、感染を最小限にとどめる努力をしましょう。

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