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関節リウマチと腎機能【医師監修】リウマチ治療中は定期的な腎機能検査が必要、腎機能低下の原因・症状・検査・予防法と腎機能低下時のリウマチ治療

2020年12月17日 公開
トイレ

前回のリウマチに関するコラムでは、リウマチの検査や診断・治療薬の種類や特徴についてご紹介しました。

https://byoinnavi.jp/medical_info/97

今回のコラムでは、リウマチ治療中の患者さんに気をつけていただきたいことをまとめました。

薬を服用すると、体内の物質や臓器によって分解・吸収され、多くの場合腎臓から尿を通して体外に排出されます。腎臓の機能が低下してしまうと、薬を体外に排出できなくなり、さまざまな問題が生じやすくなります。

腎機能が低下していても、初期~中程度までは自覚症状がほとんどあらわれません。
特に、生活習慣病などの慢性疾患をお持ちの方や、高齢者の方は気づかないうちに腎機能が低下していることもあり、抗リウマチ薬の副作用が強く出たりしてしまうことがあります。

また、ある一定レベルまで腎臓の機能が落ちてしまうとそれを回復することは難しいので、定期的に尿検査や血液検査をうけて、早期に腎臓の障害を発見することがとても大切です。

現在では、腎機能が低下していても使用できるリウマチ治療薬もあるので、医師と相談しながらリウマチ治療を継続していくことができます。

今回は、リウマチ疾患と腎機能について、腎機能低下の原因や症状・検査・予防法、コロナ禍でのリウマチ治療など、近畿大学病院の野﨑医師にお話をお伺いしました。

目次

  1. リウマチ治療と腎機能 腎臓の働きが悪いと薬が排泄されず副作用がでやすい
  2. 腎機能低下の原因① 生活習慣病と加齢
  3. 腎機能低下の原因② リウマチ疾患が原因で起こる腎障害
    痛み止め(NSAIDs)の服用に注意!
  4. 腎機能低下の原因③ 脱水症状、下痢、インフルエンザなどが引き金に・・
    リウマチ治療中の体調変化に気を付けて!
  5. 腎機能低下の症状-初期には自覚症状がほとんどない
  6. 腎機能の検査-大事なのは「たんぱく尿」
  7. リウマチ治療中 腎機能の検査はどのくらいの頻度で受けたらいい?
  8. 腎機能が低下していても使用できる抗リウマチ薬 生物学的製剤
  9. 腎機能低下の予防-脱水を防ぐ、痛み止めを飲み過ぎない、休息をとる
  10. リウマチ治療中にコロナに感染したら?

野﨑 祐史 医師

近畿大学病院
血液・膠原病内科 講師

■専門医・認定医資格
日本内科学会総合内科専門医、日本リウマチ学会専門医、日本リウマチ学会指導医、アレルギー学会専門医、日本腎臓専学会門医

■専門分野
リウマチ膠原病疾患、腎臓疾患、アレルギー疾患

■評議員
近畿地方内科学会評議員、日本リウマチ学会評議員、臨床リウマチ学会評議員

野﨑祐史先生

リウマチ治療と腎機能 腎臓の働きが悪いと薬が排泄されず副作用がでやすい

-- まず初めに、リウマチ薬物治療と腎臓の関係について教えてください

関節リウマチの治療の基本は抗リウマチ薬による薬物治療です。そのため、投与された薬物を体の外に排泄する腎臓の働きが重要になります。
腎機能が低下すると、薬物が体外に排泄されにくくなって体に蓄積してしまい、副作用(頭痛、倦怠感、口内炎、下痢、貧血、吐き気など)が出やすくなります。重篤なものの中には血液が正常に作られなくなる骨髄抑制があり、入院や医療処置が必要となる場合があります。

骨髄抑制・・骨髄の活動が低下することで、血球(白血球、赤血球、血小板)の一部またはすべての産生が抑制されて、倦怠感、鼻血などの出血傾向、貧血、めまい、感染症にかかりやすくなるなどの症状があらわれる。

腎機能低下の原因① 生活習慣病と加齢

血圧

-- それでは次に、腎機能が低下する原因について教えてください。

生活習慣病
腎機能が低下する原因として、一般的に、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が考えられます。
糖尿病は血糖値が高い状態が続くことで、動脈硬化(血管が硬くなったり、狭くなったりする状態)が進んで、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす病気です。この動脈硬化によって腎臓の糸球体(血液中の老廃物をろ過する装置)に流れ込む血流が減少することで、腎臓の働きが悪くなり腎機能が低下します。また、糖尿病のコントロールがうまくいかないと糖尿病性腎症を併発することもあります。そして、血圧管理も腎機能維持するために重要です。

リウマチ治療において、生活習慣病の管理はとても大切なことなのです。

生活習慣病を改善しないままで生活を続けてしまうと、心臓・脳などの血管に障害を与えるだけでなく、腎機能が低下して「慢性腎臓病(CKD)」になり、さらに進行してしまうことで「慢性腎不全」に至ってしまいます。

加齢
腎臓は24時間休みなく働き続けるために、加齢による変化が最も出やすい臓器です。持病がない人でも腎機能は年齢と共に低下していきますが、特に生活習慣病などの持病があったり、お薬の内容によっては腎機能障害が急激に進行することがあります。

病気
その他、以下のような病気が原因で腎機能が低下することがあります。

  • 急性・慢性腎炎
  • 感染症
  • リウマチ膠原病(全身性エリテマトーデス、血管炎など)
  • 脱水症
  • 薬剤性腎症

など

腎機能低下の原因② リウマチ疾患が原因で起こる腎障害
痛み止め(NSAIDs)の服用に注意!

薬

次に、リウマチに関連した腎障害の原因として、リウマチ治療薬による「薬剤性腎障害」と腎アミロイドーシスがあります。

リウマチ治療薬による「薬剤性腎障害」

〇痛み止め(非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs))が原因

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とよばれる痛み止めは、早く効いてリウマチ疾患の痛みにはありがたいお薬ですが、炎症物質を抑えて痛みをとる作用とともに、血管を縮める作用があります。そのため、漫然と服用し続けると、腎臓の糸球体に流れ込む血流が減少してしまうことで、自覚症状のないままに腎機能が低下してしまいます。
すでに持病として腎臓病を患っている方や、高齢のため腎機能が低下している患者さんには、痛みがひどくどうしても痛み止めが必要な場合、アセトアミノフェンを使用するか、作用時間の短いNSAIDs の用量を減らして使用するなど工夫が必要です。(編集部註:ロキソプロフェン(商品名:ロキソニン)などの非ステロイド性抗炎症剤が薬局などで買えるようになっていますが、痛み止めを必要とする場合、必ず医師に相談するようにしましょう。)

〇抗リウマチ薬が原因

長期間内服を継続することで腎障害を起こすことがある「タクロリムス」や、たんぱく尿が出ることがある「ブシラミン」などの抗リウマチ薬があります。
ただし多くの場合、早期に腎障害を発見し、お薬を中止することで改善するため、定期的な検査で腎機能の状態を把握することが必要です。

リウマチの炎症が長く続くことで起こる「腎アミロイドーシス」

リウマチによる慢性炎症が数十年以上続くと、「アミロイドたんぱく」という物質が肝臓で過剰に産生されて腎臓に沈着することで、腎臓の機能が低下する「腎アミロイドーシス」という病気が起こることがあります。
近年は、お薬によってリウマチの疾患活動性(病気の進行具合や症状など)をコントロールできることが多くなっていて、腎アミロイドーシスが起こる頻度は減少傾向です。

腎機能低下の原因③ 脱水症状、下痢、インフルエンザなどが引き金に・・
リウマチ治療中の体調変化に気を付けて!

脱水症状や下痢、風邪、インフルエンザなど体調変化が引き金になって、腎機能が低下することがあります。その際には、リウマチ治療薬の服用を中止したほうがよい場合があるので、すぐに医師に相談することが大切です。

腎機能低下の症状-初期には自覚症状がほとんどない

-- 腎臓機能が低下すると、どんな症状があらわれますか?

腎臓の病気は進行するまで、自覚できる症状があらわれることがほとんどありません。だからこそ、定期的に尿検査や血液検査を受けることが重要なのです。

中程度~重症になると

  • 尿の泡立ち
  • 尿の量の減少(中程度の場合は尿の量が増えることがある)
  • むくみ
  • 食欲低下
  • だるさ
  • 発熱
  • 体重増加
  • 吐き気
  • 下痢
  • 倦怠感
  • 血尿

などの自覚できる症状がでてきます。

腎機能の検査-大事なのは「たんぱく尿」

尿検査

-- 腎機能が低下しても自覚症状があらわれにくいので、定期的に腎機能をみることが大切ですね。それでは、腎機能をみる検査方法を教えてください。

検査には、尿検査と血液検査があります。

■尿検査
腎機能が低下すると、たんぱく尿血尿のどちらか、あるいは両方が検出されますが、大事なのはたんぱく尿ですね。
通常、体に必要な物質であるたんぱく質は腎臓でほとんどろ過されず、ろ過されたものも再び体内に戻されます。ところが腎臓が正しく機能していないと、本来は体内に戻されるはずのたんぱく質が尿へ排泄されてしまい、その際に、糸球体という腎臓の部位が炎症を起こすことで腎機能が低下します。そして、尿検査でたんぱく尿が陽性となり、腎障害が発見されます。

また先に述べたように、たんぱく尿が陽性の場合には、他の病気、例えば

  • 急性・慢性腎炎
  • 感染症
  • リウマチ膠原病(全身性エリテマトーデス、血管炎など)
  • 脱水症
  • 薬剤性腎症

などを発症している可能性も考えられるため、特に注意が必要です。

■血液検査
血液検査の項目で「クレアチニン」がありますが、腎機能が低下すると体の老廃物であるクレアチニンという物質がろ過しきれずに血液中に蓄積することでその値が高くなります。ただし、このクレアチニン値は筋肉量や年齢によって個人差があります。
そこで現在では、クレアチニンを年齢や性別を考慮して計算した「eGFR」というものとクレアチニン値を共にみることで、腎臓がどのくらい働いているかを調べます。

クレアチニン値が高くても、「eGFR」が90 ml/分/1.73m2以上あれば腎機能は正常です。「eGFR」が急に低下したり、たとえ緩やかでも60 ml/分/1.73m2以下になった場合には、腎機能が低下していると考えられるため、使用するリウマチ治療薬に注意が必要になってきます。

リウマチ治療中 腎機能の検査はどのくらいの頻度で受けたらいい?

-- リウマチ薬物治療中の方は、どのくらいの頻度で腎機能の検査を受けたらよいでしょうか?

まず、リウマチ薬物治療を開始するときには必ず検査を行います。その後、同じお薬を服用してリウマチ症状が安定していても、2~3か月に1回は受けたほうがよいですね。そして、お薬を変更した時には2~4週間に1回、検査を受けましょう。

内科、整形外科を問わず、定期的な腎機能検査が必要ですが、もし定期的に検査を受けられていない場合には、リウマチ専門医のいる医院を受診するとよいでしょう。

下記からリウマチ専門医がいる病院を検索できます。

【病院なび】リウマチの専門治療が可能な病院

【リウマチ学会】リウマチ学会、リウマチ専門医・指導医検索

腎機能が低下していても使用できる抗リウマチ薬 生物学的製剤

点滴

-- 腎機能が低下していた場合、リウマチの治療は続けられますか?

リウマチ治療薬には、腎機能が低下していると使用できないもの、腎機能が低下していても使用できるものなど、様々な種類があります。特に、生物学的製剤は腎臓の影響を受けないため、腎機能低下している患者さんにも使用しやすいお薬です。

もし腎臓の働きが悪くなっていても、リウマチ治療は十分継続可能なので、リウマチ専門医と相談しながら頑張って治療を続けましょう。

■ 腎機能が低下していると注意・使いにくい主なお薬
抗リウマチ薬:メトトレキサート、ブシラミン、タクロリムス
非ステロイド性抗炎症薬:ロキソプロフェンナトリウム水和物、セレコキシブ、ジクロフェナクナトリウム
など
■ 腎臓の排泄が少なく腎機能低下でも使える主なお薬
生物学的製剤
抗リウマチ薬:イグラチモド、アザルフィジン
ステロイド:プレドニゾロン
非ステロイド性抗炎症薬:アセトアミノフェン
など

その他、JAK阻害薬は、代謝経路によって使用できるものとそうでないものがあります。

※リウマチ治療薬の種類や特徴については、前回のコラム「リウマチは、治療を継続することで「寛解:症状がでない状態」にコントロールできる疾患に。【医師監修】コロナ禍でもリウマチ治療を続けることが大切」のリウマチ治療の基本は薬物治療 - 治療目標・薬物の種類・治療費の目安・通院の目安にまとめていますのでご参照ください。

https://byoinnavi.jp/medical_info/97

腎機能低下の予防-脱水を防ぐ、痛み止めを飲み過ぎない、休息をとる

水

-- 腎機能低下予防のために、日常生活の注意することはありますか?

日常生活の注意点として

  • 脱水症状にならないよう、水分を十分にとること
  • 痛み止め(鎮痛薬)をのみ過ぎない、複数種類併用しないこと
  • 充分な睡眠・休息をとることが重要です。

特に高齢者の方は、のどの渇きに気づかないことがあったり、足が悪いためにトイレまでの歩行が大変だったり、家族への遠慮から水分補給を我慢することもあると思いますが、しっかり水分補給することで腎機能低下を防ぐことができます。

そして、糖尿病や高血圧、脂質異常症など他の疾患にかかっている方は、その病気のコントロールをしっかりしていくことも大切です。

また、先にお話しした通り、脱水症状や風邪、インフルエンザなど体調変化があれば、リウマチ治療薬の服用などについてすぐに医師に相談してください。

リウマチ治療中にコロナに感染したら?

-- 新型コロナの流行が続いています。感染してしまったらどうしたらよいでしょうか?

新型コロナウイルスに感染した場合や、感染している人に濃厚接触した場合は必ず、リウマチ治療をしてもらっている医師に相談しましょう。
基本的に抗リウマチ薬は休薬するのですが、自己判断でお薬を中断するとかえって病気を悪くする場合が多く、特に、副腎皮質ステロイド剤の自己中止は病状を悪化させてしまいます。
微熱、倦怠感、少しのだるさなど風邪症状でコロナ感染の疑いがある場合にも、かかりつけ医とリウマチ治療薬の服用についてよく相談してください。

リウマチで気になる症状がある場合は、近くの病院に相談しましょう

を探す。

コラム監修

近畿大学病院
大阪府大阪狭山市大野東377-2
野﨑 祐史 医師
日本内科学会総合内科専門医、日本リウマチ学会専門医、日本リウマチ学会指導医、アレルギー学会専門医、日本腎臓専学会門医
血液・膠原病内科 講師

https://www.med.kindai.ac.jp/

野﨑祐史医師
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