子宮筋腫の原因・症状・治療法と予防のポイントを解説
医師紹介
子宮筋腫とは
子宮の筋肉組織に、こぶ状の良性腫瘍が発生する疾患です。がん(悪性腫瘍)化することはありません。子宮筋腫ができることはめずらしいことではなく、閉経後も含み、成人女性の幅広い年齢層でみられます。
原因
子宮筋腫が発生する原因はわかっていませんが、大きさには女性ホルモンが影響していると考えられています。女性ホルモンの働きが活発になると大きくなり、女性ホルモンの分泌量が減少する閉経後には縮小します。
症状
子宮筋腫ができる場所や大きさ、数などによって、あらわれる症状は異なり、無症状なこともめずらしくありません。主な症状には以下のようなものがあります。
〇 主な症状
- 月経痛
- 経血量が多い(過多月経)
- 月経が8日以上続く(過長月経)
- 貧血
- 腹部の圧迫感
- 不妊
- 流産
など
検査・診断
内診や、腹部 または 腟からの超音波(エコー)検査で子宮筋腫の有無を確認します。必要に応じて、MRI検査などの画像検査や血液検査を行うこともあります。
治療・治療後の注意
子宮筋腫の大きさが6cm以内程度で無症状であれば、特別な治療は必要ありません。
子宮筋腫の大きさが6cmより大きい場合や症状がある場合などは、治療することを検討します。主な治療には、薬物治療と外科的治療があります。どの治療を選択するかは、子宮筋腫の位置や大きさ、数、妊娠希望や出産予定の有無などを踏まえて検討されます。
薬物治療
女性ホルモンの分泌を抑える薬を使って、体内を一時的に閉経と同じ状態にすることで、子宮筋腫を小さくする治療(偽閉経療法)です。子宮筋腫が小さくなることで、症状の軽減も期待できます。薬には、注射薬や点鼻薬、飲み薬があります。この治療を長期間続ける場合、骨粗鬆症など、閉経後や更年期と同様の症状が起こる可能性があるため、6か月程度を目安に休薬期間を設けながら行われます。
そのほか、貧血には鉄剤や止血薬、月経痛には鎮痛薬、月経時の出血量が多い場合(過多月経)には低用量ピルなど、つらい症状をやわらげるための薬が使われることもあります。
外科的治療
主に、「子宮摘出術」「子宮筋腫核出術」「子宮動脈塞栓術(UAE)」があります。
〇 子宮摘出術
内視鏡を使った腹腔鏡下手術 もしくは 腹部を切開して行う開腹手術によって、子宮を取り除く治療です。子宮自体を取り除くため、再発することはありません。
〇 子宮筋腫核出術
内視鏡を使った腹腔鏡下手術 もしくは 腹部を切開して行う開腹手術によって、子宮筋腫のみを取り除く治療です。子宮自体は残るため、再発の可能性があります。
〇 子宮動脈塞栓術(UAE)
太ももの付け根の血管からカテーテルを挿入し、そこから子宮の血管に詰め物(血管塞栓物質)を注入して、子宮筋腫へとつながる血流を止めることで、子宮筋腫を小さくする治療です。こちらも子宮自体は残るため、再発の可能性があります。
予防
はっきりとした原因がわかっていないため、特定の予防方法はありません。
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医師紹介
1991年 東京医科大学産科婦人科学分野に入局。1992年からは上都賀総合病院や蕨市立病院の産婦人科に勤務、1995年以降は東京医科大学の産婦人科分野関連機関にて、助教や部長代行を務める。現在は、東京医科大学医学教育学分野の講師を務める。産婦人科指導医(日本産科婦人科学会)、母体・胎児指導医(日本周産期・新生児医学会)、母体保護法指定医(東京都医師会)。専門分野は周産期医学。