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「アボカド」はなぜ体にいい?糖尿病専門医が教える健康効果と食べ方

公開日: 2026年03月18日
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アボカドは「森のバター」とも呼ばれ、栄養価の高い食材として知られています。実は、血糖値への影響が小さいことや、良質な脂質を多く含むことなどから、生活習慣病の予防や健康管理の観点でも優秀な食材だそうです。アボカドの栄養をより活かす食べ方などについて、医療法人社団藤和東光会 藤保クリニックの院長で糖尿病専門医の飯島 康弘さんに解説してもらいました。

医師紹介

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飯島 康弘院長

糖尿病専門医。医療法人社団藤和東光会 藤保クリニック院長。東京医科大学卒。日本糖尿病学会 糖尿病専門医、日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医・指導医、日本内科学会 認定内科医。東京都新宿区にて糖尿病外来・訪問診療・有床診療所の運営を行い、「責めない・追い詰めない」をモットーに生活習慣病の診療を実践。教育メディア「メディノト」をnoteで主宰。

アボカドには、どのような健康効果が期待できるのでしょうか?

糖尿病専門医の私が、外来で患者さんに「おすすめの食材は?」と聞かれたら、真っ先に名前が挙がるもののひとつがアボカドです。その理由を、体の仕組みから4つに整理してお話しします。

1つ目は、血糖値への影響が極めて小さいことです。アボカドは果物でありながら、100gあたりの糖質がわずか約2.3g。バナナが約21g、りんごが約14gですから、果物の中では「別次元の低さ」です。さらに食物繊維が100gあたり約5.6gと豊富で、これはごぼうに匹敵する量です。とくに水溶性食物繊維は、腸での糖の吸収スピードをゆるやかにし、食後血糖値の急上昇を抑えてくれます。血糖値の乱高下が少ないということは、膵臓への負担も軽い。糖尿病の予防にも管理にも、ここが大きなポイントです。

2つ目は、「良い脂質」の宝庫であることです。アボカドの脂質の大部分はオレイン酸という一価不飽和脂肪酸です。オレイン酸にはLDL(悪玉)コレステロールを下げる作用があり、動脈硬化の予防につながります。「森のバター」と呼ばれるほど脂質が多いのですが、バターの脂質(飽和脂肪酸)とは性質がまったく違う。脂質が多い=体に悪いではない、というのを体現している食材です。

3つ目は、血圧のコントロールです。アボカド100gあたりに含まれるカリウムは約590mg。これは果物の中でもトップクラスです。カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を尿として排出する働きがあるので、塩分の多い食事が習慣になっている方にはありがたい栄養素です。糖尿病の患者さんは高血圧を合併していることが非常に多いので、この点も外来でよくお話しします。

4つ目は、抗酸化作用です。アボカドにはビタミンEが豊富に含まれており、血管の内側(内皮)が活性酸素によって傷つくのを防いでくれます。血糖値が高い状態では体内の酸化ストレスが増えますから、抗酸化物質を日常的に食事から摂ることには意味があります。

つまりアボカドは、血糖・脂質・血圧・酸化ストレスという生活習慣病の4大リスクに対して、ひとつの食材で同時にアプローチできる。これが、私が「おすすめ食材」として名前を挙げる理由です。

アボカドの健康効果をより引き出すために、食べ方で意識すべきポイントはありますか?

せっかくの栄養を活かしきる食べ方のコツを、3つお伝えします。

「アボカドファースト」で食後血糖値をゆるやかに

私が外来の食事指導で実際に提案しているのが、食事のはじめにアボカドを食べる方法です。いわゆる「ベジファースト」の応用版ですね。アボカドには脂質と食物繊維がどちらも豊富なので、先に食べると胃から腸への食べ物の移動がゆっくりになり、あとから食べるご飯やパンによる血糖値の跳ね上がりがマイルドになります。実際に、朝食にアボカドを加えた群では食後血糖値のピークが有意に低くなったという海外の臨床試験も報告されています。サラダの上にアボカドを乗せて、最初に食べる――これだけで違いが出ます。

 

脂溶性ビタミンの「吸収ブースター」として使う

ビタミンA(β-カロテン)、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK。これらは「脂溶性ビタミン」といって、油と一緒に摂ることで吸収率が大幅に上がります。アボカド自体が良質な脂質を含んでいるので、緑黄色野菜(トマト、ほうれん草、にんじんなど)と一緒に食べるだけで、野菜の栄養を効率よく体に届けることができます。ドレッシングの油を足さなくても、アボカドが天然の「吸収ブースター」になってくれるわけです。

 

タンパク質と組み合わせて満腹感を持続させる

アボカドは脂質と食物繊維で腹持ちがいいのですが、これに卵、豆腐、魚、鶏むね肉などのタンパク質を合わせると、満腹感がさらに長続きします。腹持ちがいいということは、間食や次の食事でのドカ食いを防げるということ。血糖値の安定にとって、この食間の安定感は非常に大きいです。アボカドと卵のサラダ、アボカドと刺身の和え物、アボカドと納豆の組み合わせ――こういった「脂質×タンパク質」の組み合わせは、栄養面でも血糖管理の面でも理にかなっています。

量としては、1日1/2個(可食部約70g)を目安にすると、カロリーは約120kcal程度。毎日の食事に無理なく取り入れられる量です。

アボカドの健康効果が低下してしまう調理方法や組み合わせはありますか?

アボカドの栄養を台無しにしてしまう落とし穴はいくつかあります。せっかくの優秀な食材なので、知っておいて損はないと思います。

まず、高温での長時間加熱です。アボカドに含まれるビタミンB群やビタミンCは熱に弱い性質があるので、高温で炒めたり揚げたりすると減ってしまいます。加熱したい場合は、最後にさっと火を通す程度にとどめるか、できるだけ生で食べるのがベストです。オレイン酸や食物繊維は加熱しても壊れにくいので、完全にNGというわけではありませんが、生で食べられるなら生がベストと覚えておいてください。

次に、「脂質の重ね塗り」です。アボカド自体がすでに脂質リッチな食材です。そこにマヨネーズを大量にかけたり、チーズを山盛りにしたり、天ぷらにしたりすると、脂質の総量が一気に跳ね上がります。アボカドの脂質は良質ですが、カロリーとしては1gあたり9kcal。脂質が良いからといって、いくら重ねても大丈夫という話にはなりません。私はよく患者さんに「アボカドを使うなら、その分マヨネーズやドレッシングの油を引き算してください」とお伝えしています。足し算ではなく、置き換えの発想が大事です。

もうひとつ意外と見落としがちなのが、甘い味付けとの組み合わせです。アボカドスムージーに砂糖やハチミツをたっぷり入れたり、加糖ヨーグルトと合わせたりすると、せっかくの低糖質フルーツとしてのメリットが台無しになります。アボカド自体の味がマイルドなので甘味を足したくなる気持ちは分かるのですが、そこはレモン汁や塩、スパイスで風味を補う方向がおすすめです。

アボカドは毎日摂っても問題ないのでしょうか? また、摂りすぎた場合に考えられるデメリットはありますか?

結論から言うと、1日1/2個程度であれば、毎日食べても問題ありません。12週間毎日アボカドを食べた群で、血糖コントロールの改善傾向が見られたという臨床研究もあります。「体にいいから毎日食べたい」という方には、量を守れば安心してお伝えできる食材です。

ただし、注意点はあります。

まず、カロリーオーバーのリスクです。アボカド1個(可食部約140g)で約250kcal、脂質は約25g。これはお茶碗1杯のご飯を超えるカロリーです。「体にいいから」と毎食1個ずつ食べていたら、脂質もカロリーもあっという間にオーバーします。先ほどお伝えした通り、「足す」のではなく「置き換える」――たとえばバターやマヨネーズの代わりに使う、揚げ物の副菜の代わりにする、といった意識が大切です。

次に、腎機能が低下している方は注意が必要です。アボカドはカリウムが非常に多い食材ですが、腎臓の機能が落ちているとカリウムをうまく排泄できず、高カリウム血症を起こす恐れがあります。高カリウム血症は不整脈など深刻な症状を引き起こすことがあるため、腎臓の数値(eGFRやクレアチニン)が気になる方は、事前に主治医に相談してください。これは糖尿病の合併症として腎症を持つ患者さんにとって、特に重要なポイントです。

また、ラテックスアレルギーのある方はアボカドに交差反応を示すことがあるので、初めて食べる際には少量から試すようにしてください。

まとめると、アボカドは「毎日食べていい、でも量は守る」食材です。1日1/2個を目安に、他の食材とバランスよく組み合わせる。“足す”のではなく“入れ替える”。この意識さえあれば、アボカドは日々の食卓の中でとても頼れる存在になってくれると思います。

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