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睡眠のゴールデンタイム=22時は嘘だったの?頭によい「真のゴールデンタイム」とは

公開日: 2026年04月04日
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「睡眠のゴールデンタイムは22時まで」

そんな話を聞いたことがある方は多いと思います。ただ、現在の睡眠科学では、この考え方はあまり支持されていません。

では、身体や脳にとって本当に重要な“ゴールデンタイム”はどこにあるのか。研究をもとに、できるだけシンプルに整理してみます。

医師紹介

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前田 佳宏院長
精神科/心療内科医
精神保健指定医

大人と子どもの双方で、トラウマや愛着障害に心理療法的アプローチを用いる医師。これまでのべ3,000人以上の臨床に携わる。東京大学医学部附属病院精神神経科に入局後、東京警察病院や国立精神神経医療研究センター等を経て、児童精神科外来を3年間、トラウマ専門外来を2年間担当。著書『泣きたくなったら壁を押せ』(サンマーク出版、2026年)では、心理療法のプロセスを物語として描き、私たちの感情の奥にある“適応の物語”をたどった。その視点をともに探る場として、オンラインコミュニティ「しなここメイト」を主宰。cotree顧問医。産業医。日本小児精神神経学会所属。

Xアカウント:@maemae_med(まえまえ医師)

睡眠のゴールデンタイムとは?身体と頭で起きていること

結論として、ゴールデンタイムは「何時か」ではなく、どれだけ深く眠れているかで決まります。

この考え方の背景には、Van Cauterらの研究があります。成長ホルモンは特定の時刻ではなく、入眠後に最初に訪れる深い睡眠(徐波睡眠)で多く分泌されることが示されています[1]。

この深い睡眠のあいだに、身体では回復が進みます。筋肉や皮膚の修復、代謝の調整などが集中的に行われる時間です。


一方で、脳でも重要な変化が起きています。記憶の整理や定着、不要な情報の処理が進み、頭の中がリセットされていきます。


つまりゴールデンタイムとは、身体と脳のメンテナンスが同時に進む“深い睡眠の時間”です

睡眠のゴールデンタイムは「入眠後90分」で決まる

重要なのは、入眠後すぐの時間です。
具体的には最初の90〜120分です。

睡眠は約90分周期で進みますが、最初の周期には最も深い睡眠が集中します。
この時間帯に、成長ホルモンの分泌や記憶の整理、老廃物の除去がまとまって起こります。Van Cauterらの研究でも、成長ホルモン分泌のピークがこのタイミングに集中することが示されています[1]。


つまり、
22時に寝るかどうかよりも「最初の90分を深く眠れるか」が重要です

「長く寝ても疲れる人」は“寝る時間”を間違えている

「しっかり寝ているのに疲れが取れない」
この場合、問題は睡眠時間ではなく、体内時計とのズレであることが多いです。人間には概日リズムがあり、眠りやすいタイミングがある程度決まっています。
これとズレた時間に寝ると、深い睡眠がうまく出ません。

Taillardらのレビューでは、睡眠と体内時計のズレが、注意力や情報処理、意思決定といった認知機能の低下に関与することが示されています[2]。

例えば、平日と休日で起床時間が大きくズレる生活は、
いわば毎週のように軽い時差ボケを起こしている状態です。

その結果、長く寝ても回復感が乏しくなります。

ゴールデンタイムを無駄にしないための4つの習慣

睡眠は「時間」よりも「準備」で決まります。

まず大切なのは、起きる時間を揃えることです。
これだけで体内時計が安定し、深い睡眠が出やすくなります。また、就寝の約90分前に入浴して体温を上げておくと、その後の体温低下によって自然な眠気が生まれます。

寝る直前のスマートフォンは、睡眠を促すホルモンの分泌を抑えてしまうため、できれば30分ほど離れておくとよいでしょう。

さらに、カフェインは少なくとも就寝6時間前までに控えるのが無難です。

なお、必要な睡眠時間は年齢によって変わります。
成人では7時間前後が目安とされますが、加齢とともに深い睡眠は減少し、6〜7時間程度でも問題ない場合が増えてきます。

重要なのは、長さよりも最初の90分の質です

まとめ

「22時に寝るべき」という考え方は、現在の科学では必ずしも正しくありません。

それよりも重要なのは、 入眠後最初の90分にしっかり深い睡眠をとることです。

睡眠は“時間帯”ではなく、 構造とリズムで決まるものです

まずは今日、寝る前の過ごし方を少し整えるところから始めてみてください。



■参考文献
[1] https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9779515/
[2] https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33545116/

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