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熱中症のときに市販の解熱鎮痛剤は飲んでもいいの?薬剤師が伝える正しい対処法

公開日: 2026年07月27日
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厚生労働省の人口動態統計(概数)によると、2024年の熱中症による死亡者は、日本全国で2,180名。そのうち85%を65歳以上が占めるという状況でした。熱中症の代表的な症状である熱っぽさ、めまいや立ちくらみ、だるさなどは、一般的な風邪にも見られるもの。そのため、市販の解熱剤や風邪薬が有効なのでは? と考える人もいるかもしれません。

この記事では、熱中症の基本情報をご紹介するとともに、熱中症のときに市販薬を利用することの是非などに関して、薬剤師が解説します。

執筆

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藤野 紗衣
薬剤師

専門知識を一般の方に分かりやすく伝える医療ライター/薬剤師。東北大学薬学部を卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に薬剤師として勤務。2022年より医療ライターとして活動。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター1級。マクロビオティック料理とウォーキングを欠かさない生活を心がけている。

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屋外はもちろん屋内でも熱中症には要注意!

熱中症とは、高温な環境下で、汗による体温調節がうまくいかず、身体が熱く、めまいや立ちくらみ、だるさを感じる症状のことです。

屋外はもちろん、室内でも熱中症になる危険性があり、とくに夏場の自動車内の温度は、短時間で高温になります。少しの間でも子どもだけを車内に残さないようにしましょう。

また、気温が高くなくても、湿度が高かったり、日射が強かったりする環境でも熱中症のリスクは高まります。環境庁・気象庁、自治体などからは熱中症危険度の目安となる暑さ指数(WBGT)も発出されているので、積極的に情報収集をすることが重要です。

熱中症の疑いがあるとき、市販薬は使ってもいい?

熱中症の疑いがあるとき、市販薬は使ってもいい?

どんなに予防を心がけていても、厳しい暑さの中で身体に異変を感じることはあります。そんな時、「熱があるから風邪かもしれない」と自己判断し、家にある市販の解熱鎮痛薬を飲むのは危険です。熱中症が疑われる場面で、市販薬の使用を避けるべき理由を薬剤師の視点から解説します。

感染症の発熱と熱中症の高体温の違い、市販薬を避けたほうがいい理由

風邪などの感染症による発熱は、体内に侵入した病原体などと戦うため、脳が指令を出して体温を上げている状態です。市販の解熱鎮痛薬は、この脳の指令に働きかけて熱を下げる仕組みを持っています。一方、熱中症による高体温は、体内で作られた熱をうまく外に逃がせず、身体に熱がこもっている状態です。

このように、風邪などの感染症による発熱と熱中症による高体温は、メカニズムが異なります。そのため、熱中症の疑いがあるときに、安易に市販の解熱鎮痛薬を飲むことは推奨できません。市販の解熱鎮痛薬を飲んだ場合に熱中症の熱が下がるかどうかは、現時点でまだ明らかにされていないからです。高体温の原因が明らかではなく、感染症が疑われる、または合併している場合のみ使用を検討してください。

また、冷感湿布や、おでこに貼る冷却シートも、熱中症対策としては効果的とは言えません。これらは表面的な冷たさを感じて気持ちがよいものの、体内にこもった熱を下げる効果は乏しいためです。身体を冷やす場合は、氷や保冷剤(アイスノンなど)をタオルで包み、太い血管が体表面近くを通っている首、脇の下、足の付け根に当てると効率的です。

水・スポーツドリンク・経口補水液の正しい使い分け

水・スポーツドリンク・経口補水液の正しい使い分け

熱中症対策において、こまめな水分補給は基本ですが、「何を飲むか」も同じくらい大切です。日常的な喉の渇きから、大量に汗をかいたとき、そして脱水症状が疑われる緊急時まで、状況に合わせて「水(麦茶)」「スポーツドリンク」「経口補水液」を正しく使い分けるポイントを解説します。

●水(麦茶)
夏場の日常的な水分補給には、健康管理の面からも糖分やカフェインを含まない水や麦茶がおすすめです。ただし、大量に汗をかいたときに水だけ飲みすぎると、体内の塩分(ナトリウム)濃度が急激に薄まってしまいます。人間の体は塩分濃度を一定に保とうとする働きがあるため、水だけを多く飲んでも尿として排泄されてしまい、結果的に十分な水分補給ができない(脱水が改善しない)リスクがある点には注意しましょう。

●スポーツドリンク
大量に汗をかいたときの飲みものとしては、ナトリウムをはじめとしたさまざまな電解質をバランスよく含んだスポーツドリンクが有効です。汗として失われた電解質と、消費したエネルギーを効率よく補給できます。ただし、日常的に飲みすぎると、糖分の過剰摂取につながるリスクがあることには気をつけましょう。

●経口補水液
経口補水液とは、脱水時に身体から失われた水と電解質を補うことを目的に作られた飲み物です。過度の発汗による脱水症、高齢者の経口摂取不足による脱水症、感染症や感冒(かぜ)などによる脱水症、脱水を伴う熱中症の場合は経口補水液が有効ですが、そうでない場合は飲む必要はありません。スポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、また、吸収を速めるために、糖濃度は低い組成となっています。

<水分補給のポイント>
水分補給は早めに行うことが大切。渇きを自覚できないこともあるので、時間を決めてこまめに飲むのが得策です。目安は1日8回(起床時、朝食時、10時ころ、昼食時、15時ころ、夕食時、入浴前後、就寝前)、1回180ml、合計で1400~1500mlを目指しましょう。

異変を感じたら涼しい場所へ移動して、冷却、水分補給を!

暑い夏を乗り切るため、薬剤師の視点から熱中症への対処法を解説しました。熱中症に対する市販薬の効果は明らかになっていないため、基本的には避けましょう。異変を感じても薬には頼らず、まず涼しい場所へ移動し、身体の冷却、経口補水液での水分補給を優先し、意識が朦朧とする場合は迷わず医療機関を受診してください。

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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。