今まで「歳のせい」と感じていた症状は、男性更年期障害である可能性も -『男性更年期障害に関する消費者・医師調査』の結果を公開
目次
一般消費者調査概要
一般消費者に対する調査は、株式会社ジャストシステムが提供するリサーチサービス「Fastask」に登録している一般消費者パネルのうち、30代以上の男性に向けて配信され、430名の有効回答を得ました。
- 調査対象
Faskask 登録モニター - 調査方法
非公開のインターネットアンケート - 調査期間
2016年8月4日 (木)から6日 (土) - 有効回答者数
430名 - 配信対象者の属性
30歳以上の男性 (2016年2月の総務省人口推計確定値に基づきウェイトバック集計を実施)
医師調査概要
医師に対する調査は、株式会社ヴォイスが保有するDoctors Squareの医師パネルに対して実施され、724名の有効回答を得ました。
- 調査対象
Doctors Square登録医師パネル - 調査方法
非公開のインターネットアンケート - 調査期間
2016年7月26日 (火)から29日 (金) - 有効回答者数
724名 - 配信対象者の属性
病院勤務医及び診療所勤務医
調査結果の概要とまとめ
30歳以上の男性を対象とする一般の方々に対するアンケートでは、男性更年期障害の主な症状や治療法を知っている人は1割未満で年齢に関わらず認知が低い中、3割以上の方々が男性更年期障害の症状を4つ以上感じているにも関わらず、半数近くは男性更年期障害を認知していない結果が出ました。
また、医師に対する調査では、代表的な更年期障害の症状として「無気力」「集中力が低下」「怒りやすく、イライラする」「性欲が低下」などの精神的な症状、「寝つきが悪い、眠りが浅い」など睡眠関連の症状が挙げられました。
さらに医師は、日本人男性の2割以上が生涯において男性更年期障害の症状を感じると考えており、これは人口比で計算すると約1,000万人が該当します。医師一人あたりの男性更年期患者数は2.9人、一般消費者への調査において実際に男性更年期障害と診断された患者の割合は0.5%程度であり、受診する側と診察を受ける側のミスマッチが生まれていることがわかります。
調査結果の詳細
いずれの年代でも、半数以上が「男性更年期障害」を知らない
一般消費者への調査では、男性更年期障害に関する認知程度を質問しました。その結果、全体では60%が「全く知らない」と回答し、34%が「名前を知っている程度」と回答しました。主な症状や治療法を知っているのは6%程度にとどまり、認知の低さを伺うことができます。年齢が高くなるにつれ認知が高まる傾向にありますが、症状や治療法を知っている割合は1割未満と大きく変わらない結果となりました。
男性更年期障害に該当する症状の中で代表的なものは「イライラ」や「集中力の低下」、「性欲の低下」
医師に対して、更年期障害の代表的な症状について質問したところ、「無気力、やる気がない」(44%)が最も多く、「怒りやすく、イライラする」(36%)、「集中力が低下している」(34%)、「性欲が低下している」(32%)、「寝つきが悪い、眠りが浅い」(31%)が多く回答されました。
同様の質問を一般消費者に尋ねたところ、「寝つきが悪い、眠りが浅い」を感じている対象者が25%と最も多く、次いで「集中力の低下」(20%)、「怒りやすくイライラする」「無気力、やる気がない」(ともに16%)、「性欲の低下」(15%)が回答されました。
4症状以上が該当する対象者も、半数程度が男性更年期障害を知らない
一般消費者からの回答を更年期障害に該当する18の症状について、現在その症状を感じているかどうかを尋ねたところ、患者1名あたりが感じる平均症状数は2.7症状でした。また、「4症状以上を感じている」と答えたのは32%にも及びました。また、「4症状以上感じている」対象者においても46%が男性更年期障害を「全く知らない」と回答しています。
日本人男性全体の23%は生涯で更年期障害の症状を感じるが、受診するのは10%に満たない
医師への調査では、日本人男性全体のうち何割が生涯において更年期障害の症状を感じるかを尋ねました。平均は23.9%で、この値を30歳以上の男性約4,400万人(平成28年2月人口推計確定値)に当てはめると、およそ1,000万人が生涯において更年期障害の何らかの症状を感じていることになります。
症状を感じる男性の何割が医療機関を受診するかを尋ねたところ、医師全体では9.5%、1年以内に男性更年期障害患者の診察経験がある医師では11.7%が平均でした。1,000万人のうち、95万から117万人程度が医療機関を受診している計算となります。
直近1年間で男性更年期障害患者の診察・治療経験を持つ医師はおよそ3割、平均患者数は2.9人
724名のうち351名(48%)の医師が、直近1年間に更年期障害患者の診察・治療を実施しており、そのうち62%(218名)が直近1年間に男性の更年期障害患者の診察・治療に当たっていました。医師全体を母数とした場合、医師1名あたりの直近1年間における平均患者数は2.9人でした。
一般消費者への調査でも、現在、男性更年期障害と診断され治療を受けていると回答した患者は少なく2名 (0.05%)のみでした。医師1名あたりが診ている平均患者数、現在治療を受けている患者数ともに、想定されている患者数と比較すると非常に低く止まっていることがわかります。
男性更年期障害は、かかりつけ医 (クリニックや小規模の病院)で診察・治療されている
男性更年期障害の診察・治療経験を持つ医師の半数がクリニックや小規模の病院に勤務しており、28.9%が一般内科を専門としています。男性ホルモンの減少という原因、もしくはやる気や集中力の低下など対処療法の観点から、泌尿器科や精神科を標榜とする医師も男性更年期障害患者を診ている傾向にありました。
その他、生活習慣病や関節痛などにより定期的に通院されることが多い循環器内科や整形外科などの診療科の医師も多く、かかりつけ医によって診察・治療されている様子が伺えます。
一般消費者は、男性更年期障害でどの診療科かかればよいか「わからない」
男性更年期障害について、最初に受診すべき診療科について、医師、一般消費者の双方に質問しました。 医師、一般消費者ともに、かかりつけ医である「内科」や症状への対処療法が実施できる「心療内科」が多く回答されました。一方、泌尿器科が適していると答えた一般消費者は医師と比べて低く、「わからない」という回答も34%でした。
患者さん向けの、男性更年期障害に関するコンテンツ
病院なびでは毎月、健康管理や疾患理解に役立つコンテンツを「お役立ち医療コラム」としてサイト内に公開しています。東京内科医会の監修に基づく男性更年期障害の患者さん向けのコンテンツを、「「イライラ」「集中力の低下」「やる気がでない」もしかして男性更年期障害?!」として掲載しています。合わせてご覧ください。
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