夏の水分補給、選び方を間違えると体調不良を招く危険性も!飲み物の正しい使い分け【管理栄養士が解説】

実は、飲み物にはそれぞれ得意な場面があります。選び方を少し意識するだけで、夏の水分補給はもっと理にかなったものになります。今回は、飲み物ごとの役割と使い分けについてご紹介します。
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「食と健康に悩む人が安心して戻れる場所をつくる」をモットーに、栄養・健康分野の記事執筆を行う。延べ1,200名以上の食事相談に携わった現場経験をもとに、科学的根拠をわかりやすく日常の言葉に翻訳することを得意とする。沖縄県在住で琉球料理の普及・伝承活動も行っている。趣味は健康。
目次
汗の量で変わる、水分補給の考え方
汗をかくと、水分だけでなくナトリウムなどのミネラルも失われます。そのため、熱中症予防や治療には、水分だけでなく、必要に応じてミネラルを補給することが大切とされています。
ただし、汗をかく量は、その日の過ごし方によって大きく異なります。家でゆっくり過ごす日と、炎天下で屋外作業や運動をする日では、必要な水分補給は同じではありません。
ポイントは「今日はどのくらい汗をかいたか」「これからどのくらい汗をかきそうか」を目安に飲み物を選ぶことです。この考え方を押さえておくと、最適な飲み物を選びやすくなります。
毎日の水分補給は水や麦茶などが基本

通常通り食事を摂ることができていて、大量に汗をかいていない日や、通勤や家事、通学など普段通りの生活をしている日には、水や麦茶で十分です。
人は1日に呼吸や汗などで約2.5Lの水分を失っており、食事や体内で作られる水分を差し引くと、飲み水として1日1.2L程度をこまめに補給することが目安とされています。
夏場や運動時など、汗を多くかく日は、これより多くの水分補給が必要になります。
麦茶などのノンカフェインのお茶は糖分・塩分をほとんど含まないため、日常的な水分補給に適しています。
また、「水だけだと物足りない」と感じる場合は、無糖の炭酸水を選ぶのもひとつの方法です。糖分が含まれていなければ、水の代わりとして取り入れることができます。
炭酸水は近年、コンビニなどでも必ず置かれるようになり、フレーバー付きなどさまざまな種類が販売されていますよね。
スポーツドリンクが活躍するのは、どんなとき?

運動時や大量の発汗時にはとても役立つ飲み物がスポーツドリンクです。汗で失われた水分と塩分を、効率よく補給できるように作られています。
一方で、糖分が多く含まれている点には注意が必要です。文部科学省の食品成分データベースによると、500mlのペットボトル1本で25gの糖分が含まれています。
日本では砂糖の摂取量について明確な基準はありませんが、世界保健機関(WHO)は、砂糖などの糖分を控えめにすることを推奨しています。
一般的な成人では1日あたり約25gの糖分摂取がひとつの目安とされており、スポーツドリンク1本でその目安に近い量の糖分を摂ることもあります。
汗をあまりかかない日にも日常的に飲み続けると、糖分の摂り過ぎにつながりやすく、血糖値が高い状態が続くことで「清涼飲料水ケトーシス(ペットボトル症候群)」と呼ばれる状態を招くことがあり、体調不良を引き起こすことがあります。
経口補水液は「脱水症状が出たとき」の飲み物

夏になると、ドラッグストアなどで経口補水液をよく見かけるようになります。
そのため、熱中症対策として日常的な水分補給に取り入れている方もいるかもしれません。しかし、経口補水液は本来、病者や脱水症状がある人のために作られた飲み物です。
経口補水液は国の「特別用途食品」に指定されており、感染性胃腸炎による下痢・嘔吐に伴う脱水時など、水分と電解質の補給が必要な場面で使用することを目的としています。
そのため、水やスポーツドリンクよりも塩分濃度が高く設計されており、500mlあたりで味噌汁1杯分ほどの食塩を含む製品もあります。健康な人が日常的な水分補給として飲み続けると、必要以上に塩分を摂取してしまう可能性があります。
店頭で気軽に購入できますが、日常の水分補給としてではなく、脱水が疑われる場面に応じて活用することが大切です。
シーン別・飲み物の選び方
汗の量や体調に合わせて、飲み物を選ぶ目安をまとめました。
こんなとき | おすすめの飲み物 | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
家で過ごす日 | 水・麦茶など | 汗の量が少なく、糖分・塩分は基本的に不要なため。 |
軽い外出・30分程度の散歩 | 水・麦茶など | 汗の量は軽度であり、糖分・塩分は不要なため。 |
大量に汗をかく運動・屋外作業 | スポーツドリンク | 汗の量が多く、水分と塩分を補う必要があるため。 |
発熱・下痢・嘔吐など脱水が疑われるとき | 経口補水液 | 汗ではなく、脱水によって失われた水分と電解質を補うため。 |
まとめ
夏の水分補給は、「何を飲むか」より「いつ、どんな状態で飲むか」がポイントです。
水や麦茶を基本にしながら、たくさん汗をかいたときはスポーツドリンク、発熱や下痢・嘔吐などで脱水が疑われるときは経口補水液というように、その日の汗の量や体調に合わせて選ぶことが大切です。
水や麦茶、スポーツドリンク、経口補水液には、それぞれ役割があります。今回の内容を参考に、その日の汗の量や体調に合わせて上手に使い分けてみてくださいね。
<参考文献>
・日本救急医学会「熱中症ガイドライン2024」
・厚生労働省「熱中症予防のために」
・公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「水は1日どれくらい飲めば良いか」
・文部科学省「食品成分データベース」
・独立行政法人農畜産業振興機構「砂糖と健康〜砂糖と甘味の疑問を解説〜(後編)」
・山梨県厚生連健康管理センター「ペットボトル症候群(清涼飲料水ケトーシス)に注意!夏の適切な水分補給とは?」
・消費者庁「経口補水液について」
