熱中症対策が熱中症を招く!?「やってはいけない」NG熱中症対策を気象予報士が解説

しかし、その熱中症対策、やり方によっては逆効果かも…?
スポーツドリンクを飲むべき人・飲むべきでない人、ハンディファン(手持ち扇風機)を使ってはいけないシチュエーションなど、「やってはいけない」熱中症対策を気象予報士が解説します。
執筆

NHK・民放各局で気象キャスターを歴任し、「納得できるわかりやすい解説」に定評があるほか、防災や気候変動についても親しみやすい説明を得意とする。野菜ソムリエ・食育インストラクター・薬膳マイスターとして出張料理やレシピ制作も行い、気象と健康、食事の関係にも詳しい。
目次
よかれと思って飲んでいたら…塩分・糖分の摂りすぎに

熱中症にはスポーツドリンクが一番!と思っていませんか?実はスポーツドリンクは万能ではなく、適していない場合もあります。
たとえば、デスクワークが中心で屋外での作業を伴わない仕事の人が、毎日スポーツドリンクを飲んでしまうと、塩分のとりすぎになるリスクがあります。
もともと日本人の食事は塩分が多めで、ごはん食でもパン食でも一般的な食事をしている人は、すでに十分な塩分を摂取しているためです。
また、スポーツドリンクには糖分が含まれているものが多く、糖分や塩分の摂りすぎにつながり、糖尿病や高血圧などの持病の管理に悪影響を及ぼすおそれがあります。
熱中症対策には何を飲めばいいの?
大前提として、激しい運動や作業をしたりして汗をたくさんかいた場合は、スポーツドリンクを飲んで、水分と塩分、さらには運動などで失った糖分を補給する必要があります。
一方で、1日中デスクワークしかしない人や、家の中で運動せず過ごす人などがスポーツドリンクを日常的に飲むのは、塩分や糖分の摂りすぎにつながります。
通常の食事をとれているのであれば、水やお茶で水分を補給するだけで十分です。
ちなみに近年は「経口補水液」の知名度も上がってきましたが、これは熱中症の「対策」として日常的に飲むものではありません(※1)。
熱中症による脱水が疑われる場合や、下痢・嘔吐などの症状があるときに使用しましょう。
ハンディファンが熱中症を助長する「危険アイテム」に?

通常の扇風機、そして最近多く出回っている手持ちのハンディファンは、私たちの体の表面温度より気温が低いときのみ有効に使えるものです。
「それなら、気温が36度以下なら有効に使える?」と思いきや…そこに落とし穴が。
ふだん私たちが体温計で測る体温というのは、内臓など体の内部の温度である「深部体温」を推定して表示しているもので、通常環境では37℃前後とされています。一方で、体の表面温度はそれより数度低いと言われています(※2)。
そのため、猛暑・酷暑日でなくとも、真夏の屋外では気温が表面温度を上回ることが珍しくありません。
そのような環境の中で、扇風機などで体に風を当てると、体を冷ますどころか、表面温度以上の熱風を吹きつけるだけになり、熱中症を助長してしまうおそれがあるのです。
ハンディファンの正しい使い方は?
もちろん、すべての扇風機やハンディファンが常に危険というわけではありません。たとえば室内では、エアコンと扇風機を組み合わせて使うことで、涼しい空気を循環させ、効率的に熱中症対策をすることができます。
また、最近はペルチェ素子などの冷却プレートがついたハンディファンのような、気温が高くても肌に直接当てることで冷感を得られる商品もあります。
冷却プレートがないハンディファンでも、氷(ひょう)のうなどのアイテムや冷たい水のペットボトルなどを首元に当てながら風を送ることで、有効に使うことができます。
何気なくやっている「熱中症対策」を見直そう!
「熱中症対策をしましょう」「水分をしっかり取りましょう」…そろそろ聞き飽きたという声が上がりそうなくらい、最近は熱中症対策に関する注意喚起をどこでも聞くようになりました。
「もうやってるよ」という人も多いと思いますが、何気なくやっている対策の中に、意外な落とし穴があることも。
酷暑に対峙しなければならない現代、いま一度、自分や家族の熱中症対策を見直してみてください。
<参考文献>
※1 知っておこう!経口補水液の正しい使い方 (消費者庁)
※2 体温はどこで測っても同じですか? | 体温の基礎知識 | 体温と健康(テルモ体温研究所)
関連記事
※記事の内容は記載当時の情報であり、現在と異なる場合があります。
