乾癬の相談ができる医療機関 - 病院・医院・薬局情報
乾癬とは
乾癬は慢性的な皮膚の病気です。症状によっていくつかの種類に分類されますが、そのひとつである尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)が乾癬全体の9割を占めるため、一般的に乾癬というと尋常性乾癬のことをいいます。
以前は、稀な病気でしたが、現在、日本の乾癬患者数は40~50万人と推定されていて、珍しい疾患ではなくなりました。これは、食生活の欧米化、ストレスの増加など様々な環境要因が原因と考えられています。
乾癬の症状は?
乾癬の特徴的な症状は
- 皮膚が赤くなって盛り上がる紅斑(こうはん)
- 紅斑の表面が銀白色の細かいかさぶたでおおわれる鱗屑(りんせつ)
- 鱗屑がフケのようにボロボロとはがれ落ちる落屑(らくせつ)
があげられます。
刺激を受けやすい、頭部、肘、膝、腰、おしりなどにできることが多く、約半数の人が痒みを伴い、中には我慢できないほど強い痒みが生じる人もいます。
症状が進むと、皮疹の数が増えて、その皮疹が一緒になって全身に及ぶこともあります(乾癬性紅皮症)。
また、爪の変形(患者さんの約2割)がみられたり、関節炎(関節症性乾癬)を伴うこともあります。
乾癬の原因は? - 遺伝的体質+環境因子
現在のところ、原因は完全には解明されていませんが、遺伝的に乾癬になりやすい体質があることはわかっています。欧米では、親が乾癬の場合、子どもが発症するのは20~40%といわれています。
ただし、日本では4~5%と欧米に比べて低く、乾癬発症は環境因子によって左右される傾向が大きいと推測できます。
つまり、遺伝的体質に、さまざまな要因(生活習慣や食生活、ストレス、喫煙、外傷などの外的因子と肥満や糖尿病、脂質異常症などの内的因子)が加わることによって発症すると考えられています。
乾癬の治療法 - 乾癬は治るの?
残念ながら、現在、乾癬を根本的に治す治療法は見つかっていません。
ただし、適切な治療を続けることで、症状をコントロールすることは可能です。症状を和らげたり、良い状態を保つためにも、根気よく治療を続けることが大切です。
主な乾癬の治療法は4種類
治療方法は大きく分けて4種類あります。
一般的には外用療法が中心で、外用療法が改善しない場合やライフスタイルなどに合わせて、他の療法を組み合わせたりして治療を進めていきます。
◆塗り薬による外用療法-乾癬治療の基本
症状や効果に合わせて、ステロイド外用薬やビタミンD3外用薬を単独、あるいは組み合わせて使用します。
- ビタミンD3外用薬・・・乾癬は、表皮細胞が異常な速さで増殖しているが、これを抑える働きをする
- ステロイド外用薬・・・炎症を抑える作用がある
◆光線(紫外線)療法-医療用の紫外線をあてる治療法
外用薬だけでは良くならないときや、発疹の面積が広くなったときには光線療法が用いられます。
- ナローバンドUVB療法・・・近年、一般的になってきた方法で、UVBに含まれる有害な波長を取り除き、治療効果が高い波長のみを使う療法
- PUVA療法・・・光に対する感受性を高める薬剤を内服または外用してからUVA(長波長紫外線)を照射する療法
◆飲み薬による内服療法-乾癬の症状が比較的重いときに用いられる
副作用が起きないように、定期的な検査が必要です。
- ビタミンA誘導体・・・皮膚細胞の異常な増殖を抑える
- 免疫抑制薬・・・免疫の働きを抑える
- PDE4阻害薬・・・炎症を抑える
◆生物学的製剤による治療(注射または点滴)
生物が作り出すタンパク質をもとに作られた生物学的製剤は、体の免疫機能などに関わる物質である「サイトカイン」の働きを弱める薬です。病変部位に大量に出ている炎症にかかわる物質を抑制する働きがあります。
上記の治療では、効果がみられなかった人にも効果を発揮することが期待されています。
<デメリットとして>
- すべての患者さんに効果があるわけではない
- 感染症などの副作用がでることもあり、長期的投与については不明な点がある
ことがあげられます。
乾癬はうつるの?うつりません!
乾癬は人にうつることは絶対にありません!
しかし、「乾癬」という名前や皮疹の形状から、乾癬はうつると勘違いしている人が少なくありません。
乾癬の患者さんは、皮疹を見られたり、うつると勘違いされて、社会的生活に困難を感じている人が多いのが現状です。
乾癬は、皮疹に触れても、温泉やプールに一緒に入っても、うつることはありません。
家族や周囲の人が、「乾癬はうつらないこと」「根治治療法がないため、何度も繰り返しあらわれる皮膚疾患で悩んでいること」など、乾癬について正確な知識をもつことはとても大切です。
乾癬と上手に付き合うために・・・
日常生活で注意する主なポイント
◆皮膚への刺激を避ける
衣服の摩擦や皮疹を引っ掻くことで悪化します。衣服は肌がこすれないように、ゆったりとしたものを着用するようにしましょう。また、痒みが強いときには、医師に痒みを抑える薬を処方してもらい、できるだけ掻かないないようにすることが大切です。
◆バランスの良い食生活
肉類や脂肪分の多い食事は乾癬を悪化させる要因になるといわれています。また香辛料などの刺激物や酒類は痒みを誘発することがあります。
栄養バランスのよい食事を心掛け、お酒や香辛料はほどほどに、できれば避けたほうがよいでしょう。
◆皮膚の乾燥を防ぐ
皮膚の乾燥は、乾癬の症状を悪化させます。特に、乾燥しやすく日光にあたる機会が少ない冬には症状が悪化します。加湿器や保湿薬を利用して、肌が乾燥しないように努めましょう。
◆入浴は毎日行う
皮膚を清潔に保つ点、皮膚の保湿の点で入浴は推奨できます。からだを洗うときには、ナイロンタオルは避けて、木綿のタオルか手でやさしくなでるように洗いましょう。
入浴後はすぐに外用薬を塗ると効果的です。
◆感染症に注意
風邪や扁桃腺炎などの感染症にかかると、乾癬の症状が悪化することがあります。日ごろから、丁寧な手洗い・うがいを徹底しましょう。
◆適度な日光浴
紫外線を浴びることで症状が改善することが期待されます。ただし、急激な日焼けや発汗で発疹やかゆみが悪化する場合があるので注意しましょう。
◆ストレスをためない
仕事や対人関係の悩みなど、さまざまなストレスが発症・悪化の引き金となります。夢中になれる趣味を持ったり、適度な運動で気分転換を図ることなどストレスをためないように努めましょう。
乾癬は、良くなったり、悪くなったりを繰り返す経過の長い慢性の皮膚疾患です。
根気よく治療を続けることはもちろん、日常生活では、生活習慣を見直したり、悪化要因を排除して、良い状態を保ち、少しでも快適に過ごせるようにすることが大切です。
- 関連項目
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