お医者さんと治そう 慢性頭痛

[お医者さんに聞いてみよう]

お医者さんに聞いてみよう

全国の先生方から、慢性頭痛それぞれの症状や診察の流れ、治療のポイント、自分でできる予防法などについてお答えいただきました。

片頭痛について

おがわ脳神経外科クリニック 院長 小川 裕行

頭痛は「つらい頭痛」であり、多くの方が、動くと症状がひどくなるため「横になって静かにしていたい」と思っています。
一般的な症状として、ズキズキと脈打つような強い痛みが数時間から3日間ほど続き、頭痛に伴って、吐き気がしたり、光や音に過敏になったりする随伴症状があります。
しかし若い頃から頭痛持ちの方は、頭痛自体が日常生活の一部と思い込んでいることもあり、「我慢すればなんとかなる」「他の人も同じ」と頑張って仕事をするなどして、我慢している方が大勢いらっしゃいます。
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おがわ脳神経外科クリニック
院長 小川 裕行

月経関連片頭痛について

甲南病院 神経内科部長 北村 重和

月経と片頭痛の間には密接な関係があります。女性ホルモンの一つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)が片頭痛に影響を及ぼすことが知られています。エストロゲンの血中濃度は排卵日と月経の開始日近くでピークとなります。エストロゲンの血中濃度が低下する時に片頭痛が起こりやすく、月経の2日前から開始3日目までの5日間に特に起こりやすいことがわかっています。この時期に起こる片頭痛発作は、いつもの頭痛に比べ重症であることが多く、悪心(吐き気)や嘔吐を伴いやすく、薬が効きにくい、頭痛の持続時間が長い、再発しやすいといった特徴があります。
したがって、月経周辺に起こる片頭痛発作には注意が必要で、いつもより強い治療をすることが重要です。
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甲南病院
神経内科部長 北村 重和

群発頭痛について

東京女子医科大学 脳神経外科客員教授 清水 俊彦

群発頭痛の症状は、片目の奥をえぐられるような激しい痛みが、1~2ヶ月間、連日連夜起こるのが特徴です。激しい痛みは1~2時間続き、痛みに伴って痛みと同じ側の涙が出たり、目の充血、鼻水・鼻づまりなどの症状がでます。
片頭痛が女性に多いのと対照的に、群発頭痛は男性に多いことも特徴です(当院では男:女=10:1)。また、片頭痛は動くと痛みがひどくなるのに対し、群発頭痛は激しく動くと痛みが和らぐため、痛い時に暴れたり壁に頭をうちつけたりする方もいらっしゃいます。
群発頭痛の痛みの発作は、1~2ヵ月過ぎるとまったくなくなりますが、通常は半年から2~3年後に同じような痛みが周期的に起こることが多いようです。
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東京女子医科大学 脳神経外科
客員教授 清水 俊彦

薬物乱用頭痛について

広南病院 頭痛外来医長 松森 保彦

もともと何らかの頭痛がある方で、頭痛薬の飲み過ぎにより、かえって頭痛が悪化した状態を「薬物乱用頭痛」といいます。鎮痛薬などの薬の過剰服用が引き金となり、痛みに対する感受性が過敏になってしまうことが原因と考えられています。市販鎮痛薬でも起こりますが、医師から処方された薬でも起こってしまいます。
当院頭痛外来では、もともとの頭痛は約85%が片頭痛で、原因となった薬の約50%が医療機関から処方されていた、というデータがあります。いろいろな頭痛の中でも、より生活支障度の高い片頭痛がきっかけになっていることが多く、また、漫然と鎮痛薬が処方されている可能性があると考えられました。
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広南病院
頭痛外来医長 松森 保彦

緊張型頭痛について

富永ペインクリニック 医学博士 富永喜代

緊張型頭痛は、肩や首がこりを伴って、頭を締めつけられるような鈍い痛みがあるのが特徴です。慢性頭痛の中では最も多く、子どもから高齢者までどの年齢層でもみられます。
しかし、一般的で最も多い病気のため、肩や首がこるからといって「自分は緊張型頭痛だ」と自己判断している方も大勢いらっしゃいます。「片頭痛」でも首がこりますし、「頸椎椎間板ヘルニア」「頸椎椎間関節症」「むちうち」などの疾患でも首や肩の痛みがあります。
また、「このぐらいの痛みだったらなんとか頑張れる」などと思い、緊張型頭痛を放置していると他の疾病を発症することもあります。
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富永ペインクリニック
医学博士 富永 喜代

「慢性頭痛」は立派な病気です。頭痛の専門医に診てもらえれば、痛みをコントロールすることができます。
「頭痛で病院にいくなんて・・・」などと思わずに、日常生活に支障がでる頭痛があれば、我慢せずに頭痛外来を受診しましょう。