お医者さんと治そう 慢性頭痛

[慢性頭痛それぞれの症例/B子さん]

慢性頭痛それぞれの症例

月経関連片頭痛のB子さん

症状

月経前後にひどい痛みの頭痛がおこる
痛みに伴って吐き気がして、実際に吐くこともある
いったん痛みが治まっても、半日たってからまた痛くなることがある


医師の診断

B子さんは「月経関連片頭痛」であると診断します。月経のときに頭痛が起きても、生理痛の一部と勘違いし、市販の痛み止めを服用して我慢している女性が大勢いると思います。しかし、生理痛の症状で頭痛があらわれることはありません。実は、月経のときの頭痛の約6割が片頭痛であると言われています。
月経に関連した片頭痛の場合は、それ以外の頭痛にくらべて症状が重く、吐き気などの随伴症状が強くでるため、頭痛の薬が効きにくいことがあります。また、頭痛の持続時間が長く、いったん治まっても半日たってぶり返すなど再発しやすい特徴があります。
片頭痛を引き起こす原因のひとつに、女性ホルモンである"エストロゲン"があります。女性ホルモンの血液中の濃度は、月経周期に伴って変動しています。月経に関連した片頭痛は、排卵日や月経の初日前後に起こりやすく、これは、ちょうどエストロゲンの濃度が低下するころになります。


治療法について

月経に関連しない片頭痛と同様に、発作が起こってしまった場合には、痛みがひどくなる前にトリプタン系薬剤を服用して頭痛をコントロールすることが可能です。トリプタン製剤だけでコントロールができない頭痛に関しては、上手に鎮痛薬を組み合わせて使っていきます。服用の頻度やタイミングは、医師の指示を守って服用しましょう。
頭痛は完全になくすことはが難しい病気ですが、月経関連片頭痛で悩んでいる方は「閉経」とともに頭痛がなくなることも多いのが特徴です。

≪トリプタン系薬剤≫

トリプタン系薬剤は、1997年3月に英国で承認され、日本では2000年に注射薬が、2001年に経口剤が、医師の処方により使用できるようになりました。トリプタンは炎症を抑えるだけではなく、痛みの元となる神経伝達物質をブロックし、根本的に頭痛を消失させるお薬です。痛みを増強する原因となっている拡張した血管を正常な太さに収縮させる働きも持っているため、頭痛の発作が起こってから早いタイミングで服用することができれば大変高い効果を発揮します。

≪解熱鎮痛薬≫

鎮痛薬は炎症を抑える作用が主で、ピリン系と非ピリン系などに分類されます。いずれも緩和な鎮痛作用を示します。服用タイミングが遅れ、トリプタン製剤だけで痛みがとれない頭痛に関しては、鎮痛薬を組み合わせて服用する場合があります。


自分でできる予防法

月経に関連した片頭痛は、女性ホルモンが原因で起こっている場合が多いのですが、その他のものが誘因になっていることもあります。自分にとっての片頭痛の誘因が何であるのかを知って、それを避ける工夫が大切です。
→片頭痛A子さん参照

「慢性頭痛」は立派な病気です。頭痛の専門医に診てもらえれば、痛みをコントロールすることができます。
「頭痛で病院にいくなんて・・・」などと思わずに、日常生活に支障がでる頭痛があれば、我慢せずに頭痛外来を受診しましょう。