田中内科 (愛媛県西条市)

漢方薬も使用する外来について
漢方薬はもともと約二千年前に中国で開発された「速効性」のある薬です。生薬という超多種類の少量の薬剤の、長年月経て見つけ出された組み合わせの薬です。そのポイントは、当時の人間の体は、防御システムを含め、現代とあまり変わってないことです。さらに、漢方薬は、メインは急性期治療であり、あらゆる診療科の急性期の病気に対し、速効性と切れ味を発揮します。効き方の違いはあるが、西洋薬と遜色のない薬と思います。漢方薬はその後、明治維新によりバッサリと切り捨てられます。が幸運にも、細々と現代まで残ったのです。西洋薬は、よく効く薬がたくさんあります。特に抗生剤は病原菌を殺し、非常に有用でしたが、ここに来て、耐性が出てきています。それに対して、漢方薬は抗炎症作用や免疫をあげる力を持ってます。西洋薬は、よく効きますが、対症療法にすぎません。対症療法とは現れている症状を抑え込むためだけの療法です。薬をやめたとたん、症状は再び現れます。しかも、だんだん効き目を得にくくなります。対して漢方薬は、少量だが複数の生薬の共同作業で、人間の身体のおかしくなったシステムを、病気を治す方向に持っていくものです。人体は非常に精密で巧妙にできておりアナログ的です。アナログ的な漢方薬は、殆どの薬剤で心身症的な病気の心の面もフォローできます。病気の慢性期には、痛みなどは特に、病態が複雑になってくるので、漢方薬の方が良いと思います。
漢方薬は保険で処方できます。ですが、薬価の収載の経緯が不透明などの理由で、一般西洋薬に比べて冷遇されてきました。古いものにも価値のあるものは沢山あり、漢方薬もそのひとつです。漢方薬は、犠牲者も出しながらも、先人たちが生薬の組み合わせを見つけてきた薬たちです。それを、今までは「科学的でない」との理由で、排除、冷遇されてきました。しかし、近年になって日本で開発されたエキス剤(現在処されている薬)を使って、アメリカなどで研究され始め、科学的に確かな薬効が証明され始めました。当院では、「サイエンス漢方処方」を実施していまして、従来の漢方の手法にこだわることなく、「漢方薬」を西洋的な病状診断をして、それだけで、積極的に「漢方薬」を使用しています。