その症状マイコプラズマ肺炎かも…:【医師監修】1ヶ月咳が止まらない!?

2017年5月1日 更新
咳をする女性

「3~4週間咳が止まらない」「風邪がなかなか治らない」など、長引く咳の症状は、ただの風邪ではなく、マイコプラズマ肺炎かもしれません。

幼児期や青年期にかかることの多い肺炎のひとつで、患者の約8割が14歳以下ですが、大人でもかかることがあります。

以前は、夏季オリンピックのある年(4年周期)に大流行していたため、「オリンピック病」と呼ばれていました。ただ、現在ではこの傾向がみられず、毎年のように流行する感染症です。

目次

  1. 特徴的な症状は3~4週間と長く続く咳
  2. 感染は「飛沫感染」「接触感染」 感染力はそれほど強くない
  3. 大人のマイコプラズマ肺炎 - 重症化リスクが高い?!
  4. 重症化するとどうなる?
  5. マイコプラズマ肺炎の検査
  6. マイコプラズマ肺炎の治療
  7. マクロライド系の抗生物質が効かない耐性マイコプラズマ肺炎が増加!
  8. 出席してもいいの?登校(園)の目安
  9. こんな時や症状がある場合には、マイコプラズマ肺炎を疑いましょう!!

特徴的な症状は3~4週間と長く続く咳

マイコプラズマ肺炎は、気道や気管支から感染する呼吸器感染症です。感染してから発症するまでの潜伏期間は、2~3週間と比較的長めです。

○主な症状と経過

1) 発熱と風邪に似た症状
微熱や高熱とともに、倦怠感、頭痛など、風邪のような症状がでます。熱は続く場合もあれば、急に高熱がでた後はすぐに平熱近くまで下がる場合もあります。

2) 3~4週間と長く続く咳
マイコプラズマ肺炎の一番の特徴は、咳の症状が長期間続くことです。

1)の症状から3~5日程後には、乾いた咳がではじめます。咳は徐々に強くなり、熱が下がった後も3~4週間と長く続きます。


マイコプラズマ肺炎は症状の特徴が少なく、診断が難しい場合もあります。

医療機関を受診する際は、症状とあわせて、マイコプラズマ肺炎を疑っている旨を伝えましょう。

感染は「飛沫感染」「接触感染」 感染力はそれほど強くない

3個のばい菌

マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumonia/マイコプラズマ・ニューモニアエ )というとても小さな細菌に感染することで起こります。この肺炎マイコプラズマは他の細菌と異なり、細胞壁がありません。

感染している人の咳やくしゃみなどに含まれる細菌を吸いこむ飛沫感染や、手指やもの、食品などについた細菌が主に口から体内に入る接触感染によって感染します。

感染は、閉鎖的な空間で集団が生活するような環境でみられます。

感染者と家庭や学校などで濃厚な接触があった場合は注意が必要ですが、短時間接触する程度では感染拡大の可能性は高くありません。

感染力はインフルエンザやノロウイルスほど強くなく、感染が拡大する速度も遅いとされています。

大人のマイコプラズマ肺炎 - 重症化リスクが高い?!

マイコプラズマ肺炎にかかると、多くの場合は咳や発熱、倦怠感、頭痛など、風邪のような軽い症状で済むことが多いですが、まれに重症の肺炎になってしまうことがあります。

一般には、子供の場合は軽症で済むとされ、年齢が高くになるにつれて肺炎を起こしやすく、成人になると重症化するリスクが高くなるとされています。

大人の場合は、咳が長く続く程度では、医療機関の受診につながりづらいかもしれませんが、3週間近く咳の症状がある場合は、医療機関の受診も検討しましょう。

マイコプラズマ肺炎は症状の特徴が少なく、診断が難しい場合もあります。

医療機関を受診する際は、症状とあわせて、マイコプラズマ肺炎を疑っている旨を伝えましょう。

重症化するとどうなる?

マイコプラズマ肺炎自体、症状の特徴は少ないのですが、重症化しても特徴が少ないことは変わりません。

軽症であれば、前述のとおり、発熱をともなう風邪のような症状がでて、咳が長く続く程度ですが、3週間近く咳が続いたあと、再度発熱し呼吸困難などの症状がでる場合は、重症化が疑われます。

マイコプラズマ肺炎の検査

カルテと聴診器

検査には「遺伝子検査」「血液検査」「胸部X線検査」があります。

マイコプラズマ肺炎は症状の特徴が少なく、検査でも方法によっては、結果がわかるまでに時間がかかったり、正確性が高くないなどの理由から、診断が難しい場合があります。

そのため、マイコプラズマ肺炎が疑われる場合には、確定診断が出る前に治療を開始することも多くあります。

≪遺伝子検査≫
綿棒で喉の奥や鼻の穴の中をぬぐったり(咽頭スワブ/鼻咽頭スワブ)、痰を採取して(喀痰)、肺炎マイコプラズマが検出されるかを調べる検査です。

LAMP法:
正確性の高い検査方法ですが、結果がわかるまでに早くても1週間程度かかります。

PCR法(迅速診断キット):

2013年 6月から、インフルエンザ検査と同様の迅速検査キットが保険適用になりました。

結果は10分程度でわかりますが、LAMP法に比べて正確性は低く、結果が陽性の場合はほぼ間違いありませんが、陰性の場合は陽性の可能性も残されているため、確定診断には他の検査と組み合わせる必要があります。

また、すべての医療機関に迅速診断キットが用意されているわけではありません。

PCR法での検査を希望する場合は、事前に医療機関に確認してから受診しましょう。


≪血液検査≫
マイコプラズマ肺炎に感染すると、その細菌に対抗するために、体の中でマイコプラズマ抗体がつくられます。血液検査ではこのマイコプラズマ抗体がどれくらい増えているかの数値を調べて診断します。

通常の血液検査:
1回の採血の数値結果で診断する方法(単一血清)と、期間を置いて2回採血をして、その数値の差で診断する方法(ペア血清)があります。

過去にもマイコプラズマ肺炎にかかっていると、既に体内に抗体が存在している可能性があるため、1回の採血(単一血清)では、正確な結果が出ない場合があります。

また、確定診断できる状態まで抗体が増えるには、発症してから2週間以上かかるため、採血回数に関わらず、血液検査での早期診断は難しいとされています。

迅速診断検査:
血液検査にも迅速診断検査があります。

30分程度で結果が出ますが、感染初期には抗体が十分に増えていなかったり、過去にもマイコプラズマ肺炎にかかったことがある場合は抗体が増えないこともあるため、感染していても陰性の結果がでてしまうことがあります。


≪胸部レントゲン(X線)検査≫

胸部のレントゲンを撮って、肺の状態を調べます。

マイコプラズマ肺炎にかかっていると、すりガラス状の淡い陰影がみられることがあります。

ただし、他のウイルス感染でも同じような陰影が出ることから、確定診断にはなりません。

マイコプラズマ肺炎の治療

抗生物質

治療には、抗生物質を使用して、肺炎マイコプラズマを殺菌します。

いくつかある抗生物質の中でもマクロライド系という種類が使用されます。

長く続く咳は特徴的ですが、ほとんどの症状は風邪との見分けがつきにくく、軽い症状で済んでしまうことも多いため、マイコプラズマ肺炎と気づかないうちに自然治癒してしまう傾向があります。

○なぜ特定の種類の抗生物質が使用されるの?

前述のとおり、マイコプラズマ肺炎の原因となる細菌、肺炎マイコプラズマは他の細菌とは異なり、細胞壁がありません。

ほとんどの細菌には細胞壁があり、細胞壁がないと細菌は存在することができません。

その特徴から、抗生物質の中には、細菌に細胞壁をつくらせないことで、増殖を抑えたり死滅させたりするものがあります。

しかし、そもそも細胞壁がない肺炎マイコプラズマには、このような種類の抗生物質では、効果がありません。

マクロライド系の抗生物質は、肺炎マイコプラズマが存在するのに必要なたんぱく質をつくらせないという、全く別の作用で細菌の増殖を抑えます。


マクロライド系の抗生物質は苦みがある薬です。子供が服用する際には、濃厚な甘味のあるアイスクリームやコンデンスミルクなどに混ぜるなど、工夫して飲ませるようにしましょう。

マクロライド系の抗生物質が効かない耐性マイコプラズマ肺炎が増加!

一方で、マクロライド系の抗生物質が効かない肺炎マイコプラズマ(耐性菌)も存在しています。

マクロライド系の抗生物質を服用後2~3日経っても熱が下がらない場合は、耐性菌である可能性が考えられます。

耐性菌の場合は、テトラサイクリン系 または ニューキノロン系の抗生物質に切り替えて治療されます。

ただし、テトラサイクリン系の抗生物質は、8歳未満の子供には一過性の骨発育不全や歯が黒く着色してしまうなど、副作用がでることがあるため投与する際は注意が必要です。

今まで、ニューキノロン系の抗生物質には、小児のマイコプラズマ肺炎の際に保険適応で処方できるものがありませんでした。

しかし、耐性菌が増加しているなどの背景から、2017年3月に一部のニューキノロン系の抗生物質が、小児のマイコプラズマ肺炎に保険適応できるようになりました。

出席してもいいの?登校(園)の目安

幼稚園児 または 小学生

インフルエンザのように「解熱後○日」「罹患後○日」というふうにはっきりとした日数は提示されていませんが、学校保健安全法施行規則による出席停止期間は以下のように定められています。

○症状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで

引用) 学校保健安全法施行規則


文部科学省の「学校において予防すべき感染症の解説」では、登校(園)の目安は以下のようにされています。

○症状が改善し、全身状態の良い者は登校(園)可能である

引用) 文部科学省 : 学校において予防すべき感染症の解説


マイコプラズマ肺炎と診断された場合や、疑いがある場合の登校(園)については、感染拡大防止のためにも、医師や学校、その他教育・保育施設の先生に相談をしましょう。

医師や学校、その他教育・保育施設から出席停止と判断された場合は、通常の欠席とは扱われません。詳しい届け出方法は、各学校、教育・保育施設に確認しましょう。

こんな時や症状がある場合には、マイコプラズマ肺炎を疑いましょう!!

医師の診察を受ける女性

マイコプラズマ肺炎は症状が風邪とよく似ているため、気づかないまま過ごしてしまったり、医療機関を受診しても、風邪と診断されてしまうことがあります。

以下のような状況や症状がある場合には、医療機関を受診する際に、マイコプラズマ肺炎を疑っていることを医師に伝えた上で診察してもらいましょう。

  1. 3~4週間と咳の症状が長く続く
  2. 処方された薬を服用しても症状(熱や咳)がよくならない
  3. 生活圏(学校、教育・保育施設など)でマイコプラズマ肺炎が流行している
  4. 同居している人がマイコプラズマ肺炎にかかっている

マイコプラズマ肺炎で気になる症状がある場合は、近くの病院に相談しましょう

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※当コラムは東京内科医会のご協力によって作成されています。

東京内科医会は、常に最新の医学知識を学び、最良の医療を実践する魅力を持った何かを主体に、診療を行っている医師の集まりです。

コラム監修

Thumb-upきうち内科クリニック
東京都江戸川区本一色3-39-2
院長 木内 章裕
日本内科学会認定内科医、日本老年医学会専門医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医

Computerhttp://kiuchi.la.coocan.jp/

木内 章裕先生
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