気になる体臭、じつは病気が原因かも?放置NGの危険なニオイとは【医師解説】

病気が疑われる体臭の特徴や、受診すべきタイミングについて、たいや内科クリニックの加藤大也(かとう たいや)院長に解説してもらいました。
医師紹介
愛知県豊田市にある糖尿病や生活習慣病、甲状腺疾患の専門クリニックで、日本糖尿病学会認定教育施設に認定されている「たいや内科クリニック」の院長。糖尿病専門医・甲状腺専門医・総合内科専門医である院長のもと、専門看護師や管理栄養士が連携した「チーム医療」を提供。定期的な料理教室や市民講座の開催を通じて、病気の治療だけでなく、地域住民の皆様の健康増進や予防医療にも力を入れている。
目次
体臭の変化が病気のサインである可能性はありますか?
体臭や口臭の変化が、病気のサインとして現れることはあります。

「通常の体臭」と「病気が疑われる体臭」を見分けるポイントはありますか?
生活習慣の改善で軽くなるニオイは、多くの場合、生活環境や皮膚表面の変化によるものと考えていいです。注意が必要なのは家族など身近な人から「いつもと違う」と指摘されるニオイです。

通常の体臭と病気が疑われる体臭を見分けるうえで大切なのは、ニオイの強さだけではありません。
むしろ、「いつもと違う変化か」「どのくらい続いているか」「清潔にしても改善しにくいか」「他の症状を伴うか」を合わせて見ることが重要です。
汗をかいた後、運動後、緊張した時、睡眠不足の時、脂っこい食事やにんにく、香辛料、アルコールを取った後に体臭が強くなることは珍しくありません。また、衣類や寝具に残った汗や皮脂、洗濯状況によってニオイが強く感じられることもあります。
入浴、着替え、洗濯、十分な睡眠、水分摂取、食生活の見直しなどで軽くなるニオイは、多くの場合、生活環境や皮膚表面の変化によるものと考えられます。
一方で注意が必要なのは、これまでになかったニオイが急に出てきた場合、数日から数週間続く場合、清潔にしても改善しにくい場合、家族など身近な人から「いつもと違う」と指摘される場合です。
とくに、甘酸っぱい果物のような呼気、アンモニア様・尿様の口臭、魚が腐ったようなニオイ、皮膚の一部からの強い悪臭などは、体内の代謝異常、腎機能の高度な低下、重い肝機能障害、皮膚や軟部組織の感染症などが背景にあることがあります。
ニオイだけで病名を判断することはできませんが、医療の現場では大切な情報のひとつです。体の異変に早く気づくきっかけとして、冷静に受け止めていただきたいと思います。
どのような場合に医療機関を受診すべきですか?また、受診する場合は何科が適切ですか?
体調の変化を伴う体臭の変化があった場合は、まず内科の受診をおすすめします。

ここまでにお伝えしたとおり、体臭や口臭の変化で医療機関を受診すべきなのはニオイそのものだけでなく、体調の変化を伴う場合です。
特に、甘酸っぱい果物のような、あるいは除光液のような息に加えて、強い喉の渇き、頻尿、吐き気、嘔吐、腹痛、深く大きい呼吸、強いだるさ、眠気、意識がぼんやりするなどがある場合は注意が必要です。
糖尿病がある方や、高血糖を指摘されたことがある方では、糖尿病性ケトアシドーシスの可能性があり、救急外来を含めて早急に相談してください。
アンモニア様・尿様の口臭や、金属のような味に加えて、むくみ、尿量の減少、尿の泡立ちが続く、息切れ、食欲低下、強い疲労感などがある場合は、腎機能の低下が関係していることがあります。ただし、尿の泡立ちは一時的に起こることもあるため、泡立ちが続く、むくみを伴う、健診で尿蛋白を指摘された、血圧が高いなどの所見と合わせて判断することが大切です。
黄疸、皮膚の強いかゆみ、腹部の張り、強い倦怠感、出血しやすい、意識がぼんやりするなどを伴う場合は、肝機能の重い障害が隠れている可能性もあります。
皮膚の一部から強い悪臭があり、赤み、腫れ、痛み、熱感、膿を伴う場合は、皮膚や軟部組織の感染症として早めの治療が必要です。糖尿病のある方や免疫力が低下している方では、感染が進行しやすいことがあるため、悪化を待たずに受診してください。
受診先としては、まず内科が適切です。糖尿病、腎臓、肝臓、甲状腺、栄養状態など、体全体を確認できるからです。
糖尿病や高血糖が関係しそうな場合は、糖尿病内科や内分泌内科がよいでしょう。皮膚の赤み、膿、わきの強いニオイ、多汗などが中心であれば皮膚科、口臭が主な悩みで歯ぐきの腫れ、出血、虫歯、舌の汚れなどがある場合は、歯科や口腔外科も選択肢になります。
体臭の悩みはとても繊細で、受診をためらう方も少なくありません。
しかし、医療者にとっては決して珍しい相談ではありません。香りで隠し続けるのではなく、「体が何を伝えようとしているのか」を一緒に確認することが大切です。体臭や口臭の変化は、病気を早く見つけるきっかけになることがあります。
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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。


代表的なものに、糖尿病性ケトアシドーシスがあります。
血糖が著しく高くなり、インスリンの作用が不足すると、体は糖を十分に利用できず、脂肪を分解してエネルギーを作ろうとします。その過程でケトン体が増えると、息が甘酸っぱい果物のような、あるいは除光液のようなニオイになることがあります。
これは体臭というより、呼気の変化として気づかれることが多いものです。強い口渇、頻尿、吐き気、嘔吐、腹痛、深く大きい呼吸、強いだるさ、眠気、意識がぼんやりするなどを伴う場合は、緊急性が高いため、速やかな受診が必要です。
腎機能が高度に低下し、尿毒症に近い状態になると、老廃物が体内に蓄積し、アンモニア様・尿様の口臭や、金属のような味を感じることがあります。ただし、腎臓病の初期から必ずニオイが出るわけではありません。
また、肝機能が重く障害された場合には、肝性口臭と呼ばれる独特の口臭が出ることがあります。表現は人によって異なりますが、甘いような、かび臭いような、腐った卵やにんにくを思わせるようなニオイとされます。
さらに、まれな代謝異常として、汗、尿、息から魚が腐ったようなニオイが出るトリメチルアミン尿症も知られています。これは非常にまれな病気であり、一般的な体臭とは分けて考える必要があります。