自覚症状なしに進行、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まる。「慢性腎臓病」の見逃してはいけないサインとは?【医師解説】

慢性腎臓病とはどのような病気なのか、見逃してはいけないサインや予防のポイントについて、たいや内科クリニックの加藤大也(かとう たいや)院長に解説してもらいました。
医師紹介
愛知県豊田市にある糖尿病や生活習慣病、甲状腺疾患の専門クリニックで、日本糖尿病学会認定教育施設に認定されている「たいや内科クリニック」の院長。糖尿病専門医・甲状腺専門医・総合内科専門医である院長のもと、専門看護師や管理栄養士が連携した「チーム医療」を提供。定期的な料理教室や市民講座の開催を通じて、病気の治療だけでなく、地域住民の皆様の健康増進や予防医療にも力を入れている。
目次
「慢性腎臓病」とはどのような病気なのでしょうか?
慢性腎臓病とは、腎臓の働きが低下した状態、または尿たんぱくなど腎臓の障害を示す所見が、慢性的に続いている状態を指します。

「慢性腎臓病」の前兆や、見逃してはいけないサインはありますか?
慢性腎臓病の大きな特徴は、初期にははっきりした症状が出にくいことです。

腎臓はかなり機能が低下するまで黙って働き続けるため、「前兆を体で感じて見つける」というより、健診の数値から早く気づく病気と考えることが大切です。
見逃してはいけないサインは、尿たんぱく、尿潜血、血清クレアチニンの上昇、eGFRの低下です。
特に尿たんぱくは、腎臓のフィルターに負担がかかっている可能性を示す重要な所見です。一度だけの異常で過度に心配する必要はありませんが、繰り返し指摘される場合は放置しないでください。
日常生活では、尿の泡立ちが続く、足や顔がむくむ、夜間に何度もトイレに起きる、血圧が高くなった、疲れやすい、息切れしやすい、食欲が落ちたなどが手がかりになることがあります。
ただし、これらは慢性腎臓病以外でも起こります。
糖尿病、高血圧、肥満、喫煙習慣がある方、腎臓病の家族歴がある方は、症状がなくても健診結果を大切に見直してほしいと思います。
「慢性腎臓病」の発症リスクを高めやすい生活習慣にはどのようなものがありますか?
慢性腎臓病の発症や進行には、日々の生活習慣が深く関わっています。

特に注意したいのは、塩分の摂り過ぎ、食べ過ぎによる肥満、運動不足、喫煙、過度の飲酒、睡眠不足、そして高血圧や糖尿病を放置することです。
腎臓は細い血管が集まってできた臓器です。血圧が高い状態が続くと、腎臓の細かな血管に負担がかかり、少しずつ機能が低下します。また、高血糖が続くと腎臓のフィルターが傷み、糖尿病性腎症につながることがあります。
つまり、血圧や血糖を放置することは、腎臓に毎日負担をかけ続けることでもあります。
塩分の多い食事も要注意です。ラーメンの汁、漬物、加工食品、外食、惣菜が多い生活では、知らないうちに塩分過多になりやすく、血圧上昇やむくみにつながります。
さらに、喫煙は血管を傷つけ、腎臓への血流にも悪影響を及ぼします。市販の痛み止めを自己判断で頻回に使うことや、脱水を繰り返すことにも注意が必要です。
腎臓を傷める習慣は、特別なことではなく、日々の積み重ねの中にあります。
「慢性腎臓病」を予防するために、今日からできる生活習慣の改善ポイントを教えてください。
慢性腎臓病を予防するために大切なのは、血圧、血糖、体重、塩分、喫煙、運動をまとめて整えることです。

腎臓は全身の血管と深く関わるため、生活習慣を整えることが、腎臓を守る基本になります。まず意識したいのは減塩です。
汁物は具だくさんにして汁を残す、ラーメンの汁を飲み干さない、漬物や加工食品を控えめにする、しょうゆやソースは「かける」より「つける」。こうした小さな工夫が、血圧と腎臓を守ります。
次に、体重管理と運動です。いきなり激しい運動をする必要はありません。今より10分多く歩く、階段を使う、食後に軽く体を動かすことから始めましょう。
糖尿病や高血圧、脂質異常症がある方は、数値を放置せず、治療を継続することが何より大切です。
禁煙も腎臓と血管を守る大きな一歩です。水分は極端に制限したり、逆に無理に大量に飲んだりせず、心臓や腎臓の状態に応じて適切に取ることが大切です。
そして健診結果を見直してください。尿たんぱく、尿潜血、クレアチニン、eGFRは、腎臓からの大切なメッセージです。
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※本記事は特定の病気・症状について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。


腎臓は、血液中の老廃物や余分な水分、塩分を尿として排泄するだけでなく、血圧の調整、貧血の予防、骨の健康維持にも関わる重要な臓器です。
慢性腎臓病が怖いのは、初期には自覚症状がほとんどないことです。「痛い」「苦しい」と感じにくいため、健診で尿たんぱくやeGFRの低下を指摘されて初めて気づく方も少なくありません。進行すると、むくみ、血圧上昇、夜間尿、だるさ、息切れ、食欲低下、貧血などが現れることがあります。
さらに重症化すると、体に老廃物や水分がたまり、心不全、高カリウム血症、尿毒症などを起こすことがあります。透析や腎移植が必要になる場合もあります。
また、慢性腎臓病は腎臓だけの問題ではなく、心筋梗塞や脳卒中などのリスクにも関わります。腎臓を守ることは、全身の血管と未来の生活を守ることでもあります。