微熱が続く場合の原因は?考えられる病気や対処法を徹底解説

医師紹介
医師、医学博士、糖尿病専門医、認定内科医。豊洲内科・糖尿病 / 形成・美容外科クリニック院長。糖尿病をはじめとする生活習慣病に加え、専門である甲状腺疾患や内分泌疾患を中心に診療。その他、内科開業医として、発熱・微熱、倦怠感、呼吸苦、腹痛等様々な主訴の方々の診療も行っている。
目次
そもそも微熱って何度?
感染症法や学校保健安全法においては体温(腋窩温)37.5℃以上が「発熱」と定義されています。一方で「微熱」には明確な基準はありませんが、ヒトの体温は概ね36℃~37℃の間で調節されていることが多く、臨床的には37.0~37.4℃の範囲を「微熱」と呼ぶことが一般的です。
もちろん基礎体温(平熱)には個人差があり、特に女性の場合は生理周期によって体温が高めとなる期間もあるので、絶対的にこの温度帯が微熱であると決めつけられるものではありません。ただ普段よりも基礎体温が高くなり、熱っぽいと感じる場合には病気のサインかもしれません。
微熱に伴って生じる、注意したほうがいい症状
微熱が出ている状態ではいつもと変わらないように動けてしまうという人も多いため甘く見がちですが、微熱のほかに以下のような症状が見られる場合には、何かしらの病気にかかっている可能性を疑いましょう。
- 身体の重さや倦怠感が続いている
- 関節が痛む
- 手足がこわばる
- 咳や痰、血痰が出る
- 息苦しさを感じる
- 集中力がなくなる、ぼーっとする
- 動悸や下痢、手足の震え、浮腫みがある
- 体重減少がある
- 血便・黒色便が出る
- 月経異常
よくある微熱の原因
風邪に伴う微熱
微熱が続くよくある原因としてあげられるのが、ウイルスが原因となり鼻やのどなどに炎症を起こした状態、つまり「風邪」です。原因となるウイルスにより出る症状が異なり、風邪の原因のうち3〜5割を占めるライノウイルスの場合、鼻風邪として症状が現れやすくなります。次に多い従来型のコロナウイルスの場合、鼻やのどに症状を起こします。
ウイルスなどの外敵に対して、免疫細胞が駆除のために働きを活発化させ、それが体温の上昇につながります。
体温が高くなっている状態では、人のからだはより多くの水分を必要とします。水分が取りにくい、微熱の範囲を超えて熱が上がった、呼吸がしづらいなどの症状が出たら、医療機関を受診するようにしましょう。
生理前におこる微熱
次の生理予定日のおよそ2週間以内、黄体期と呼ばれる期間に微熱が続く場合は、生理に起因する微熱の可能性があります。
子宮内膜が受精卵を受け入れやすいように準備をし、受精しなかった場合に剥がれ落ちることで月経となるのですが、この際にプロゲステロンという成分が分泌されます。この成分の働きにより体温が上がり、微熱が出やすくなります。
生理的な反応により出ている微熱ですので過度に心配する必要はありませんが、毎月日常生活に支障が出るほど辛い場合や、ひどい頭痛や腹痛、情緒不安定などに悩まされている場合は、月経前症候群(PMS)と判断される場合もあるので、婦人科に相談してみましょう。
微熱が続く際に医師が勧める診療科
微熱を来しうる疾患として可能性が高いのは内科疾患なので、微熱が続く場合にはまずは内科を受診し、問診・診察、必要に応じて検査を受けましょう。
内科疾患が否定的な場合には、他の診療科の受診を勧められる場合もあります。
受診を受ける目安
微熱が続いている期間と、そのほかにどのような症状が出ているか(およびその主観的なつらさ)から医療機関への受診を検討しましょう。
■夜間休日・救急でも受診をお勧めするケース
微熱以外にも我慢できないほどの痛みや呼吸しにくいほどの咳など、何らかの症状が強く出ている場合は早めに受診することをお勧めします。
■通常の診療時間内に受診をお勧めするケース:
微熱が高熱になってしまった場合はもちろんのこと、数日間も微熱が続いているような場合、もしくは微熱が出たり治まったりを繰り返す場合は、まずは医師に相談してみるとよいでしょう。また、微熱以外にも、のどの痛みや頭痛、くしゃみや鼻水など風邪のような症状が出ている場合も同様です。
■不安であれば受診を考慮するケース:
微熱が短期間で治まり、その後繰り返すことがないようであれば、様子見で問題ない場合がありますが、不安であれば医師に相談してもよいかもしれません。
微熱が続いた場合に考えられる病気

風邪/感冒/上気道炎
気道のうち、鼻からのどに至るまでの部分(上気道)がウイルスなどに感染し炎症を起こした状態です。一般的には「風邪」や「感冒」、「上気道炎」と呼ばれます。鼻の症状(鼻水・鼻づまり)、頭痛やのどの痛みなどの症状が出て、程度が軽い場合には熱は微熱でとどまる場合があります。
■参考:ヤクルト中央研究所「上気道感染症(かぜ症候群)」
気管支炎
気管から枝分かれしている気道(気管支)に細菌やウイルスが入り込むことで炎症を起こす病気で、炎症反応として微熱や発熱を伴うことがあります。その他の症状としては、痰がでる(病原体を排出しようとして分泌液が痰となる)、鼻汁、咳などがあります。気管支は下気道に分類されるため、上気道炎とは区別して呼ばれます。
インフルエンザ
インフルエンザは「高熱が出る」というイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、免疫力が低下している場合やインフルエンザウイルスのタイプによっては、感染しても微熱として症状が出ることがあります。風邪に比べて、身体のふしぶしの痛み(関節痛)が出やすい傾向があります。
■関連記事:子供のインフルエンザ|子供の病気【医師監修】
胃腸炎
胃や腸などの消化器がウイルスや細菌に感染して炎症を起こした状態である「胃腸炎」でも、微熱が続くという症状が出ることがあります。下痢や嘔吐、吐き気などがおもな症状として出ることがほとんどで、微熱以上にこれらの症状のほうが辛く感じられることでしょう。
■参考:和歌山市感染症情報センター「感染性胃腸炎」
副鼻腔炎
一般的には「蓄膿症」と呼ばれることもある疾患で、眼の下あたりに位置する副鼻腔に炎症を起こし、膿がたまってしまった状態です。37度台の微熱のほか、黄色い膿のような鼻水・鼻づまりや痰、頭痛や頭重感、嗅覚障害などの症状が出ます。風邪などの後に急激に発症した場合は「急性副鼻腔炎」、それが慢性化してしまった場合は「慢性副鼻腔炎」と呼び、後者の場合は治療が長期間に渡ってしまうことがほとんどです。
■参考:小郡三井医師会「副鼻腔炎の話」
■関連記事:副鼻腔炎の原因・症状・治療法と予防のポイントを解説
膠原病
ここまでにご紹介した病気は、外部から侵入したウイルスや細菌(異物)を排除しようという免疫反応を原因とするものでしたが、自身の細胞や組織を異物と判断してしまい攻撃してしまう自己免疫疾患でも、体温の上昇を引き起こしてしまいます。膠原病やリウマチなどの疾患がその代表例です。自己免疫疾患の原因ははっきりしていないものが多く、専門医師による治療が必要な疾患です。
甲状腺中毒症(バセドウ病など)
頸の真ん中の下側前面には甲状腺という組織があり、そこから甲状腺ホルモンという身体の代謝を司るホルモンが分泌されています。そのホルモンが過剰になると身体の代謝亢進に伴う基礎体温の上昇が起こり、微熱を引き起こすことがあります。その他、動悸や下痢、手足の震え、体重減少、倦怠感、浮腫みといった多彩な症状を来す場合もあります。
悪性腫瘍(がん)
がんそのもの、またはがんに伴う炎症、二次感染などで、原因不明の微熱が長く続くことがあります。頻度は高くありませんが、体重減少や寝汗、リンパ節の腫れ、原因不明の貧血、血便・黒色便、血痰等が続くという場合には早めの受診、精査が推奨されます。
薬剤性
新しく飲み始めた薬が体に合わず、感染症ではないのに熱が出ることがあります。これを「薬剤熱(薬剤性発熱)」と呼びます。新しい薬を始めてから微熱が数日〜数週間続く、体調はそこまで悪くないのに、熱だけがだらだら続くといった場合にはまず処方元に相談しましょう。受診時には「いつから」「何の薬を」「何日目から熱が出たか」をメモして行くと話が早いです。
不安障害
体内の炎症反応が原因ではなく、精神的なストレスが原因となって体温が上昇するケースもあります。心配や不安などを感じる状況に長く置かれてしまうと、交感神経が過剰に機能する(亢進)状態となり、体温が上昇しやすくなります。
うつ病
不安障害と同様、慢性的に抑うつ状態が続く「うつ病」でも微熱が続くことがあります。不安障害と同様、交感神経の高まりによって「過覚醒」の状態になると体温上昇などの症状が現れるのと同時に、自律神経の乱れが生じて抑うつ機能の低下、つまり気分の落ち込みややる気の低下などの症状が現れやすくなります。
疲労やストレスで起こる微熱
不安障害やうつ病のセクションで述べたように、疲労やストレスなど心の問題に起因して体温が上がることも珍しいことではありません。これを心因性発熱と呼びます。こうした心因性の発熱では、体内に炎症反応などは見られません。
ストレス性の熱のタイプ:急激な高体温を示した後、すぐに落ち着くタイプ
「大きなストレスとなるイベントを控えた前日に高熱を出すが、そのイベントが終わってしまうと平常に戻る」といったタイプです。こういった症状は、熱産生の機能が発達中であり、小さな刺激にも体温を上げる機能が大きく働きやすい子どもに多いとされています。
ストレス性の熱のタイプ:微熱が続くタイプ
身体の疲れがとれない、仕事や日常生活で強いストレスにさらされている状態が続くなど、さまざまな要因が重なることで高体温の状態が常態化してしまうタイプです。前述のように、交感神経の機能が過度に働いていることが熱の原因と考えられるため、「心因性発熱」ではなく、「機能性高体温症」と呼ばれることがあります。
■参考:テルモ体温研究所「ストレスによる高体温とは」
ストレス性の熱に解熱剤は効きにくい
こうしたストレス性の熱には、解熱剤は効きにくいとされています。
感染(その結果としての炎症反応)による熱の場合、解熱剤に含まれる成分が、炎症反応により産出される炎症性サイトカインといった物質の働きを抑制することで解熱効果を発揮します。しかし、ストレス性の熱ではこれらの物質が産出されないため、解熱剤を飲んでもその効果が現れにくいのです。
疲労やストレスによっておこる微熱の対処法
では、こうした疲労やストレスによる微熱にはどのように対処すればよいのでしょうか。
心因性発熱の場合は、前述の通り解熱剤などすぐに効果がある対症療法はありません。文字通り「心に起因」する体温の上昇であるため、ストレスをためないような日常生活を送ることを心がけましょう。それでもよくならない場合は、心にストレスを与えているものは何か、それを軽減するための方法を医師と一緒に探していくことになります。そのため、心療内科や精神科などの受診がお勧めです。同時に、身体のさまざまな機能を司る自律神経の働きを正常化するために、生活習慣の改善も必要になります。
まとめ
今回のコラムでは、「微熱が続く」という症状について、その原因や関連する病気について触れました。
大きくわけて
- ウイルスや細菌の感染
- 自己免疫疾患(膠原病)
- 甲状腺疾患
- 悪性疾患
- 薬剤性
- 精神的な問題や疲労、ストレス
に起因するものに分類されます。微熱という症状自体、さまざまな病気と関連して現れるものです。原因がわかれば、不安も小さくなりますし、それに対応する治療を行うこともできます。少しでも不安を感じたら、できる限り早く医療機関に受診するようにしましょう。
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※本記事は特定の病気について一般的な医学情報を解説したものであり、個々の症状や状態に対する診断・治療を保証するものではありません。症状の現れ方・原因・経過には個人差があり、記事内容がすべての方に当てはまるとは限りません。また、本記事の内容は公開日時点の医学知識をもとに作成していますが、ガイドライン・診療方針は変更になる場合があります。
