突然の鼻血…重大な病気の可能性は?耳鼻科医が教える危険な鼻血の特徴と原因【医師解説】

しかし中には、注意が必要なサインが隠れていることもあります。では、どのような鼻血に気をつければよいのでしょうか。なのはな耳鼻咽喉科の境 修平院長に、鼻血の原因や正しい対処法、受診の目安について詳しく聞きました。
医師紹介
日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会専門医。日本東洋医学会、日本耳鼻咽喉科漢方研究会会員。医療法人三香会なのはな耳鼻咽喉科理事長。筑波大学医学専門学群卒。耳鼻咽喉科診療のかたわら、2007年に漢方と出会い伊藤隆先生、今中政支先生、小川恵子先生らに師事。西洋医学と東洋医学のハイブリッド治療で外来診療を行う。モットーは「ちゃんと診察、ちゃんと診断」。
目次
一般的に鼻血はどのような原因で起こるのでしょうか?
鼻血の9割は鼻中隔前方の粘膜(キーゼルバッハ部位)からの静脈性の出血と言われています。動脈性で大量の出血を認めることもありますが、比較的まれです。
小児の場合は機械的な刺激(いじりすぎ)で起こることもありますが、成人の場合は明らかな原因が特定できないことも少なくありません。冬場に鼻出血の患者さんが増えることから、乾燥による粘膜障害は原因のひとつと考えています。
その他の原因としては鼻腔や上咽頭(鼻の奥の喉)に腫瘍がある場合や、副鼻腔に強い炎症や腫瘍がある場合が考えられます。
病気が原因ではない、通常の鼻血の代表的な症状を教えてください
一般的な鼻血では、「鼻水だと思ったら血だった」とか「気づいたら枕が血まみれ」だったという風に訴えることが多いです。痛みなどを伴うわけではないので「鼻から血が出た」というので自覚するのが大半です。
キーゼルバッハ部位の粘膜損傷が慢性化している場合は、鼻をかんだら出血することが多いです。出血→かさぶたが付着→かさぶたが気になっていじってしまう→出血をくりかえすというケースもあります。
鼻血が出たときの正しい対処法を教えてください
前述のとおり鼻血の9割は鼻中隔前方の粘膜からの出血なので
1.慌てない
2.下を向く
3.鼻翼を強く指で5分ほど圧迫する
の3つが原則です。一方、多くの人がやりがちなのが
1. 慌てる
2. 上を向く
3. ティッシュペーパーをつめる
という3つの対処法です。慌てるのは仕方ありませんが、慌ててしまうと血圧があがってしまうので、鼻血が止まりにくくなってしまいます。私の場合、患者さんには「鼻血で死ぬことはないので慌てないように」と説明しています。

「上を向く」についても、「鼻血を外に出したくない」ということで反射的にやってしまう気持ちはわかりますが、鼻血は飲み込んでも再利用されません。
むしろ飲み込むことで気持ち悪くなったり、鼻血が口に回り込み口から血を出すことで余計にパニックになり血圧があがったりして止まりづらくなります。
3つ目の「ティッシュペーパーをつめる」も大半の人がやってしまいます。一時的な止血効果は否定しませんが、ティッシュペーパーをつめると粘膜を損傷してしまうため、逆に鼻血が出やすくなります。
「転んですりむいたときに、傷口にティッシュペーパーあてないですよね?」というとわかってもらえたりします。
重大な疾患が原因になっている可能性が高い鼻血の特徴を教えてください
前述のとおり、大半の鼻血はキーゼルバッハ部位からの静脈性の出血で病的なものではありません。しかし、なかには注意が必要な鼻血もあります。
ひとつは腫瘍性の鼻血。小児なら上咽頭血管腫、成人であれば出血性鼻茸や肉芽腫などの腫瘍が、良性・悪性も含めて鼻の中にできることがあります。
腫瘍からの出血の場合は、出血以外に鼻詰まりや痛みなどを伴うことが多いです。また、非常にまれではありますが、泌尿器系の癌の鼻腔内転移の場合は極めて大量の出血があり止血困難となるケースがあります。
遺伝性の疾患として、血友病に代表されるような出血傾向の疾患もあります。症状としては出血がとにかく止まらないことが挙げられます。そのため出血してから止まるまでの時間を聞くことが、問診では重要となってきます。
大量の出血をくり返すのに、出血点がはっきりしない場合は動脈性の出血(前篩骨洞脈や蝶口蓋動脈など)の可能性があり、場合によっては血管造影などの画像検査が必要になる場合もあります。
そのほか、オスラー氏病という遺伝性の難治性の鼻出血があります。また持病で抗凝固剤を飲んでいる方は鼻血がとまりづらくなります。
鼻血で受診する際の目安を教えてください
まずは正しい止血法を実践してください。大半はそれで問題ありません。患者さんから「鼻血が出たから救急車を呼んだ」という話を聞くこともありますが、耳鼻科医の立場から言えば鼻出血で救急車が必要になるケースは極めて稀です。まずは「慌てない」のが一番です。
鼻血を繰り返す場合やなかなか止血できない、出血量が多い場合は、専門である耳鼻科の受診をおすすめします。
通常であればボスミン綿球やガーゼによる圧迫止血を行ったのち、正しい止血方法を指導しておしまいになります。必要に応じて硝酸銀や電気メスによる凝固止血を行う場合もあります。
鼻血の内服治療としてはトラネキサム酸やカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムがあります。飲んだから止まるというものではありませんが、止血のお手伝いができます。
またあまり知られていませんが、漢方薬で三黄瀉心湯、黄連解毒湯が鼻出血の適応があり、おすすめしている処方です。粉薬以外にもメーカーによってはカプセル剤があり飲みやすくなっています。
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