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花粉症対策と治療・花粉症とは?【医師監修】

公開日: 2014-02-04
更新日: 2014-02-04
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花粉症とは、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ・鼻水などのアレルギー症状を起こす病気です。季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれています。アレルギー性鼻炎は、原因物質(アレルゲン)の種類によって2つに分類されます。

医師紹介

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木内 章裕院長
日本内科学会認定内科医
日本老年医学会専門医
日本神経学会専門医
日本脳卒中学会専門医

花粉症とアレルギー性鼻炎・タイプ

季節性アレルギー性鼻炎(=花粉症)

原因となる花粉の飛ぶ季節にだけ症状があります。日本では、約60種類の植物が花粉症を引き起こすと報告されています。

主なアレルゲン

スギ、ヒノキ、カモガヤ、オオアワガエリ、ブタクサ、シラカンバなど。

症状

鼻の三大症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)だけでなく、目の症状(かゆみ、涙、充血など)を伴う場合が多く、その他にのどのかゆみ、皮膚のかゆみ、下痢、熱っぽい感じなどの症状が現れることがあります。

通年性アレルギー性鼻炎

アレルゲンが一年中あるので、症状も一年中あります。

主なアレルゲン

ダニ・ハウスダスト・ゴキブリなどの昆虫、ペットの毛・フケなど。

症状

季節性アレルギーと同様に鼻の三大症状の他、目、のど、皮膚などでも炎症の症状がみられることがあります。また喘息やアトピー性皮膚炎などを合併することがあります。

最近、通年性アレルギー性鼻炎と花粉症の両方に悩む人や、複数の花粉に反応する人も増えており、ほぼ一年中くしゃみ・鼻水・鼻づまりや目のかゆみ・異物感に悩まされるという人も少なくありません。

花粉症対策の基本

掃除機をかける女性

花粉症の症状を軽くするためには、治療とともに花粉が体に入ってこないようにする注意や工夫が大切です。 積極的に花粉症対策に取り組み、つらいシーズンを乗りきりましょう。

花粉が身体に入ってこないようにする工夫

  • 花粉情報をチェックして、飛散の多いときの外出を控える
  • 飛散の多いときは、窓・戸を閉めておく
  • 飛散の多いときは、外出時にマスク・眼鏡を着用する
  • 外出時、毛織物などのコートは避け、表面のつるつるした素材を選ぶ
  • 帰宅時、衣服や髪についた花粉を外で払ってから入室する
  • 洗顔、うがいをして体についた花粉をきちんと洗い流す
  • 掃除をこまめに行う
  • 該当する花粉の時期は、洗濯物・布団は外に干さない
  • 空気清浄機を活用する

花粉症の治療

大きく分けて薬物療法・減感作療法・手術療法の3つがあります。きちんと治療法を知り、対処していくことが大切です。また、花粉飛散開始前から治療をはじめる初期療法についても知っておきましょう。

薬物療法

「初期療法」で楽に乗りきりましょう
花粉症などのアレルギーは、症状が悪化すると薬が効きづらくなります。しかし、軽いうちに薬を使いはじめると、花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすく、そのシーズンの症状を軽くすることができます。
花粉の飛びはじめる2週間くらい前から症状を抑える薬(抗アレルギー薬)の使用をはじめる治療で、これを『初期療法』と呼んでいます。

≪初期療法のメリット≫
● 症状の出現を遅らせることができます
● 飛散量の多い時期の症状を軽くできます
● 併用する薬の量や使用回数を少なくできます
「導入療法」で強い症状をやわらげましょう
『導入療法』は、症状が強くなってしまってからはじめる治療です。 経口ステロイド薬の一時的(1週間以内)な服用や、鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)なども必要となります。

「維持療法」で症状が軽くなっても薬の服用は続けましょう
『維持療法』は、初期療法や導入療法で症状が抑えられた状態を保つための治療です。 第2世代抗ヒスタミン薬や、症状が重い場合には鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)を使います。花粉の飛散中は治療の継続をおすすめします。

主な治療薬
花粉症に効く薬は、時期と症状によって異なります。初期療法には、主に第2世代抗ヒスタミン薬などの経口薬が用いられ、症状が重い場合には鼻噴霧用ステロイド薬(点鼻薬)やロイコトリエン拮抗薬などが併用されます。 毎年の症状の出方、治療の希望、現在の症状の程度をしっかり把握し、お医者さんと一緒に自分に合った治療薬をみつけましょう。

薬の名前 剤型
抗ヒスタミン薬 経口薬(飲み薬)、点鼻薬[鼻噴霧用]、点眼薬
メディエーター遊離抑制薬 経口薬(飲み薬)、点鼻薬[鼻噴霧用]、点眼薬
抗ロイコトリエン薬 経口薬(飲み薬)
血管収縮薬 点鼻薬[鼻噴霧用]
ステロイド薬 経口薬(飲み薬)、点鼻薬[鼻噴霧用]、点眼薬

減感作療法

減感作療法(特異的免疫療法)は、花粉症の原因となっている抗原を、少しずつ量を増やしながら注射をしていき、抗原に対する反応を弱めていく方法です。

2~3年という長い期間の治療が必要となりますが、唯一、アレルギーを治す可能性のある治療法であり、約70%に有効と考えられています。
ショックなどの副作用がごく稀にありますので、治療にあたってはお医者さんとよく相談しましょう。また現在、注射に代わって口の中に抗原を入れる痛みのない方法が開発中です。

手術療法

手術療法は、主に鼻づまりの症状が強い患者さんに対して行われます。

鼻の粘膜(下鼻甲介)を切除して小さくする手術で、最近では、レーザー手術など、入院をせず外来で行える方法が普及してきました。また、鼻水を分泌する腺を刺激する神経を切って鼻水を止めるという手術もあります。
鼻づまりだけでなく、くしゃみ、鼻水の症状にも適応が広がりましたが、再発もみられます。

子どもの花粉症

うがいをする子ども

花粉症のようなアレルギーは、それぞれ個人の中にアレルゲンを溜めるバケツがあり、それが溢れた時に症状として表れるといわれています。そのためバケツの中に入っているアレルゲンの数が少ない乳幼児の間は、従来はあまり花粉症は発症しないと思われていました。
ところが花粉の飛散量の増加などに伴い、この「身体の中のバケツ」がすぐにいっぱいになってしまうケースが増えているそうで、16歳未満児の約3割が花粉症だというデータもあります(ロート製薬調べ)。大人と違って効果が強い薬も使えませんので、子供の花粉症対策はより難しいものとなるので注意しましょう。

  • できる限り花粉が体内に入るのを未然に防ぐこと
  • 体質改善に取り組んで少しずつ花粉に強くなること

この2点を意識することが子どもの基本的な花粉症対策となります。

もちろん、これは本人にも気をつけてもらわなければいけないことですが、子供の場合は自分一人で花粉症の対策を完璧にすることはできません。保護者であるお父さんやお母さんが、しっかり気を配ってあげましょう。

例えば子供が外から家に帰ってきたら、 必ずうがいと手洗いをさせること。また、洗濯した洋服や布団などを取り込む際は、必ず花粉を叩いて落とすこと。このようなちょっとした気遣いがとても大切になってきます。

小さな子供にとっては薬の常用は負担が大きいため、できる限り薬は使わずに、体の免疫力を高めることで、花粉症を予防することが大切です。しかし症状が重い場合には必ずお医者さんに相談しましょう。

※当コラムは東京内科医会のご協力によって作成されています。

東京内科医会は、常に最新の医学知識を学び、最良の医療を実践する魅力を持った何かを主体に、診療を行っている医師の集まりです。