花粉症予防・花粉症にならないために【医師監修】
花粉症にならないために
一度発症してしまうと治りにくいとまで言われる花粉症にならないためには、予防を怠らないことしか方法はありません。しかしどのように予防すればよいのでしょうか?
①徹底的に花粉を除去する
花粉症は誰でも発症する要因を持っています。大量の花粉に出会うと、体が花粉に対する抗体を産生する可能性が高くなります。花粉になるべく接しないことは重要なことです。

- 外出時はマスクを装着する
- 外出時はサングラスやメガネをかける
- 帰宅時は、洋服についた花粉を払ってから入室する
- 帰宅時は、うがいと洗顔をして花粉を洗い流す
- 掃除をこまめに行う
②花粉症にならないための体質改善
同じように花粉を吸入しても花粉症になる人もならない人もいます。これはもともとの体質の違いで、花粉症以外のアレルギー疾患をもっている人や、家族の方が何らかのアレルギー疾患を持っている人は、それのない人に比べて花粉症になりやすいと考えられています。しかし花粉症は、体内の免疫機能のバランスが悪くなってしまうことによって起こる症状です。この免疫機能を正しくしてあげれば、花粉症の発症を軽減することができます。よって免疫力を高める体質改善も重要な花粉症対策と言えるでしょう。
では、その具体的な体質改善とはどのようなものでしょうか? 体質改善のためには、基本的に食生活を含めた生活習慣の見直しが必要となります。
- バランスの良い食事を心がける
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できるだけ和食中心で魚や野菜、穀類を多く摂るようにしましょう。
≪免疫力を高める食物≫
緑黄色野菜に豊富なβカロテンは抗酸化作用があり、体の免疫力を高めてくれます。 ゴーヤ、きゅうり、大根、キャベツ、アスパラガス、セロリ、レタスさやえんどう、枝豆、そらまめ、小松菜、やまいも - 十分な睡眠をとる
- たとえ眠れなくても、目を閉じて体を横にして休めているだけで、免疫力は高まると言われています。少しの間の昼寝でもよいでしょう。10~20分と短い睡眠でも精神の疲労を回復させると共に、免疫力を高めてくれます。
- 適度な運動をする
- 体内にウィルスが侵入してきたときに体を守る白血球=免疫細胞が、運動することによってより活発に働くようになります。子どもの頃、身体が弱かったのでスポーツを始めたら、不思議に風邪をひかなくなったなどの経験もあるのではないでしょうか。ウォーキングやジョギングなどの適度な有酸素運動の継続が免疫力を高めます。
- ストレスをためない
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ストレスは免疫の乱れの大敵です。ストレスが免疫機能を低下させる仕組みとしては、自律神経のバランスが崩れることと、ステロイドホルモンの放出が考えられています。
◇自律神経のバランスの乱れ
強いストレスを受けると、まず自律神経のバランスが崩れます。内蔵機能を活性化させる副交感神経が不活発になるため、食欲不振と血行不良を招きます。その結果栄養バランスが悪くなり、免疫機能の主役であるリンパ球を不活発にします。
◇ステロイドホルモン放出
ストレスの刺激は視床下部から副腎に伝わって、コルチゾールなどのステロイドホルモンを放出します。コルチゾールはストレスホルモンと呼ばれ、リンパ球の活力を奪って、免疫力を低下させます。 - 喫煙をしない
- 体中の血管収縮作用による体温低下と血圧上昇より、免疫力が低下します
- 笑う
- 笑うことも免疫力とつながっています。笑うことで自律神経(交感神経と副交感神経)を刺激し、血圧を下げ、心拍、呼吸を整えるとされています。また、脳の血流量を増加させ、血液の流れをよくするなど体にとって良いことが多いのです。
- 体温を上げる
- 平均体温が1度下がると免疫力は約37%下がり、平均体温が1度上がると免疫力は約60%活性化すると言われています。昔から「冷えは万病のもと」といって、体が冷えるのは悪いことを言われてきました。実は、風邪をひいたとき熱が出るのも、体温を上げて免疫力を上げようとする防衛反応といわれています。
- お風呂につかる
- 40~42度の湯船に10分程度入るだけで体温は2度上がるといわれています。
花粉症を含めたあらゆるアレルギー疾患と免疫力は密接な関係があります。花粉症にならないために、一度ご自身の生活習慣を見直してみましょう。
【コラム】1歳までに動物園に連れていこう! |
人間の抗体には主に、病原体攻撃型と寄生虫攻撃型の2種類があり、寄生虫攻撃型の抗体が沢山作られることが、アレルギーになる要因となります。
昔は、細菌などに接する機会が多く、病原体攻撃型の方が多く作られる環境でしたが、現代は清潔な環境のため、寄生虫攻撃型の抗体が多く作られるようになりました。寄生虫攻撃型の抗体は、寄生虫の持つタンパク質に反応して攻撃しますが、無害なタンパク質にも反応してしまう寄生虫攻撃型の抗体が多くなったことで、タンパク質に一斉攻撃し、体まで傷つけてしまう状態が「アレルギー」となって現れます。 この抗体のタイプは、生後およそ1年までに決まると言われています。1歳までの環境が清潔すぎると、寄生虫攻撃型の抗体が多く作られ、アレルギーが起こりやすい体質になってしまうのです。 しかし不潔な環境で生活することは好ましくないため、「1歳までに動物園や牧場などの動物がいる場所に連れて行くこと」がよいそうです。 動物がいる環境では、動物の糞などから出るエンドトキシンという細菌が大気中に浮遊しており、呼吸と同時に自然に体内に取り入れることで、病原体攻撃型が活発に作られるようになり、アレルギー体質になりにくくなる可能性が高まります。 お子様の将来の花粉症対策にも「1歳までに動物園」を実践してみたらいかがでしょうか。 |
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コラム監修
きうち内科クリニック
東京都江戸川区本一色3-39-2
木内 章裕 院長
日本内科学会認定内科医、日本老年医学会専門医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医

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