病院なび「全国のクリニック・診療所・医院・病院検索サービスです。」

PTSD/ASD(急性ストレス障害)

2011年4月掲載

急性期の不安・不眠は災害に対する自然な反応。
多くの場合、時間の経過と共に消滅していきます。

この度の東日本大震災による被害で、避難所で生活をしている方、お怪我をされた方、ご家族が未だ行方不明の方や亡くなられた方・・・皆様のさまざまなご状況とお気持ちを察し、心よりお見舞いとお悔やみを申し上げます。
皆様が現在直面している状況は、言葉では言い表せないほど大変なことです。そのような状況の中で、不安が募り、不眠になったりイライラしたりといった方も多いかと存じます。

ご自身の心身の状況を知り、またかつて大災害に遭遇した先人たちの経験を活かすことで、ご自身とご家族を支える一助になればと存じます。

心の傷=トラウマによって、日常に支障をきたす症状が起こることが

日本はこれまでにいくつもの大きな災害をくぐり抜けてきました。「阪神・淡路大震災」「中越地震」そして今回の「東日本大震災」のような大きな災害にあうと、予期しない大きな不幸と衝撃に見舞われ、心の傷(トラウマ)を抱えます。生命の脅威、悲惨な光景、家族と会えず、家族と共に過ごした家と思い出の品々が喪失・・・そういった心の傷によって、次のような症状が起きることがあります。

  1. 恐ろしい出来事が繰り返し思い出されることや、突然、災害時に感じた恐怖などの感情を伴った記憶がありありと再起される(フラッシュバック)ことがある。また、体験したことが、夢に繰り返し現れる。(再体験症状)
  2. 体験を思い出すような状況や場面を避け続ける。(回避(逃避)症状)
  3. 感情や感覚が麻痺する。(麻痺症状)
  4. 不眠やイライラ、集中力が欠如した状態が続く。(過覚醒症状)
  5. 健忘や現実感の喪失が起こる。(解離性症状)

このような症状が、災害の直後から1ヶ月以内に起こる場合「急性ストレス障害:ASD(Acute Stress Disorder)」とよばれ、1ヶ月から長期にわたって経験する場合には「外傷後ストレス障害:PTSD(Posttraumatic Stress Disorder)」と診断されます。

急性ストレス障害(ASD)の多くは時間と共に軽減・解消されることが多い

事象の大きさを考えれば、急性ストレス障害(ASD)は、正常な反応だと考えられます。多くの場合、このようなストレス反応は、時と共に記憶が整理されることで自然と軽減・解消されていきます。「阪神・淡路大震災」では、災害から半年後には住民の30~40%にこのような症状がみられましたが、1年後には10~20%に軽減されています(「災害時地域精神保健医療活動ガイドライン」より)。

心の傷には家族や知人の支えあいと信頼・安心感が一番

家族などの身近な人にこのような症状がみられる場合には、症状が悪化する場合がありますので、無理に体験したことや気持ちを話すことは避けましょう。「安心・安全・安眠の確保」が回復には重要だといわれています。共に支えあい、信頼感と安心感を得ることで症状が軽減することが多くみられます。

被災された方の中には、災害のショックに輪をかけて、「家族を助けることができなかった」などと自分を責める方もみられます。また、そのようなことから心を閉ざし、孤立しがちになることもあります。そんな時、身近な人ができることは、ただひたすら傍にいてあげることです。本人が話し出した時には、細部を聞き出したり、感情を吐き出すよう促したりはせず、ひたすらじっくり聞いてあげてください。はげましやなぐさめの言葉、意見はかえって傷つけることがありますので不要です。言葉を遮ることなく、だまってうなずき、時に相づちをうちながら、共感し、あるがままを受け止めてあげてください。

もちろん、家族や信頼できる知人の見守りは一番大切なことですが、症状が長期化している場合やひどく悩まされている場合には、必ず医師やカウンセラーといった専門家に相談しましょう。

また、PTSDを発症した方の中には、うつ病、不安障害、アルコール依存症などを併発する可能性がありますので、周囲の人は気をつけて見守り、必要に応じて医療関係者や専門家に相談しましょう。

子どもには安心感とスキンシップを

子どもの場合には言葉で自分の感情をうまく表現できないため、さまざまな身体症状がみられることがあります。年齢にもよりますが、退行現象(指しゃぶり、おねしょ、親から離れられないなど)や、ぼーっとして無気力な様子、常に怖がっていたり、認知が混乱してイライラしたりする様子、不眠や言語障害などがみられる場合には、子どものそばにいて安心感を与え、話したり遊んだりしながら、一緒に過ごしましょう。抱っこしてあげたり、痛いところをなでてあげたりといったスキンシップも、普段以上に心がけてください。

また、ニュースでの報道をテレビで見たり、マスコミのインタビューや保険会社の調査を受けたりすることで、辛い気持になることや不安が増加されることがありますので、気を付けてあげましょう。もちろん長期化する場合には、医師の診断を仰ぐことが大切です。

症状がひどい場合や長期化する場合には、医師やサポート団体に相談を!

PTSDになるかならないかは、個人差があります。また、どのような人がPTSDになりやすいかは、現状ではわかっていません。言い換えれば、誰にでも起こる可能性があるのです。

多くの場合、ASDからPTSDには移行せずに、症状が緩和されていくのですが、気になる症状がある方は、救援サポートチームにカウンセラーが派遣されている場合がありますのでカウンセラーに相談するか、機会があれば医師に相談してみましょう。仮設住宅などに入り落ち着いた頃になっても症状が落ち着かない場合には、地元の保健所や精神保健福祉センターでも相談にのってもらえます。

また、日本臨床心理士会・日本精神衛生学会では、心の相談緊急電話を3月19日~4月23日(状況により変動あり)の間、毎日午後1時~10時まで開設し、臨床心理士・保健師・精神保健福祉士・精神科医師など心の専門家が対応しています。(℡0120-111-916)。

Tick PTSDチェックポイント
この1週間に下記の事項が当てはまる場合には、医療機関に相談し、詳しく調べましょう。
(下記の事項は一つの指標であり、当てはまる場合でも、必ずしも異常が認められるという訳ではありません。)

  1. どんなきっかけでも、そのことを思い出すと、その時の気持ちがぶりかえしてくる。
  2. 睡眠の途中で目が覚めてしまう。
  3. 別のことをしていても、そのことが頭から離れない。
  4. イライラして、怒りっぽくなってくる。
  5. そのことについて考えたり思い出す時は、なんとか気を落ち着かせようとしている。
  6. 考えるつもりはないのに、そのことを考えてしまうことがある。
  7. そのことは、実際に起きなかったとか、現実のことでなかったような気がする。
  8. そのことを思い出させるものには近よらない。
  9. そのときの場面が、いきなり頭にうかんでくる。
  10. 神経が敏感になっていて、ちょっとしたことでどきっとしてしまう。
  11. そのことは考えないようにしている。
  12. そのことについては、まだいろいろな気持ちがあるが、それには触れないようにしている。
  13. そのことについての感情は、マヒしたようである。
  14. 気がつくと、まるでその時にもどってしまったかのようにふるまったり、感じたりすることがある。
  15. 寝つきが悪い。
  16. そのことについて、感情が強くこみ上げてくることがある。
  17. そのことを何とか忘れようとしている。
  18. ものごとに集中できない。
  19. そのことを思い出すと、身体が反応して、汗ばんだり、息苦しくなったり、むかむかしたり、どきどきすることがある。
  20. そのことについての夢を見る。
  21. 警戒して用心深くなっている気がする。
  22. そのことについては話さないようにしている。
(文部科学省ホームページより抜粋)

PTSDで気になる症状がある場合は、近くの病院に相談しましょう

を探す。

下記お問い合わせフォームの表示に時間がかかる場合がございます。 表示されない場合、このページを開いたまま、しばらくお待ちいただきますようお願いいたします。
なお、それでも下記のフォームが動作しない場合、恐れ入りますが support@byoinnavi.jp 宛に問い合わせください。

Danger お役立ち医療コラムについて

【提供元】
お役立ち医療コラムは、株式会社eヘルスケアが提供しています。
【免責事項】
  • コラムの内容については細心の注意を払い掲載しておりますが、情報の確実性や安全性に関して保証されているものではありません。また、医学の進歩により常に最新の情報とは限りませんので、あらかじめご了承ください。
  • 病気に関する予防や治療法をはじめとした医学的情報は、医師やその他医療従事者による診断に代わるものではありません。必ずしも全ての方に有効とは限りませんので、個別の症状については必ず主治医にご相談の上、適切な診断と治療を受けていただきますようお願いいたします。
【著作権】
お役立ち医療コラムの著作権は、株式会社eヘルスケアに帰属します。営利・非営利を問わず、無断で複製、転載、配布等の行為を行うことは一切禁止とします。
【その他】
株式会社eヘルスケアでは、病気や治療に関するご相談や各医療機関についての個別のお問い合わせ・紹介などは受け付けておりません。