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りんご病(伝染性紅斑)【医師監修】特徴的な症状は真っ赤な頬 大人は関節炎 妊娠中は経過に注意

2021年3月1日 公開
りんごを持つ子ども

りんご病とは、5~9歳頃の子どもを中心に流行するウイルス性の感染症です。両頬に発疹があらわれ「りんごのように赤くなる」ことから「りんご病」と呼ばれています。正式な名称は「伝染性紅斑(でんせんせいこうはん)」です。

子どもの場合は一般的には順調に回復しますが、大人がかかると関節炎や頭痛など、さまざまな症状があらわれることがあります。さらに、妊娠中にかかると流産などの重篤な影響を受けることがあるため、感染予防や感染した際の経過には注意が必要です。

目次

  1. 症状 - 両頬と手足の発疹 関節痛をともなうことも
  2. 感染力が強いのは発疹がでる前 「飛沫感染」「接触感染」でうつる
  3. 症状から診断 特別な治療はなく対症療法
  4. 予防は難しい…手洗い・咳エチケット 妊婦は流行情報に注意

症状 - 両頬と手足の発疹 関節痛をともなうことも

頬に手をあてる子ども

〇 潜伏期間
1週間前後 (4日~20日)

〇 主な症状と経過
ほとんどの場合、以下のような順で経過します。

1)風邪症状
両頬への発疹があらわれる7日~10日程前に、初期症状として以下のような風邪症状があらわれることがあります。

  • 初期症状
    咳 / 鼻水 / 頭痛 / 筋肉痛 / 関節痛 / 微熱 / 倦怠感 / 食欲不振 などの風邪症状

熱はでないことが多く、発熱したとしても微熱で高熱がでることはありません。そのほかの風邪症状も必ずあらわれるということはなく、特に気になる症状がなく無症状のまま過ぎることも珍しくありません。

この時期は、ウイルス排出量がもっとも多く、感染力ももっとも強い時期です。

2)発疹(紅斑)
次にあらわれるのが発疹の症状です。ただ、初期症状である風邪のような症状は必ずあるわけではないので、最初にあらわれる症状が発疹ということもあります。

以下のような経過であらわれ、発疹はかゆみをともなうことがあります。

  • 両頬
    両頬に境界線がはっきりとした赤い発疹があらわれます。この頬の発疹は、ちょうど鼻を中心に蝶のように見えるため蝶形紅斑(ちょうけいこうはん)と呼ばれています。口の周囲は発疹がでず赤くならないことが特徴です。

    頬に発疹があらわれるこの頃になると、感染力はほぼなくなっています


    ↓(1日~2日程後)


  • 腕・手・脚
    両頬の発疹があらわれてから1日~2日程後、腕や手、脚に網目状、レース状などと表現できるような、まだらな発疹があらわれます。

    発疹は最初、腕や太ももなど胴体に近い部分からあらわれ、次第に手や足身体の末端に向かって移動するようにあらわれては消えていきます。

  • そのほかの部位
    胸やお腹、背中などにも発疹がみられることがあります。頭にあらわれることはありません。

運動、入浴、日光、興奮、摩擦などの刺激で、一度消えた発疹が再びあらわれることがありますが、これは再発ではありません。

これらの発疹は、1週間前後の期間で自然に消えますが、中には長引いて2週間程消えないことがあります。

ただ、いずれの場合も、跡が残るようなことはなく自然にきれいに消えるので心配はいりません。

紅斑とは・・・
発疹の一種。皮膚がまだら(斑点状)に赤くなった状態。赤くなった部分を圧迫すると一時的に赤みが消える。

  • そのほかの症状
    発疹と同期間に、関節痛頭痛などの症状があらわれることがあります。

合併症

ほとんどの場合は順調に回復しますが、貧血症 あるいは 免疫疾患などの基礎疾患がある場合や、そのほか、疾患などが原因で抵抗力が下がっている場合などは、重い合併症を起こす可能性があるため、経過に注意が必要です。

子どもの症状の特徴 - 風邪症状はでにくい

9歳以下での感染がほとんどで、最も多いのは5歳前後での感染です。

子どもの場合は、典型的な症状である両頬の発疹がでやすい一方で、発疹があらわれる前の症状である、風邪症状はでにくいという特徴があります。そのため、発疹があらわれてはじめて体調の異常に気付くということも少なくありません。

また、発疹があらわれて以降も、それ以外の症状があらわれないことも多く、発疹がでているだけで元気に過ごしているうちに治ってしまうということも珍しくありません。

■ 参考サイト
国立感染症研究所 : 伝染性紅斑(ヒトパルボウイルスB19感染症)

大人の症状の特徴 - 関節炎が特徴 発疹はでにくい

大人が感染した場合は、明らかな症状があらわれずにおわる不顕性感染になることが多いとされています。

発疹の症状があらわれることもありますが、子どもに比べるとでにくく、また子どものように顔にでることはさらにまれです。発疹がでたとしても手足にでることがほとんどです。

一方で、大人によくあらわれる症状は、関節痛や関節炎です。この症状は特に女性に多く、
約60%の高確率
であらわれるとされています(男性は約30%)。

この症状はたいていの場合、1週間~3週間程の期間で自然に回復しますが、まれに数か月~数年と長い期間続くことがあります。痛みの程度は、軽いものから「歩くのが大変」「耐えがたい」といった強いものまでさまざまです。症状が強い場合には、消炎鎮痛剤を処方されることがあります。

また、むくみをともなう場合があり、この程度も気づかないほど軽いものから体重が増えるほどむくんでしまうものまでさまざまです。

そのほかにも、発熱や頭痛といった一般的な風邪症状など、さまざまな症状があらわれやすいのも大人の特徴です。

このように大人の場合は、特徴的な発疹がでにくいうえ、そのほかのさまざまな症状があらわれることから、風疹やリウマチなどの似たような症状がある疾患と見分けがつきづらかったり、りんご病と特定することが難しい場合が少なくありません。

■ 参考サイト
国立感染症研究所 : 「伝染性紅斑の臨床像と京都府福知山地域における成人の伝染性紅斑の地域流行」

妊婦の症状の特徴 - 感染予防や感染した場合は経過に注意

妊婦がりんご病に感染すると症状の有無に関わらず、胎盤を通して胎児に感染し、胎児の異常や流産、死産を起こすことがあります。

主な胎児異常は胎児水腫です。胎児水腫は、胎児の皮膚や胸、お腹に水がたまり、全身がむくんだ状態になることで、胎児の命にかかわることがあります。この胎児水腫については、妊娠20週以前、特に9週~16週でリスクが高いとされています。

そして、妊娠28週以降の妊娠後期になると胎児水腫、死産のリスクともに低くなります。

このようなリスクがあるのは、これまでりんご病に感染したことのない初感染の場合ですが、妊婦でりんご病の免疫を獲得しているのは20%~50%程とされています。言いかえると、半数以上の妊婦にはこのようなリスクがあるということになります。

さらに、過去に感染していても免疫のつき具合が十分でなかったり、そもそも妊娠中は免疫が低下していることもあり、再感染の可能性も0とは言い切れません。

しかし一方で、妊娠中にりんご病に感染しても、特に問題なく出産できることが多くあります。また、胎児水腫が起きた場合でも約3割は自然に回復すると考えられます。もし、感染した状態や胎児水腫があるまま生まれても、経過が良く発育も正常であることが多く、先天性の異常なども報告されていません。

このようなことから、過度な心配は必要ありませんが、妊娠中に以下のようなことがある場合は、感染予防を徹底し、主治医のいる産婦人科に必ず相談のうえ、十分に経過を観察することがとても重要です。

〇 感染予防の徹底 / 経過に注意が必要な場合

  • 家族など身近に風邪症状のある人がいる
  • 家族など身近でりんご病の感染者がでた
  • 生活圏でりんご病が流行している
  • りんご病と診断された場合
    など

■ 参考サイト
国立感染症研究所 : ヒトパルボウイルスB19母子感染の実態

感染力が強いのは発疹がでる前 「飛沫感染」「接触感染」でうつる

ウイルスと戦う人々

りんご病の原因となるのは、ヒトパルボウイルスB19というウイルスで、主な感染経路は「飛沫感染」「接触感染」です。

飛沫感染 :
感染している人の咳やくしゃみなどのしぶきに含まれるウイルスを吸いこむことで感染する。

接触感染 :
手指やもの、食品などについたウイルスが主に口や目、鼻などの粘膜から体内に入ることで感染する。

りんご病の感染の特徴は、特徴的な症状である発疹があらわれる頃には、ほとんど感染力がなくなっているということです。

もっとも感染力が強いのは、ウイルスに感染して1週間前後の頃で、発疹があらわれる前の時期です。この時期は、風邪のような症状があらわれる頃ですが、そのような症状がなく無症状の場合もあります。

そのため、この期間は感染者も周囲の人も予防ができずに、感染が広がってしまうことがあります。

1年を通して感染の可能性 2回以上かかることはほとんどない

りんご病は、だいたい4年~6年ごとに大きな流行があります。このような年には、春から初夏にかけて増加し、6月~7月でピークとなり、秋頃には少なくなるという傾向がみられることが多いです。

大きな流行がない年では、季節での変動ははっきりしません。いずれにしても、1年を通して感染する可能性があります。

そして、りんご病は一度感染して免疫を獲得すると、その免疫は生涯維持される(終生免疫)ため、一般的に2回以上かかることはないとされています。

また、感染者の4分の1程度は、明らかな症状があらわれずにおわる不顕性感染とされており、その場合でも抗体は作られることから、気づかないうちに免疫を獲得しているということもあります。

■ 参考サイト
国立感染症研究所 : 伝染性紅斑(ヒトパルボウイルスB19感染症)

症状から診断 特別な治療はなく対症療法

小児科の医師

りんご病には、確定診断をするための検査はありますが、通常では行われません。発疹の有無やそのほかの症状、周辺の流行状況など、一般的な診察で診断されます。

特別な治療法や薬もなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心となります。経過は順調に回復することがほとんどです。

頭痛や関節痛に対して消炎鎮痛剤や、かゆみに対して抗ヒスタミン剤などが処方されることがあります。

受診の目安 子ども・妊婦は特に受診を

子どもの受診

子どもの場合、発疹以外の症状があらわれにくく、あったとしても軽い風邪症状で済むことがほとんどで、発疹以外は元気に過ごせることも珍しくありません。また、りんご病自体にも発疹の症状にも特別な薬や治療がありません。

このようなことから、りんご病は受診をするか迷ったり、受診のきっかけや目安がわかりづらいかもしれません。

風邪症状のみの時点ではりんご病と診断することは難しいため、特につらい症状がなければ自宅で様子をみてもよいでしょう。しかし、りんご病が疑われるような発疹があらわれた場合は、ほかの発疹症状がある疾患との見分けが必要なため、元気に過ごせていても小児科を受診しましょう。

また、りんご病は診断された場合、小児科から患者数の届出が必要な感染症として定められていています。こうして患者数を把握することで、流行状況などを捉え、感染の拡大防止や影響の大きい人たち(妊婦など)への情報提供につながります。

このような目的のためにも、医療機関の受診は必要です。

妊婦の受診

妊娠中や妊娠している可能性がある場合に少しでもりんご病が疑われる症状があれば、まずは、内科 または 皮膚科を受診しましょう。そして、りんご病の診断を受けた場合は妊婦検診を待たずに主治医、産婦人科に相談しましょう。

大人の受診

そのほかの大人は特別受診が必要ということはないので、つらい症状がある場合に内科 または 皮膚科を受診するのがよいでしょう。

身近でりんご病の感染者がいたり流行している場合は、受診の際に医師に伝えましょう。

保育園・幼稚園・学校への登園・登校の目安

発疹があらわれる頃には感染力はほぼないとされているため、発疹がでているからといって、保育園や幼稚園、学校を休む必要はありません。発疹以外の症状がなく元気であれば、登園・登校は問題ないことがほとんどでしょう。

なお、りんご病は、特に明確な登園・登校停止期間は設けられていない「その他の感染症」にあたり、文部科学省の「学校において予防すべき感染症の解説」では、登園・登校の目安は以下のように記載されています。

〇 発しん期には感染力はないので、発しんのみで全身状態の良い者は登校(園)可能である。

引用) 文部科学省 : 学校において予防すべき感染症の解説

厚生労働省の「保育所における感染症対策ガイドライン」では、登園の目安は以下のように記載されています。

〇 罹患した場合の登園のめやすは、「全身状態が良いこと」である。

引用) 厚生労働省 : 保育所における感染症対策ガイドライン

また、りんご病のような「その他の感染症」は、流行状況などによっては第三種の感染症として扱われることがあります。第三種の感染症と扱われる場合は、学校保健安全法での登園・登校の目安は以下のように定められています。

〇 病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで

引用) 学校保健安全法施行規則

お風呂や運動も普段通りの生活で

発疹以外の症状がなく元気であれば、外出やプールを含む運動、お風呂など、特に日常生活に制限はありません。

ただ、身体が温まると、発疹の赤みが強くなる、おさまっていた発疹が再度あらわれる、かゆみが増すといったことが起こる場合あります。そのため、湯船につかる入浴身体が温まるような運動は、症状の状態にあわせて行うのがよいでしょう。

予防は難しい…手洗い・咳エチケット 妊婦は流行情報に注意

感染症予防イメージ

現在のところ、りんご病に対するワクチンはありません。

また、りんご病の感染の特徴は、りんご病だとわかる発疹があらわれるころには、ほぼ感染力がなくなっているということです。

もっとも感染力が強いのは、ウイルスに感染してから1週間前後の頃で、発疹があらわれるよりも前の時期です。この時期は、風邪のような症状があらわれる場合がありますが、気になるほどの症状がない場合や無症状の場合も珍しくありません。

そのため、感染者も周囲の人も感染予防ができないまま、りんご病とわかる発疹があらわれる頃にはすでに感染が広がっていることがあります。

そして、発疹がでるころには感染力はほぼなくなっているため、この頃に感染予防をしてもあまり意味がなく、必要ありません。

このように、予防が非常に難しいのがりんご病です。

最低限の予防にはなりますが、りんご病に限らず、風邪症状があるときには、感染症対策の基本である手洗いとマスクの着用をはじめとした咳エチケットをしましょう。

妊婦・妊娠している可能性がある場合

流行情報に注意しましょう。流行が確認された場合は、風邪症状のある人との接触は避ける、保育園・幼稚園・学校などの子どもの多い施設への立ち寄りを避けるなど、予防対策をしましょう。

また、流行地域で風邪症状のある または りんご病に感染している子どもなど、家族や身近な人のケアが必要な場合は、マスクの着用と手洗いを徹底し、食器やタオルなどの共有も避けましょう。

そして、妊婦検診の際には、周囲でりんご病が流行していることやりんご病の感染者と接触した可能性などを主治医に相談し、経過を慎重に診てもらえるようにしましょう。

妊娠に加えて、貧血症や免疫疾患などの基礎疾患がある場合は合併症や流産など、重症化するリスクが高いため、特に注意して過ごしてください。

麻疹(はしか)・風疹の予防接種を受けましょう

麻疹(はしか)や風疹は、りんご病と同じく赤い発疹があらわれる感染症です。そして、りんご病の特徴的な症状があらわれない場合は、風疹との見分けがつきづらいことがあります。

一方で、麻疹(はしか)と風疹はりんご病とは異なり、ワクチンで予防ができます。しかも、この2つの感染症には、麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)があり、1回で両方のワクチンが接種できます。現在、このワクチンは1歳時と5歳~7歳未満の間(小学校入学前)での2回の定期接種となっています。

定期接種の対象者だけではなく、予防接種を受けていない場合はもちろん、接種したかわからない、免疫がきちんと獲得・維持できているか不安な場合など、積極的に接種を検討しましょう。

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りんご病で気になる症状がある場合は、近くの病院に相談しましょう

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コラム監修

Thumb-up阿部医院
東京都目黒区平町2-5-7
清水 惠一郎 医師
獨協医科大学 医学部卒
日本内科学会認定内科医、認定産業医、介護支援専門員

Computerhttps://www.e-doctors-net.com/meguro/abe/

清水 惠一郎先生
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